行事・イベントなどを主催する場合は、万が一参加者が事故でケガをしたり、死亡したりする場合に備えてレクリエーション保険に加入すると安全です。
しかし、団体が少人数だとレクリエーション保険の加入条件を満たせないケースもあります。
そこで今回は、レクリエーション保険に少人数で加入する場合にチェックするべきポイントを紹介。
レクリエーション保険の基本的な補償内容はもちろん、少人数で補償を得るための対処法も併せて確認しましょう。
この記事は、次のような人におすすめの内容です。
- 少人数でレクリエーション保険に加入したい人
- レクリエーション保険を少人数で契約した場合のデメリットが知りたい人
- 少人数過ぎて加入できるレクリエーション保険が見つからない人
レクリエーション保険は少人数の団体でも加入できる
結論から言うと、レクリエーション保険は少人数でも加入できる保険商品です。
ただし、損保会社ごとに設定された加入条件を満たす必要があります。最低人数を満たしていないと、加入できないレクリエーション保険もあるので注意しましょう。
少人数とは言っても、20人以上は必要
一般的なレクリエーション保険の場合、少人数とは言っても行事・イベントの参加者が20人以上必要なことが多いです。
たとえば、損保ジャパン日本興亜の「レクリエーション補償プラン」では、最低参加人数が20名とされています。
20名以下の少人数で料理教室や演劇などの習い事を開催する場合は、加入できるレクリエーション保険の種類が非常に少ないです。
保険商品によっては、最低参加人数を下回っていても「最低保険料」を支払えば問題ないという場合もあるため、保険会社や保険代理店に問い合わせが必要です。
損保ジャパン日本興亜「レクリエーション補償プラン」
https://www.gia-agency.jp/images/stories/pdf/%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E4%BF%9D%E9%99%BA.pdf
レクリエーション保険の補償内容と補償対象
先程も説明したとおり、レクリエーション保険は最低20名以上の参加者がいる場合に契約できる保険です。
運動会やスポーツ大会、お祭りなどを開催する場合でも、20名以上いれば加入することができます。
契約する際には、イベント主催者が参加者全員をまとめて加入するため、大きな手間がかかりません。
ただし、名簿などで参加者を把握できる資料が必要になる点に注意が必要です。
行事・イベントの参加者のケガが補償される
一般的なレクリエーション保険の場合、基本補償は「行事・イベント中の不慮の事故による参加者のケガ」になります。
もう少し詳しく説明すると、参加者がイベント・行事の開催場所に集合してから解散するまでに起きた偶発的な傷害事故が補償対象。
怪我の治療のための通院や入院などにかかる費用が保険金支払いの対象になります。
また、万が一、参加者が死亡した場合もレクリエーション保険の補償が適用されます。
いずれにしても、「1つのレクリエーション保険に加入すると、そのレクリエーションに参加するすべての人のケガが補償対象になる」と覚えておきましょう。
補償の対象となるイベント・行事
レクリエーション保険に加入できる行事・イベントは、損保会社ごとに設定されています。行事・イベントの危険度が高いほど保険料が高くなるのも、レクリエーション保険ならではのポイントです。
今回は、例として損保ジャパン日本興亜の「レクリエーション補償プラン」の補償対象の行事・イベントを紹介します。
レクリエーションの区分 | レクリエーションの種類 | 保険料の高さ |
---|---|---|
A | いちご狩り、日帰り遠足、海水浴、ゲートボール、ソフトボール大会、テニス、バレーボール、ボウリング、盆踊り、ラジオ体操、料理教室、バーベキューなど | 低い |
B | 運動会、日帰りキャンプ、軟式・準公式野球、ハンドボール、避難訓練、マラソン、サイクリング、魚釣り(船不使用)など | 普通 |
C | 公式野球、サッカー、柔道、空手、相撲、スキーなど | 高い |
損保ジャパン日本興亜 レクリエーション保険パンフレット
https://www.gia-agency.jp/images/stories/pdf/レクリエーション保険.pdf
なお、損保会社によってはレクリエーション保険のパンフレットに記載されていない行事・イベントでも、事前に相談することで加入できる場合があります。
上表にないゴーカート大会やよさこい祭りなどの行事の開催を検討している場合でも、諦めるのは早いです。
気になるレクリエーション保険を見つけたら、ダメ元で損保会社に問い合わせるのも1つの方法です。
特約で補償を手厚くする方法もある
少人数で加入する場合でも、レクリエーション保険は一般的な保険商品と同様に、特約を付帯して補償内容を手厚くできます。
特約の内容は契約する損保会社によって異なりますが、レクリエーション保険に付けられる主な特約には次のようなものがあります。
レクリエーション保険に付帯できる特約の種類 | 特約の補償概要 |
---|---|
賠償責任保険特約 | レクリエーション保険の契約者が法律上、損害賠償責任を問われた場合に保険金が支払われる。参加者のケガの治療費用だけでなく、物損も補償対象 |
熱中症危険補償特約 | 参加者が行事・イベント中に発症した熱中症が原因で身体に障害を被った場合に、保険金が支払われる |
たとえ少人数で開催する行事でも、必要に応じてレクリエーション保険の補償を手厚くすることは大切です。
開催する行事・イベントの危険度や保険料金などを考慮して、少人数の団体に合ったレクリエーション保険に加入しましょう。
少人数でレクリエーション保険に加入するデメリット
少人数でもレクリエーション保険に加入すれば、万が一参加者がケガをしたり、傷害を負ったりした場合に治療費の補償が適用されます。
しかし、団体が少人数すぎることで感じるデメリットもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
少人数では団体割引が受けられない、少ない
レクリエーション保険の保険料金は、団体の人数が多くなるほど割引される仕組みになっています。
例えば、先に紹介した損保ジャパンのレクリエーション保険は、団体の人数によって次の表の通り保険料金が割引されます(AとBのいずれか安い料金が適用される)。
レクリエーション保険の 団体割引率 |
A | B |
---|---|---|
0% | 20人相当の保険料金 | 1,000円 |
5% | 50人相当の保険料金 | 2,000円 |
10% | 500人相当の保険料金 | 5,000円 |
15% | 1,000人相当の保険料金 | 100,000円 |
20% | 3,000人相当の保険料金 | 300,000円 |
損保ジャパン日本興亜 レクリエーション保険パンフレット
https://www.gia-agency.jp/images/stories/pdf/レクリエーション保険.pdf
上表から、レクリエーション保険の保険料金は団体の人数が多いほど安くなることが分かります。
少人数でも保険料金を支払えば補償は得られますが、大人数の団体と比較すると少人数の場合はお得感を少なく感じるかもしれません。
少人数すぎると加入できない保険商品がある
レクリエーション保険は少人数でも加入できる保険商品ですが、基本的には20名以上の団体が対象。20名以下でも、保険会社に問い合わせをして問題がなければ加入することもできますが、あまりに少人数すぎると断られることもあります。
契約条件をクリアしなければ、いくら開催する行事・イベントにぴったりな補償内容のレクリエーション保険でも、「団体が少人数」という理由で加入できないので注意が必要です。
20人以下の少人数で保険に加入したい場合の対処法
いろいろな損保会社でレクリエーション保険が販売されていますが、20人以下の少人数でも必ず加入できる商品を見つけるのは難しいです。
しかし、行事やイベントの主催者としては、「レクリエーション保険のような、ケガに対する補償が必要」と考える方も多いでしょう。
そこでこの章では、20人以下の少人数の団体で行事・イベントを開催するときに、どうしてもレクリエーション保険に入りたい場合の対処方法を紹介します。
レクリエーション保険の必要性を見直す
そもそも、20名以下の少人数の団体でレクリエーション保険に加入する必要があるのかを見直しましょう。
例えば、参加者のほとんどが家族なら、行事・イベントの主催者がケガの治療費に関する責任を取らなくてもいい場合があります。
また、参加者が個人で損害保険や医療保険などに加入している場合には、そちらで十分な補償(保障)が得られることもあります。
参加者の状況を確認して、よく検討してみましょう。
レクリエーションを実施する人数を調整する
もともとグループが少人数だと難しいですが、レクリエーションを実施する人数を増やす方法もおすすめです。
これを機会に、参加者に頼んで友人や同僚、先輩などをメンバーに加えるのもいいでしょう。
また、レクリエーションを実施する日をずらして、できるだけ少人数にならないようにする方法もあります。
スポーツ保険・レジャー保険などに加入する
レクリエーション保険以外の補償を検討するのもいいでしょう。
例えば、レクリエーション保険の代用になり得る保険には、次のようなものがあります。
イベント・行事などを開催する主催者のための賠償責任保険。参加者や観客がイベント・行事中にケガをして法律上の損害賠償責任を負った際に、損害賠償を補償する。イベント1回ごとにイベント主催者が加入する必要がある。
スポーツ活動をしている間にケガをした際に、治療費が補償される傷害保険。年間契約が多く、参加者が加入する必要がある。文化活動、ボランティア活動も補償の対象となるものがある。
登山時の遭難救助費用や、ケガを負った際の治療費が補償される傷害保険。1日単位で加入できるものや、1ヶ月、3ヶ月、1年などの期間で加入するものもある。参加者が加入する必要がある。
スキーやスノーボード、ゴルフ、ハイキングなど様々なスポーツ・レジャーの際に負うケガの治療費を補償する傷害保険。1日単位で加入できるものが多い。参加者が加入する必要がある。
いずれも100%レクリエーション保険の補償内容を代用できるわけではありません。
しかし、レクリエーション保険に似た補償が得られるので、少人数過ぎてレクリエーション保険への加入が難しい場合はぜひ検討してみてください。
行事・イベントが1日だけでも加入できるものも多いため、友人数人とレジャーに行く場合にもおすすめです。
まとめ:人数に応じて適した保険を選ぼう
レクリエーション保険は、少人数の団体でも損保会社が指定する加入条件を満たせば問題なく契約できます。
しかし、加入者を20人以上の団体に限定しているレクリエーション保険が多いです。問い合わせをすれば20名以下の少人数でも加入できる場合がありますが、確実に加入できるとは言えません。
そのため、20人以下の少人数でレクリエーション保険に加入を検討している場合、他の保険商品で代用するのも1つの手です。
レジャー保険、スポーツ保険など、少人数でも加入できるアウトドア向けの保険があるので、そちらを検討してみましょう。
監修者のコメント
20名以下の小人数で行事を行う場合の保険として、人数制限によりレクリエーション保険に加入できない場合は、国内旅行傷害保険での契約も検討してみてください。レクリエーション保険には劣りますが、保険料は比較的割安になっています。(検討の際は保険会社や代理店に事前に相談をしてください。)
当記事の監修者:遠山直孝
- 保険コンプライアンス・オフィサー2級
- ファイナンシャルプランナー(AFP)
- 損保大学(法律・税務)※
国立大学卒業後、大手保険会社に27年勤務し、現在は損害保険代理店に所属。営業、企画部門での多彩な経験から、法律・税務を踏まえた実用的な保険の活用に精通しており、日々情報を発信しています。
※損保大学とは、損害保険の募集に関する知識・業務を向上させるために日本損害保険協会が立ち上げた制度。当監修者は「法律・税務」などの知識を深める専門コースを修めています。