いろんな人が参加できる『ボッチャ』は、介護レクリエーションとしても人気です。
『ボッチャ』は、重度の脳性麻痺やカラダの機能障害の方のために考案された、ヨーロッパ発祥のスポーツ。
東京パラリンピックの正式種目にもなったので、『ボッチャ』の名前を耳にしたことがある方も多いでしょう。
今回は、介護レクリエーションにおすすめの『ボッチャ』について紹介します。
デイサービスや老人ホームなどの介護施設でレクリエーションを担当する方は、ぜひ参考にしてください。
レクリエーションゲーム『ボッチャ』とは
『ボッチャ』は、障害者の人でも楽しめるよう考えられたスポーツです。重度の脳性麻痺やカラダに機能障害がある方でもプレーできるよう考えられています。
まずは、『ボッチャ』について詳しく見ていきましょう。
歴史
『ボッチャ』の歴史は古く、原型ができたのは6世紀ごろのイタリアだそう。
『ボッチャ(Boccia)』の語源は、イタリア語のボール(Bocce)と言われています。
『ボッチャ』は、1984年に初めてパラリンピックで紹介され、世界からの注目を集めました。
日本では、1996年に千葉で行われた競技会を皮切りに、障害者スポーツとして広がっていったようです。特別支援学校などでは、授業に取り入れられることも。
その後、高齢者向けの介護施設などでもレクリエーションとして行われるようになりました。
パラリンピックの正式種目
『ボッチャ』は、1988年の韓国で行われたオリンピックで正式種目になります。その後も、度々パラリンピックの正式種目として登場。
近年は日本の選手団も活躍しています。
2016年のリオ大会で、日本チームは初の銀メダルを受賞。さらに、2021年に開催された東京オリンピックでは、杉村英孝選手が個人で金賞、チームも銅メダルを獲得しました。
テレビでも報道され、日本でも多くの人が『ボッチャ』を知るきっかけに。これからも、日本人選手の活躍に期待したいですね。
世界中で人気!
『ボッチャ』は、重度の障害があってもできます。老若男女関係なくプレーができる世界でも人気のスポーツです。
地上のカーリングとも言われ、新しいスポーツとして注目を集めています。
オリンピックにも、ポルトガルやオーストラリア、韓国、ブラジル、コロンビアなどの国が出場。
『ボッチャ』は世界中で楽しまれているのです。
ボッチャが介護レクリエーションとしてぴったりな理由
それでは、『ボッチャ』が介護レクリエーションにおすすめな理由を紹介します。
デイサービスや老人ホームなどの介護施設で働く方は参考にしてください。
高齢者の適度な運動になる
『ボッチャ』には、いろんな投げ方があるので、いろんな高齢者が参加できます。介護施設には、車椅子生活の方がいる場合もありますよね。
ボールを投げたり蹴ったりしても構いません。補助道具を使って転がすことも可能です。
足の運動目的なら、みんなで蹴って楽しむのも良いでしょう。
『ボッチャ』は、目印となるジャックボール(白いボール)に、自分のボールを近づけられるように投げるゲームです。
狙った通り投げられるか夢中になる方も多いようですよ。
脳の活性化になる
『ボッチャ』はシンプルですが、戦術を必要とするスポーツなので、脳の活性化にも効果的です。高齢者の認知症予防などにもなるでしょう。
相手が球を投げにくくなるような場所に自分のチームのボールを投げ置いたり、他のボールに当ててジャックボールから遠ざけたりして楽しみます。
1投目以降は、ジャックボールから遠いボールの人から投げるルールです。どのように順番が巡ってくるのか考慮する必要があります。
始めにジャックボールに近づけるのか、遠くにするのか。
投げにくい場所に投げるのか、とにかく近づけてみるのかなど、いろんな工夫ができそうですね。
戦術がハマれば、勝利したときの喜びも大きいでしょう。
みんなが参加できる
『ボッチャ』は、立っていても、座っていても参加できます。本人が投げることができなくても、転がす補助道具を使うことも可能です。
介護施設でのレクリエーションなら、本人の代わりに投げる人を作っても良いでしょう。
チームや個人戦でも楽しむことができるので、参加人数によって工夫するのも◎。
障害者向けに考えられたルールだからこそ、いろんな人が参加できるレクリエーションなのです。
コミュニケーションを活性化
『ボッチャ』をチーム戦で楽しむときには、メンバー同士の戦略の共有が必要です。話合いながら戦術を考えて、チームを勝利に導きましょう。
個人戦でも、お互いのプレーを応援したり、褒めあったりと盛り上がります。
「あ〜狙ったところに行かなかった〜」
「お!一番近くに転がせたぞ!」
「ここを狙うと良いかも!」
など、声を掛け合いましょう。
みんなでコミュニケーションを取りながら楽しめるようリードしたいですね。
ボッチャのルールを徹底解説!
それでは、『ボッチャ』のルールを紹介します。介護レクリエーションにアレンジするためにも、まずは正しいルールを理解しましょう。
コートについて
ボッチャで使用するコートは、縦6m×横12.5m。バトミントンコートより少し小さいコートです。
端から2.5mラインをボックスに区切り、スローイングボックスを作ります。スローイングボックスは人数によって変わるので、参加人数に合わせましょう。
ジャックボールの無効ゾーンは、スローイングラインから3m地点と真ん中の1.5m地点を結んだエリアです。
真ん中のクロスは、スローイングラインを除いた縦6m×横10mの中心に置きましょう。
体育館などでプレーをするなら、スローイングラインを調整して、バトミントンコートを使っても良さそうです。
ゲームに必要な用具
『ボッチャ』に必要な用具は、白いジャックボールと青と赤の6個のボールです。
他にもジャックボールとの距離を測るキャリパーや、審判道具のパドルなどがあります。
得点板もあるとよりプレーを楽しめます。
コートを作るときに必要なメジャーとテープなども用意しましょう。
公式のボールはセットで販売されています。
レンタルもあるので、『ボッチャ』を試したいときなどに利用すると良いでしょう。
プレイ方法
『ボッチャ』のプレイ方法を見ていきましょう。
一通りの流れを紹介するので、確認してください。
- 第1エンドは、赤のチームが先攻になります。
- 先攻となるチームがジャックボールを投げましょう。自分の陣地に近いところに投げても構いません。
- 赤のボールのチームが1投目を投げます。
- 次に後攻のチームが青のボールを投げましょう。
- その後は、ジャックボールから遠いボールを投げた人が投球を行います。
※もし遠いボールのチームが6個のボールを投げ終わった時点で相手チームのボールが残っていたら、相手チームが連続して投げます。 - 赤と青6個のボールを全て投げ終わったら、ゲーム終了です。
- 最後に審判がジャックボールから近いボールがいくつあるのかを確認し、得点をチームに入れます。
ペアで行うときは第4エンドまで。チーム戦で行うときは第6エンドまで行います。
得点の数え方
ジャックボールに一番近いボールのチームのみ得点が加算されます。
『ボッチャ』の加算方法は、球1個につき1点です。
ジャックボールに一番近い相手ボールを探し、ジャックボールを中心に円を描きましょう。
その円の中に何個ボールが入っているかで得点が決まります。
最後のエンドまで行って、最終的にどちらのチームの得点が多いかで競いましょう。
赤と青両方のボールが同じ距離でジャックボールに近い場合は、その次に遠いボールで円を描きます。
円の中に青と赤のボールが入っていれば、両チームに1点ずつ加算されるルールです。
プレイするときの注意点
ここでは、『ボッチャ』をプレイをするときの注意点を見ていきましょう。イレギュラーなことが起きても慌てずに対処できるようにしたいですね。
投げたボールが他のボールやジャックボールに当たってしまった
投げたボールが他のボールに当たるのは、特にルール違反ではありません。
相手の球をどけたり、自分のボールの位置を変えたりして、よりジャックボールに近づくように工夫しましょう。
また、ジャックボールにボールを当てて動かすことも可能です。
ジャックボールがコートの外に出てしまった場合
万が一、ジャックボールがコートの外に出てしまった場合は、クロスの場所にジャックボールを戻します。
初めの一投で出てしまうことや、自分のボールを当ててジャックボールをコートから出すことができます。
不利な状況を打開できるチャンスを作りたいときなどは、わざと外に出すことも。戦術として利用することができるルールです。
選手がラインを踏んで投球した場合
スローイングラインを踏んだり、超えたり下場合は、投げたボールが無効となります。ただし、主催団体により、このルールを適用しない場合もあるようです。
罰則ルールは、大会により違う場合があるので、事前に大会ルールを確認をしましょう。
【おすすめ】高齢者向けのルールアレンジ
ここからは、『ボッチャ』のアレンジ方法について紹介します。
老人ホームやデイサービスなどの介護施設で、『ボッチャ』を企画する方は参考にしてください。
高齢者でも楽しめるよう『ボッチャ』のルールをアレンジしましょう。
コートの広さを調整しよう
老人ホームやデイサービスなどの介護施設でのレクリエーションは、室内で行われることも多いです。『ボッチャ』のコートは意外と広いですよね。
レクリエーションなら、コートの広さをアレンジしても構いません。
部屋に合わせてコートの広さを調整して、みんなで楽しみましょう。
滑り台を使ってもOK
『ボッチャ』は、元々参加者の障害の度合いによって、滑り台の使用が許可されています。
正式な道具を用意するのは難しいかもしれませんが、ボールを転がせる筒状のものなど代用できそうなものがあれば用意しておきましょう。
用意できない場合は、代わりに他の人に投げてもらうのもおすすめです。
その場にあったアレンジを加えましょう。
スローイングボックスを工夫する
『ボッチャ』のスローイングボックスは横に並んでいます。
しかし、介護施設によっては、部屋に十分な広さがなく、スペースがしっかりと取れない場合も。
その場合は、スローイングする位置をアレンジしましょう。
的のように中心に向かってスローイングするのも面白いです。
いろんな角度で勝負をすると、また違った戦術が必要となって楽しめますよ。
1チームの人数を増やす
通常『ボッチャ』のゲームは、2対2や3対3で戦います。しかし、介護施設などでレクリエーションをする場合は、参加人数が多くなることもありますよね。
『ボッチャ』のボールは、赤と青6個ずつあります。1人1個のボールを渡して、ゲームを楽しんでもらいましょう。そうすれば、1度のゲームで12人が楽しめます。
施設内でチームを組んで、トーナメント戦などにするのも面白いかもしれませんね。
ゲーム数を少なくする
『ボッチャ』の公式ルールでは、通常ペア戦で4回、団体戦では6回行います。高齢者に楽しんでもらう場合は、ゲーム数を少なくしても良いでしょう。
3回程度にして、ゲームをどんどん回していけば、みんなが楽しめます。
参加人数などによって、ルールをアレンジをしてくださいね。
道具を手作りしよう!
介護施設のレクリエーションなら、みんなで『ボッチャ』の道具を手作りしてみるのもおすすめです。
『ボッチャ』の道具は、安くはありません。気軽に行いたい場合は、レンタルすることも可能ですが、毎回レンタルをするわけもいかないですよね。
手作り方法はさまざま。
一番簡単なのが紙を使うことです。新聞紙などを丸めて赤や青のボールを用意すれば、ゲームと楽しむことができます。
重さが足りない場合も考えられるので、何か重さのあるものを中心に入れても良いでしょう。
手作りのボールは思いも寄らない方向に転がることも。味のあるゲームが楽しめますよ。
記事まとめ
『ボッチャ』は、オリンピックの種目にもなるスポーツ。元々が障害者用のスポーツなので、介護向けレクリエーションにもアレンジしやすいです。
シンプルだけど、奥深いゲームなので、高齢者もハマる人が続出。
チーム対抗『ボッチャ』大会を開いてみるのも面白いかもしれませんね。