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雌阿寒岳は初心者にもおすすめ!人気の登山ルートを紹介

日本百名山の1つ「雌阿寒岳」のおすすめ登山コース情報を紹介

雌阿寒岳は初心者にもおすすめ!人気の登山ルートを紹介

北海道東部の釧路市と足寄町にまたがってそびえる雌阿寒岳(めあかんだけ)は、日本百名山の1つに挙げられています。

雌阿寒岳は約2万年前の噴火によって誕生した活火山で、特徴的なのは5合目あたりから高山植物が見られること。

溶岩がむき出しになった礫地帯に咲く可憐なメアカンフスマやメアカンキンバイなどが登山者の心を和ませてくれます。

ここでは、雌阿寒岳の夏山シーズンの情報と初心者・中級者向けの登山コースについて解説し、あわせて雌阿寒岳に麓にある阿寒摩周国立公園の観光スポットも紹介しています。

雌阿寒岳の登山や周辺観光スポットに興味がある方はぜひ最後まで読んでみて下さい。

雌阿寒岳は阿寒摩周国立公園のシンボル

雌阿寒岳は阿寒摩周国立公園のシンボル

マリモで知られる阿寒湖の南西側にそびえる雌阿寒岳は、アイヌ語で「マチネシリ(女山)」といいます。

ほぼ向かい合うように東側にそびえる雄阿寒岳は「ピンネシリ(男山)」といい、2つの山は夫婦山としていくつかの伝説が生まれ、アイヌの人たちに語り継がれてきました。

雄阿寒岳は標高1,376メートルの独立峰であるのに対し、雌阿寒岳は、阿寒富士・南岳・東岳・西山・北山・1042m山・中マチネシリ・雌阿寒岳の8個の火山体が集合した成層火山群の総称です。

その主峰が標高1,499メートルの雌阿寒岳(アイヌ語でポンマチネシリ)で、一般に「阿寒岳」という場合はこの雌阿寒岳を指します。

雌阿寒岳への登山ルートは「雌阿寒温泉(野中温泉)コース」「オンネトーコース」「阿寒湖畔コース」の3通りあります。

【雌阿寒温泉(野中温泉)コース】最短時間で登れる初心者向けのルート

【雌阿寒温泉(野中温泉)コース】最短時間で登れる初心者向けのルート

日本百名山で「北海道で最も短時間で登れる山」とされているのが雌阿寒岳です。雌阿寒岳への3つの登山ルートの中でも一番所要時間の短いのがこの雌阿寒温泉コース。

登山口近くに開湯107 年目を迎える野中温泉があることから「野中温泉コース」とも呼ばれています(野中温泉については後述)。

野中温泉近くの公共駐車場から300mほど歩くと、アカエゾマツの巨木に囲まれた雌阿寒岳登山口。登り始めると、アカエゾマツのほんのり甘くさわやかな香りに包まれます。

雌阿寒岳の1合目・2合目はアカエゾマツだけの純林で、森林浴を楽しみながら登っていきます。3合目付近になるとアカエゾマツが減ってハイマツが目立つようになります。

4合目(標高約1,100m)あたりで早くも森林限界となり、ハイマツは名前の通り岩石や砂礫を這うように横に伸び、視界が一気に開けます。

天気が良い日は眼下に広大な樹海と神秘的な湖「オンネトー」を眺めることができます。

5合目・6合目あたりでは雌阿寒岳で発見されたメアカンフスマやメアカンキンバイ、それにコマクサやイワブクロなどの高山植物が咲いていて、風にそよぐ可憐な姿に心が洗われます。

ちなみに、雌阿寒岳は国立公園の特別保護地区のため、4合目から上は植物やキノコなどを採取することが禁じられています。違反すると罰金を科せられることを心得ておきましょう。

7合目あたりからは植生が少なくなり、8合目からは荒涼とした砂礫帯です。尾根にたどり着くと遮るものがなくなって吹きさらしになるため、防寒・防風の装備が必要になります。

9合目から雌阿寒岳山頂までは岩石ばかりですが、一歩一歩登るにつれて景色が変わっていくので疲れも半減する魅力いっぱいのルートです。火口湖の赤沼が見えてくるといよいよ雌阿寒岳の山頂です。

雌阿寒岳山頂からは、もう1つの火口湖・青沼や噴気口からもくもくと立ち上る水蒸気など、火山が創り出したダイナミックな景観をはじめ、阿寒湖、摩周湖、雄阿寒岳などを一望することができます。

下りは同じルートを引き返しますが、脚に自信がある人たちにはルートとしては少し難易度の高い、雌阿寒岳から阿寒富士、オンネトー周遊コース(日帰り)をおすすめします。

雌阿寒岳登山情報①

雌阿寒温泉(野中温泉)コース 初心者向け
雌阿寒岳山頂までの距離 約3.3㎞
所要時間(標準) 登り2時間30分/下り1時間40分

【オンネトーコース】距離は長いが勾配が緩やな初心者向けのルート

【オンネトーコース】距離は長いが勾配が緩やな初心者向けのルート

雌阿寒岳の麓にあるオンネトーは、アイヌ語で「大きい沼」という意味。

オンネトーは天候や見る角度によって色が変わるという不思議な湖で、支笏洞爺国立公園にあるオコタンペ湖、大雪山国立公園にある東雲湖(しののめこ)と並んで北海道三大秘湖と呼ばれています。

雌阿寒岳へのオンネトーコースは、オンネトー湖畔にあるキャンプ場(オンネトー国設野営場)からスタート。雌阿寒岳登山道に入ると、針葉樹と落葉樹がまじりあった樹林帯が続きます。

落葉樹が多いので9月中旬になると紅葉が始まり、10月初旬には山の紅葉と湖面のオンネトーブルーが見事なコントラストを描きます。

その絶景に魅せられて毎年秋口にオンネトーコースで雌阿寒岳に登るというベテラン登山者が少なくありません。

このオンネトーコースは倒木が多く、苔むした倒木にアカマツなどの種がこぼれ落ち、それが芽を出して育っていく「倒木更新」という現象も見ることができます。

5合目付近から樹木はなくなりハイマツ帯に変わり、視界が広がります。6月~8月の夏場は、岩石や砂礫に咲く高山植物の可憐な花々を見ることができます。

7合目と8合目の中間には阿寒富士に進む分岐点があり、阿寒富士の頂点を踏んでから雌阿寒岳の頂上を目指すこともできます。

オンネトーコースは、雌阿寒温泉(野中温泉)コースより勾配が緩いのでそれだけ歩く時間を要しますが、初心者向けのルートです。

雌阿寒岳登山情報②

オンネトーコース 初心者向け
雌阿寒岳山頂までの距離 約4.4㎞
所要時間(標準) 登り2時間50分/下り2時間

【阿寒湖畔コース】壮大な景観を満喫できる初心者・中級者向けのルート

【阿寒湖畔コース】壮大な景観を満喫できる初心者・中級者向けのルート

阿寒湖畔コースは、阿寒湖温泉の西端からフレベツ林道(阿寒湖畔と国道240号線を結ぶ林道)を6㎞ほど登ったところにある雌阿寒岳登山口からスタート。

阿寒湖畔コースは、1.042m山と剣ヶ峰(マチネシリ)を巻くように登り、中マチネシリ火口の縁を通って山頂に到達します。

山頂までのルートは6㎞と長く、勾配は比較的緩やかなので、火山によって創り出された壮大な景観を存分に堪能できるルートとして人気です。

登山口からはトドマツの樹林帯で、4合目あたりでハイマツ帯に変わり、だんだん視界が開けてきて剣ヶ峰が見えてきます。

このあたりから硫黄のにおいが強まり、剣ヶ峰の脇を登っていくと広大な砂礫帯に突入します。

「月面のような」と表現されますが、何もない礫地が広がるばかりで、下からガスも沸いてくるため、あたりがほとんど見えなくなるときがあります。

天気が良く青空が見えるうちは心配ないのですが、霧が発生したり天気が急変すると目印のペイントも見えなくなるので細心の注意が必要です。

5合目あたりからかわいい高山植物に癒されながら砂礫帯を登っていきます。

緩やかだった勾配をきつく感じるようになると間もなく阿寒湖畔コースとオンネトーコースとの合流点。

合流点から青沼を目指して進んでいけば雌阿寒岳山頂に到着です。

雌阿寒岳登山情報③

阿寒湖畔コース 初心者・中級者向け
雌阿寒岳山頂までの距離 約6.0㎞
所要時間(標準) 登り3時間30分/下り2時間35分

登山初心者が注意したいこと

登山初心者が注意したいこと

地図とコンパスは必携

雌阿寒岳の森林限界は低く、そこを超えるとあとは岩屑や石ころだけの礫地帯となり、道がわからなくなることがあります。

目印のペイントやロープが張られている箇所もありますが、天気が急変したり濃霧が発生して何も見えなくなるときがあるので、地図とコンパスを携帯して、いつでもコースを確認できるようにしておきましょう。

真夏でも装備は万全に

阿寒湖畔の気温は8月でも最高気温が22℃前後です。標高が1,000m高くなると気温は6℃下がるといわれていますから、標高1,499mの雌阿寒岳の山頂は真冬並みの気温になります。

また、山で怖いのが風です。強風は体温をまたたく間に奪います。

雨に濡れたところに風に吹かれて低体温症で9名の登山者が亡くなるという事故が大雪山系の夏山で起こっています。

出発するときは晴天でも、しっかりした雨具や防寒具を用意していくようにしましょう。

火山対策も忘れずに

雌阿寒岳は小規模な噴火をこれまで何度も繰り返しており、気象庁が24時間監視する「常時観測火山」に選定されています。

雌阿寒岳に登るときは「活火山である」ことを意識して、登山する前に火山関連の情報をチェックしましょう。

気象庁のHPで「火山登山者向けの情報提供」として全国の火山状況を公表しています。

また、個々の火山ごとに防災マップを作成して登山希望者に配布しているので、その情報にも目を通して安全を確認するようにしてください。

登山者名簿を必ず提出しよう

登山口には登山者名簿(登山計画書、登山届)を投函するポストが備えられています。

「日帰り登山だから必要ない」「低山だから遭難の心配はない」と登山者名簿を無視する人がいますが、万一事故が起こったときはこの登山者名簿が唯一の手掛かりになる場合があります。

下山予定日に戻らないときなどは、登山者名簿でどの山にどんなメンバーで登ったのかがわかり、迅速に初動捜査が開始されます。

登山者名簿は所定の用紙に記入してポストに投函する方法だけでなく、アプリで作成して管轄の警察署や自治体にインターネットで送信する方法もあります。

登山者名簿には主に次のようなことを記入します。

①登山する本人と同行者の名前、生年月日、住所、連絡先

②登山日程(入山予定日、主な経由地と到達日時、下山予定日)

③登山コース(変更する場合のコースも記入)

④携行品(テント、コンロ、燃料、ラジオ、スマホ、充電器など)

⑤食料(非常食は何食分あるかを明記)

登山者におすすめ!阿寒湖畔の観光スポット

神秘の湖・阿寒湖とアイヌ文化の残る釧路市阿寒町は、北海道を代表する観光地の1つ。

雌阿寒岳登山の前後に楽しめるスポットを紹介します。

遊覧船でマリモに会いに行く

遊覧船でマリモに会いに行く

現在は、一般の人が阿寒湖に生息しているマリモを見ることができません。湖底のマリモの群生地に立ち入ることが制限されているからです。

そのため、阿寒湖に浮かぶチュウルイ島の「マリモ展示観察センター」で特別天然記念物のマリモを観察できるようになっています。

マリモ展示観察センターへのアクセスは遊覧船ですが、センター直行ではなく阿寒湖を周遊するので全体で1時間半ほどのツアーになります。

マリモ展示観察センター
所在地 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉2-6-20
営業時間 6:00~18:00
定休日 12月初旬~4月中旬
料金 大人410円、子供250円
遊覧船の料金 大人2,000円、子供1,040円
駐車場 なし
電話番号 0154-67-2511
ホームページ

アイヌ文化に触れるアイヌコタン

アイヌ文化に触れるアイヌコタン

コタンは「集落」の意味で、阿寒湖畔にアイヌ民族の家を再現した「アイヌ生活記念館」や、アイヌ古式舞踊などを披露する「阿寒湖アイヌシアター〈イコㇿ〉」のほか、アイヌ民芸品店やアイヌ料理が味わえる飲食店がずらりと立ち並ぶ集落があります。

アイヌシアター〈イコㇿ〉では、古式舞踊のほかに「ロストカムイ」「火のカムイの詩」などの舞台が繰り広げられています。

訪れた登山者からは「アイヌ文化に触れることができて価値のある旅行になりました」といった感想が多く寄せられています。

阿寒湖アイヌコタン
所在地 北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉4-7-19
営業時間 10:00~22:00(年中無休)
料金 古式舞踊 大人1,500円、子供700円
駐車場 約30台(施設利用で無料)
電話番号 0154-67-2727
ホームページ

原生林に囲まれた秘湯・野中温泉別館

原生林に囲まれた秘湯・野中温泉別館

大正3年に開湯した野中温泉は、周辺はエゾマツの原生林というまさに秘湯です。

シャワーもカランもない素朴な温泉ですが、雌阿寒岳の火山の恵みを受けた泉質は硫化水素泉で、加水も加温もしない源泉かけ流し。

露天風呂もあり、夜になれば満点の星を眺めながら登山の疲れを癒すことができます。

食事は地元の山菜などを中心にしたヘルシーメニュー。

野中温泉はそうした素朴さでリピーターを増やしている湖畔の宿です。

なお、野中温泉は本館と別館がありますが、現在は宿泊できるのは別館だけで、本館は日帰り入浴専門となっています。

雌阿寒岳から下山したら温泉で汗を流して帰りたいという場合は本館を利用するといいでしょう。

野本温泉別館
所在地 北海道足寄郡足寄町茂足寄159
営業時間 年中無休。日帰り入浴は9:00~20:00
宿泊料金 夕食朝食付き、2名利用時税込み8,359円/人~
日帰り入浴料 大人350円 小学生200円 幼児100円
駐車場 50台(無料・予約不要)
電話番号 0156-29-7321
ホームページ

【雌阿寒岳登山 まとめ】

雌阿寒岳登山のコースタイムは初心者でも2時間半程度。

標高は1,500mもないのに山頂からの眺めは圧巻で、立ち上る噴煙からは今なお続く大地の活動を見る思いがします。

登山初心者に最適な山として知られ、遠く関東や関西から訪れる人が少なくないようです。

ただし、どんな山でも甘く見てはいけません。特に登山初心者は最低でもここで紹介した注意点を守って、無理せず自分のペースで自然との触れ合いを満喫してください。

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