湯布院といえば全国でも有数の温泉地ですが、登山初心者でもチャレンジできる「由布岳(ゆふだけ)」があります。
由布岳は季節ごとに異なった表情を見せてくれ、初夏にはミヤマキリシマが咲き誇り、秋には一面の紅葉を、冬には幻想的な霧氷を楽しむことができます。
由布岳の難易度はそれほど高くはなく、初心者から中級者向けのルートもあるため、登山初心者でも安心して挑戦することができます。
今回は、由布岳の初心者向けのおすすめコースを中心に、服装やアクセス方法、周辺の観光スポットについてご紹介していきます。
「由布岳」とは
登山初心者でも登ることができる由布岳は、大分県由布市の由布院盆地の北に位置する標高1583mの活火山で、円錐形の独立峰であることから別名「豊後富士」ともいわれています。
由布岳は、東峰と西峰のふたつの頂上を持っているという特徴があり、日本二百名山に選ばれているだけのことはあり、湯布院を訪れた登山客にも親しまれています。
難易度はそれほど高くなく、小学生でも登山できますので、登山初心者でもチャレンジ可能な山です。
また、由布岳は「阿蘇くじゅう国立公園」に指定されていて、古くから神の山として崇められており、「万葉集」や「豊後国風土記」などにも登場しています。
5月~6月にはミヤマキリシマが見ごろを迎え、10月~11月ごろの紅葉シーズンになると、多くの登山客や観光客でにぎわいます。
また、真冬は雪に覆われますが「霧氷」を見ることができるので、一年中登山客の足が絶えることがない人気の山です。
ただし、由布岳は活火山なので登山前には地震情報などを必ずチェックし、山頂周辺は岩場のため落石が発生しやすいので、特に登山初心者は十分注意してください。
登山初心者におすすめのシーズン
由布岳は登山客が一年中絶えない山ですが、特に登山初心者が由布岳に登るおすすめのシーズンは、初夏と紅葉の時期です。
登山初心者には初夏と紅葉の時期がおすすめ
ミヤマキリシマは九州各地の高山で見られるツツジの仲間で、5月末から6月中旬に満開になると山肌がピンクに染まり、えもいわれぬ幻想的な風景が広がります。
由布岳を訪れた登山初心者もその美しさに魅了されることでしょう。
また、10月~11月の紅葉シーズンには、ヤマザクラやヤマモミジハゼ、ミズキなどが色づき、ふもとから山肌全体が鮮やかな赤と黄色で見事に彩られます。
紅葉を満喫したい登山初心者は、この時期に由布岳を訪れると良いでしょう。
冬の由布岳では「霧氷」が名物
冬(だいたい11月頃から)に由布岳に登山すると、「霧氷」を楽しむことができます。
霧氷は、冷えた霧が風で木に吹き付けられ氷となって付着したもので、寒さが厳しくなると木が真っ白になることもあります。
登山初心者でもこの霧氷を見るために登山することができますが、しっかりと冬山の装備をして、経験者と一緒に行くようにしましょう。
初心者におすすめの由布岳登山ルートを紹介
由布岳の登山ルートには、「正面登山口コース」と「東登山口コース」、「西登山口コース」の3つがあります。
その中でも登山初心者におすすめのコースは「正面登山口コース」で、多くの登山客が利用しているコースです。
初心者向けの由布岳登山ルート①:正面登山口コース
まずは、登山初心者におすすめの「正面登山口コース」をご紹介していきます。
由布岳「正面登山口コース」は、ボランティアの方が登山道の整備を行ってくれており、案内板やロープ、また休憩スペースにはベンチなども設置されているため、登山初心者でも迷わずに登頂しやすくなっています。
所要時間は、登りが2〜3時間程度、下りが2〜3時間程度なので、登山初心者は合計5~6時間ほどかかると見ておきましょう。
由布岳「正面登山口コース」のルートは、以下の順に進んでいきます。
中央登山口→合野越→マタエ→由布岳(西峰)→マタエ→合野越→中央登山口
中央登山口から出発し、正面に由布岳を見ながら、気持ちのいい牧草地が続く湯布高原を歩と雑木林の入り口に到着します。
道が二手に分かれますので、合野越方面(左方向)の道を進みます。
しばらく進むと、開けた岩場の合野越(1025m)へ到着します。
合野越は他のルートの合流地点でもあるため、多くの登山客の休憩スポットになっています。
合野越以降は徐々に傾斜がきつくなっていきますので、特に登山初心者はここで十分に水分やエネルギーを補給しておきましょう。
合野越からは、大きな岩石が転がっている登山道が続き、ロープが設置された道も出てきます。
登山初心者には少しきつく感じるかもしれませんが、しばらく進むと視界が開けて、湯布院の街の眺望を楽しむことができます。
その後はガレ場の登りが続くため、登山初心者にはハードですがここががんばりどころ。
マタエという鞍部に到着すると、西峰と東峰の分岐点になります。
どちらも湯布院頂上まで大体15分程度ですが、西峰は岸壁が立ちはだかり難易度が高いコースなので、登山初心者は比較的トライしやすい東峰に進むことをおすすめします。
岩場をゆっくり慎重に上り詰めると、由布岳の東峰山頂に到着です。
由布岳は独立峰ということもあり、頂上からは360度の大パノラマを楽しめ、雲がなく天気が良ければ湯布院や別府湾、鶴見岳・九重山などが見渡せ、登山初心者に格別な達成感をもたらしてくれるでしょう。
由布岳頂上は、ゴツゴツとした溶岩が広がっていますが、休憩できる場所を見つけて昼食をいただくのも良いですね。
初心者向けの「由布岳登山ルート」②:西登山口コース
由布岳登山ルートには、ご紹介したように3つのコースがあり、ほとんどの登山客が「正面登山口コース」を選ぶため、ほかのふたつはあまり人気があるコースとはいえません。
しかし、「西登山口コース」は、下山時の景色が素晴らしく穴場的ルートともいえますので、静かにゆっくりと登山を楽しみたい初心者は、西登山口を選ぶのもひとつの方法です。
ただし、はしごや鎖場を通過するので、経験者と一緒にトライすることをおすすめします。
西登山口のルートは以下のように進みます。
西登山口→合野越→マタエ→由布岳(東峰)→マタエ→由布岳(西峰)→マタエ→合野越→西登山口
所要時間は経験者で5時間強なので、登山初心者は6時間程度を見ておくと良いでしょう。
西登山口の入り口は少しわかりづらいので見落とさないように気を付けてください。
最初のうちは薄暗い道が続きますが、しばらくすると草原に出て正面に由布岳の姿を見ることができます。
その後、飯盛ヶ城との分岐が出てきて、それからすぐに正面登山口と合流する合野越の分岐に到着します。それ以降は、正面登山口と同じルートになります。
服装や持ち物
登山初心者が由布岳に登山するときは、どのような服装をすればよいのか悩んでしまいますね。
そこで、由布岳登山に適した服装や持ち物をご紹介していきます。
由布岳登山時の初心者におすすめの服装
初心者が由布岳に登山する際は、基本的に登山に適したウェアを着用することをおすすめします。
インナーウェアやミドルウェアは、化学繊維素材でできた速乾性のあるものを着用し、気温に合わせて着脱しやすいものを組み合わせると良いでしょう。
冬場は、厚手のフリースやダウンジャケットなどを着用すると寒さを防げます。
また、ボトムスは伸縮性のある生地のもので、夏場でも虫よけのために長ズボンタイプがおすすめです。動きづらいためジーンズは避けた方が無難です。
靴は、トレッキングシューズがおすすめですが、滑り止めが付いていれば履きなれたスポーツシューズでも代用できます。
初心者も忘れずに!由布岳登山の持ち物
初心者が由布岳に登山するときは、持ち物にも気を遣う必要があります。
由布岳には日影があまりないため、日焼け防止のために帽子が必要です。風に飛ばされないようにフィットするものを選びましょう。
また、冬場は寒さ対策としてのグローブや、日差しが強すぎる場合に備えて、サングラスも持っていくと安心です。
地図も忘れずに持ち物に入れておきましょう。
登山初心者は要チェック!由布岳へのアクセス
由布岳への登山を検討している登山初心者は、出発前までにアクセス方法についてもしっかりと確認しておきましょう。
由布岳までのアクセス方法は、主に自動車とバスがメインとなります。
自動車 | 大分自動車道「湯布院IC」を降りて、県道216号線を直進し、県道11号線を経由すると約15分で中央登山口に到着 |
---|---|
JR | 大分自動車道「湯布院IC」を降りて、県道216号線を直進し、県道11号線を経由すると約15分で中央登山口に到着 |
バス | 亀の井バス 由布院駅前バスセンターより約10分「由布登山口」で下車 |
湯布院・由布岳の駐車場情報
由布岳の中央登山口には、無料の駐車場20台と、有料の駐車場が30台程(料金:500円)あります。
無料駐車場は、特に由布岳の登山シーズンは早い時間に満車となってしまいますので、登山初心者は早めの到着を心がけると安心です。
初心者におすすめ!由布岳登山とともに楽しみたい湯布院の観光スポット
ここからは、由布岳への登山をチャレンジした初心者の方に、登山とともに楽しんでいただきたい湯布院の観光スポットをご紹介していきます。
由布岳ももちろん素晴らしい観光地ですが、それ以外にも湯布院には見どころのあるところがたくさんありますので、湯布院の思い出作りにぜひご活用ください。
由布岳登山初心者におすすめの湯布院観光スポット①:金鱗湖
金鱗湖は湯布院を代表する観光スポットのひとつで、登山初心者にもぜひ立ち寄っていただきたいところです。
名前の由来は、明治初期に儒学者の毛利空桑が、湖で泳ぐ魚のうろこに夕日が当たりキラキラと金色に輝く様子を見て「金鱗湖」と名付けたとされています。
金鱗湖の一周は約400メートルと軽く散歩するのにちょうど良い距離で、遊歩道も整備されているので歩きやすいです。
また、紅葉スポットとしても知られるので、紅葉シーズンにはぜひ訪れたいところ。
さらに、湖には清水と温泉が流れ込んでいると言われており、秋から冬の早朝に見られる朝霧はとても幻想的です。
住所
大分県由布市湯布院町川上1561-1
アクセス
【電車】 JR久大本線「由布院駅」から徒歩約20分
【自動車】大分自動車道「湯布院」ICより約15分
公式サイト
由布岳登山初心者におすすめの湯布院観光スポット②:湯布院温泉
登山初心者におすすめ湯布院観光スポットとして、湯布院温泉を外すことはできません。
由布岳で登山を楽しんだ初心者の方は、ぜひ湯布院温泉で疲れた体を癒してみてはいかがでしょうか。
湯布院温泉は湯布院盆地に位置する温泉郷で、温泉の数は全国でもトップクラスを誇り、豊富な湯量の温泉に浸かりながら、美しい自然を身体中で感じることができる温泉観光地です。
日帰り温泉ができるところもたくさんありますので、登山初心者にはぜひ立ち寄って、その日本屈指の温泉を体感していただきたいです。
住所
大分県由布市湯布院町川上
アクセス
【電車】 JR由布院駅下車
【自動車】大分道湯布院ICから県道216号経由5km
公式サイト
由布岳登山初心者におすすめの湯布院観光スポット③:辻馬車
湯布院を訪れた登山初心者にぜひ挑戦してもらいたいことに「辻馬車」があります。
湯布院観光の名物となっている観光辻馬車は、30年以上前からスタートしており、湯布院の街を馬の蹄の音を響かせながら、のんびりと観光することができます。
JR由布院駅を出発し、約60分かけて佛山寺や宇奈岐日女神社を経て駅に戻ります。
由布岳を背に美しい里景色を眺めていると、登山の疲れもいつの間にかほぐれていくでしょう。
なお、乗車には予約が必要で、窓口や電話で受け付けています。
住所
由布市ツーリストインフォメーションセンター
(由布市湯布院町川北8-5 JR由布院駅隣)
アクセス
【自動車】湯布院ICから車で約10分
【徒歩】JR由布院駅からすぐ
公式サイト
まとめ
由布岳は多くの登山客に親しまれている山で、登山初心者でもチャレンジすることができます。
初夏のミヤマキリシマが咲き誇る時期や、秋の紅葉シーズンにぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
ただし、由布岳登山前には火山情報をチェックし、登山ルートもしっかりと確認したうえで臨んでください。
由布岳山頂からの大パノラマは、登山初心者に特別な達成感をもたらしてくれるでしょう。
また、由布岳登山と合わせて温泉も堪能すれば、湯布院の思い出もさらに充実したものになりますね。