高齢者が利用する老人ホームや介護施設、デイケアなどでは、利用者を楽しませるためにレクリエーションを行います。
レクリエーションは、高齢者の身体機能の改善・コミュニケーションの促進・リフレッシュなどに効果的です。
しかし、高齢者の方は、車椅子を利用している人や、歩くのが困難な人もいらっしゃいます。
みんなで同じようにゲームを楽しむことができない場合もありますよね。
今回は、座ったままできる高齢者向けレクリエーションを紹介します。ぜひ参考にしてください。
座ったままできる高齢者レクリエーションが必要な理由
老人ホームや介護施設、デイサービスでは、利用者さんの楽しみや生活リズムをつくるためにレクリエーション(レク)を行います。
座ったままでできるレクリエーションは、体力差があっても参加しやすく、交流や気分転換にもつながります。
車椅子の方や立位が不安定な方がいると、同じゲームでも参加しにくい場面が出てきます。
高齢者向けレクリエーションの主な効果

座位レクは「楽しい」だけでなく、心身の維持にも役立ちます。
目的が見えると企画もしやすく、利用者さんへの声かけも具体的になります。
認知機能の維持につながる
クイズや言葉遊び、手先を使う遊びは、考える機会や刺激を増やせます。
- 短時間でも「考える→答える」の繰り返しが脳の活性化につながりやすい
- 難易度は「8割くらい正解できる」程度が参加しやすい
- 失敗しても笑えるルールにすると空気がやわらぐ
正解・不正解だけに寄せず、会話が広がる形式にすると継続しやすいです。
身体機能の維持と転倒予防を支える
座ったままでも、上肢・体幹・下肢の刺激は作れます。
- 小さな動きでも「毎回少しずつ」続けることで筋力低下を遅らせやすい
- ボールや風船は関節への負担が少なく取り入れやすい
- 「肩が上がる」「体幹が起きる」など小さな変化を褒める
運動系は無理をさせず、できる範囲で達成感を作るのがコツです。
気分転換・リラックスで表情がやわらぐ
いつもと違う体験は、日々の単調さを和らげるきっかけになります。
- 懐かしい音楽や季節行事は「思い出」につながりやすい
- 香りや触感など五感を使うと集中しやすい
- 頑張る系のレクと交互に入れると疲れにくい
「癒やしの時間」として位置づけると、参加を促しやすくなります。
コミュニケーションが自然に増える
高齢になると外出機会が減り、会話量も減りやすくなります。
- ゲームは共通の話題を作り、会話のきっかけになりやすい
- ペアやチーム形式にすると協力が生まれる
- 職員さんが「聞き役」に回るだけでも盛り上がる
会話が増えるほど、その日の満足感も上がりやすいです。
【種類別】座ったままできる高齢者向けレクリエーション
ここからは、現場で使いやすい座位レクを「目的別」にまとめます。
同じ種類でも、道具やルールを変えるとマンネリを防げます。
脳トレ系(考える・思い出す・手先を使う)
脳トレ系は座位で行いやすく、準備も軽く済むことが多いです。
- 後出しじゃんけん(例:「あいこ→負け→勝ち」の順で出す)
- しりとり(例:食べ物限定、地名限定、三文字限定)
- 漢字クイズ(新聞の見出し、季節の言葉、難読地名など)
- 回想トーク(昔の遊び、学校行事、初任給の使い道など)
勝ち負けより「思い出」や「笑い」を作る設計にすると参加率が上がります。
| レクリエーション | 期待できる効果 |
|---|---|
| 後出しじゃんけん/かるた/カードゲーム | 認知刺激、注意力、交流 |
| 漢字クイズ/なぞなぞ/しりとり/回想トーク | 言語機能、想起、コミュニケーション |
運動・体操系(座位で安全に体を動かす)
運動系は「軽い負荷」で十分です。
- 風船バレー(椅子に深く座り、テーブル越しでもOK)
- お手玉キャッチ(片手→両手→色指定などで調整)
- ピンポン玉ゴルフ(紙コップや箱をカップ代わりに)
- 新聞紙ホッケー(丸めた新聞をスティックにして安全に)
始める前に「痛みがある部位」「今日の体調」を確認し、無理のない動きだけに絞ります。
| レクリエーション | 期待できる効果 |
|---|---|
| 風船バレー/お手玉/ピンポン玉ゴルフ/新聞紙ホッケー | 上肢運動、反応、達成感 |
| 椅子ストレッチ/ボール体操/タオル体操 | 可動域維持、呼吸が深くなる、リフレッシュ |
創作系(作る楽しみ+会話が増える)
創作は「作品が残る」ので、展示や家族への共有にもつながります。
- 折り紙(季節の飾り、壁面づくり)
- パステルアート(指や綿で塗れるので負担が少ない)
- 苔玉づくり(触感がよく、手順がわかりやすい)
- 簡単調理(桜の時期の和菓子、秋の味覚など)
材料は「切る工程を職員が担当」など役割分担すると、参加が難しい方も関われます。
| レクリエーション | 期待できる効果 |
|---|---|
| 折り紙/壁面制作/パステルアート | 手指の刺激、集中、達成感 |
| 苔玉づくり/簡単調理 | 五感刺激、回想、交流 |
音楽・回想系(懐かしさを味方にする)
音楽は好みが分かれるため、世代の中心を意識して選曲します。
- 歌詞カードで歌う(大きい文字、読みやすい行間)
- イントロクイズ(曲名より「歌手当て」などでもOK)
- 写真や道具を見ながら思い出を話す(回想法)
- 手拍子・簡単リズム(座位で十分盛り上がる)
正確さを求めすぎず、「覚えている部分だけ」で進めると安心感が出ます。
リラクゼーション系(頑張らない時間を作る)
刺激の強いレクが続くと疲れやすいので、合間に入れると全体が整います。
- ハンドマッサージ(アレルギー確認、力加減は軽め)
- アロマ(香りが苦手な方がいれば無理に使わない)
- 呼吸法(4秒吸って、6秒吐くなど)
- 椅子ヨガ(首・肩・背中をほぐす程度)
「静かな時間」を意図的に作ると、その後の活動にも集中しやすくなります。
| レクリエーション | 期待できる効果 |
|---|---|
| ハンドマッサージ/呼吸法/椅子ヨガ | リラックス、睡眠の質、落ち着き |
| 音楽鑑賞/自然映像/季節の景色を楽しむ | 気分転換、安心感、会話のきっかけ |
道具なし・準備が軽い系(急な空き時間に便利)
人手が少ない日や、短い時間で回したい日に役立ちます。
- 指体操(グー・チョキ・パー、左右で違う動き)
- 言葉連想(「春といえば?」を順番に言う)
- 数当て(1〜20で「大きい/小さい」ヒント)
- 拍手ゲーム(手拍子の回数を合わせる)
短時間でも「できた」を積み上げると、次回の参加意欲につながります。
レクリエーションを企画・実施するときの注意点

座位レクでも、安全と尊重が最優先です。
現場で起きやすいポイントを、チェック形式で整理します。
安全面を最優先にする
座っていても、前のめりや腕の振りでバランスを崩すことがあります。
- 椅子は安定したものを使い、キャスターは固定する
- 足が床につく高さに調整し、深く座ってもらう
- 道具の破損や尖り、滑りやすさを事前確認する
「危なそうな方には職員が近くにつく」だけでも事故リスクは下げやすいです。
参加を強要せず、役割で関われる形にする
気分や体調で参加したくない日もあります。
- 見学OK、応援OK、採点係OKなど「席でできる役割」を用意する
- できないことより「できる形」を先に提示する
- ルール理解が難しい方には個別に短く説明する
関わり方の選択肢があると、雰囲気が穏やかになりやすいです。
水分補給と室温管理をセットで行う
小さな運動でも汗はかきます。
- 開始前・途中・終了後で声かけして水分を促す
- 夏は冷房で乾燥しやすいので喉の状態も確認する
- 冬は暖房で脱水しやすいため「こまめに一口」を促す
「飲んでください」より「一口だけでもどうぞ」の方が受け入れられやすいです。
季節感を入れてマンネリを防ぐ
室内中心の生活では、季節を感じる機会が減りやすいです。
- 月ごとにテーマ(桜、夏祭り、紅葉、クリスマスなど)を決める
- 歌、創作、クイズを同テーマで揃えると統一感が出る
- 飾りを一緒に作って掲示すると「参加の痕跡」が残る
行事は大がかりにせず、短時間でも季節が伝わる要素を入れるのが現実的です。
よくある質問(FAQ)
レクリエーションは毎日やるべきですか?
毎日でなくても構いません。
- 目安は「短時間でも継続できる頻度」
- 疲れが強い方が多い日はリラクゼーション中心にする
- 週の中で「運動・脳トレ・創作」を分散すると偏りが減る
大切なのは、無理なく続けられる設計にすることです。
座ったままの運動レクで気をつけることは?
座位でも転倒や肩の痛みは起こり得ます。
- 肩関節に痛みがある方は「上に上げる動作」を避ける
- 風船や柔らかいボールなど安全な道具を選ぶ
- 息切れ・顔色・発汗などを見て強度を下げる
体調の変化に早く気づけるよう、見守りの位置取りが重要です。
盛り上がらないときの立て直し方法は?
進行側が完璧に回そうとすると、逆に硬くなりがちです。
- 職員がわざと小さく失敗して笑いを作る
- 難易度を下げて「成功体験」を増やす
- ルール説明を短くし、まず一回やって見せる
「できた」「わかった」が出ると、雰囲気は戻りやすいです。
まとめ:座位レクリエーションは参加のハードルを下げられる

高齢者のレクリエーションは、運動が得意な方だけのものではありません。
座ったままできるレクを中心にすると、体力差があっても参加しやすくなります。
脳トレ・運動・創作・音楽・リラクゼーションをバランスよく回し、利用者さんが安心して楽しめる時間を作っていきましょう。





