社員の交流やリフレッシュを兼ねて行うソフトボール大会や社内・会社対抗運動会。楽しい行事ですが、参加者がケガをしてしまう可能性もあります。
骨折などの大きなケガの場合、社員の生活も心配しなければなりません。
ケガの補償に会社の労災は使えないか?と質問されることも多いようです。
この記事では、労災保険がソフトボール大会や社内・会社対抗運動会などのケガでも使えるのかという点に注目をしました。
ソフトボール大会や社内運動会の主催者の方は参考にしてください。
【会社のソフトボール大会における労災認定】原則、認められない
会社で主催するソフトボール大会などでケガをした場合は、原則、労災認定には認められないことが多いです。
労災認定されるかのポイントは、その運動が業務行為かどうか。業務上と認められる場合のみ労災を使えます。
まずは、ソフトボール大会や運動会などが、労災の認定基準に当たるのかについて見ていきましょう。
ソフトボール大会や運動会を主催する方は一度目を通しておくことをおすすめします。
ソフトボール大会や社内運動会などの労災認定基準
労災保険は、仕事に従事しているときや仕事先に向かう通勤途中で負ったケガや病気に対して、必要な保険給付を行う制度です。
ソフトボール大会や社内運動会では、ほとんどの場合が休日に任意参加で開催をされますよね。
参加も自由、出勤扱いにもならないソフトボール大会や社内運動会では、労災の認定基準を満たしてはいるとは言えない場合が多いようです。
労災はあくまで、勤務をしているときに適用される社会保険ということを忘れないようにしましょう。
労災の対象となるケース「対外的な運動競技会」とは
ソフトボール大会や運動会でも、労災の対象となるケースがあります。それは、、「対外的な運動競技会」と認められた場合です。
「対外的な運動競技会」とは、会社の仕事としてスポーツを行った場合などを言います。
労災の認定ポイントは出勤扱いなのかどうかという点。出張として取り扱われ、移動や宿泊費などを会社が支払っている場合は、認定される可能性があります。
例えば、会社のソフトボールチームに所属し、業務として会社の対抗試合に出場。
その際にかかる移動などの費用を会社が負担をしている場合は、労災と認定される可能性があります。
企業内でも社内でも、ソフトボール大会や運動会で、参加者が出勤扱いとなるなら「対外的な運動競技会」のケースと考えられる場合もあるようですね。
労災保険について
ここでは、労災保険について簡単に説明します。
労災保険とは
労災保険とは、労働者の保護や社会復帰の促進などのために考えられた制度です。労災保険については、厚生労働省のホームページで確認ができます。
労災保険とは、以下のように定義されています。
労災保険とは、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。また、労災保険においては保険給付のほかに、労働福祉事業を行っています。
引用:東京労働局
業務災害とは、業務が原因で負傷したり、病気になったりすること。また、通勤災害とは、家から仕事場までの通勤途中に負傷したり、病気になったりすることです。
労災保険の適用については、多くの場合、労働者が業務に従事しているかどうかが問題となるようです。業務上とはどのような状態なのか詳しく見ていきましょう。
業務上の行為とは?
業務上の行為として認められるには、「業務起因性」と「業務遂行性」があるかどうかが重要となります。
「業務起因性」とは、業務によって負った傷病であるかどうか。
「業務遂行性」とは、業務を行っている最中に負った傷病であるかどうかです。
厚生労働省の公開する資料「労災保険給付の概要について」に詳しく書いてあるので、一読してみてください。
労働者が仕事中にも関わらず、私用で出ていた場合などは、業務上とは認められないこともあるようです。
給付について
労災として認定されると、給付を申し出る必要があります。業務上のケガなどについては、療養(補償)等給付に当たる項目を確認しましょう。
療養(補償)等給付とは、「療養の給付」と「療養の費用の支給」の2つがあります。
「療養の給付」は、指定の医療機関で無料で治療をしてもらうことです。もちろん薬も無料で受け取ることができます。
指定の医療機関は全国にあり、厚生労働省では、検索ページを公開しています。
また、「療養の費用の支給」とは、近くに指定医療機関がなく、自分で治療費を支払った費用を支給してくれる制度です。
「療養の費用の支給」は、後から請求を行うと給付を受け取ることができます。
給付される範囲は、以下のように定義されています。
療養(補償)等給付は、治療費、入院料、移送費など通常療養のために必要なものが含まれ、傷病が治ゆ(症状固定)するまで行われます。
労災保険は、労働者の業務中、または業務に向かう通勤途中での負傷において治療費が補償される制度です。
ソフトボール大会や社内運動会を休日に行う場合は、出勤扱いでない場合がほとんど。自由参加では、労災が使えません。
ソフトボール大会や社内運動会を主催する場合は、他の保険などを用意しておくことをおすすめします。
ソフトボール大会や社内運動会を開催する場合は「レクリエーション保険」への加入がおすすめ
ソフトボール大会や社内運動会を開催するなら、みんなに安心して楽しんで欲しいですよね。
ソフトボール大会や社内運動会を主催するなら、出場者のケガを補償してくれる「レクリエーション保険」がおすすめです。
一般的な加入条件
「レクリエーション保険」の一般的な加入条件には、下記のようなものがあります。
- 20名以上の団体であること(保険会社によって変動あり)
- 参加者の名簿を用意できる
また開催日・参加者数に加え、開催するレクリエーション行事が補償対象となるかどうか、レクリエーションの種類を確認するようにしましょう。
保険契約時には個別か年間包括契約かを選べます。ソフトボール大会や社内運動会が年間を通して何度も開催される場合は、年間包括契約も検討しましょう。
ただし、レクリエーションの種目別に契約が異なります。いろんな種類の行事を開催するときは、保険会社の方に相談をしてから申し込みをしましょう。
主な補償内容
「レクリエーション保険」の主な補償内容を見ていきましょう。
死亡保険金
外来的な事故によって事故発生日から180日以内に死亡された場合に支払われます。故意にケガをされた場合などは認められません。
後遺障害保険金
外来的な事故によって事故発生日から180日以内に後遺障害が生じた場合に支払われます。
後遺障害とは、治療を続けても回復の見込みがなく、労働能力を喪失した状態を表します。
入院保険金
外来的な事故によって事故発生日から180日以内の入院日数に対して、日額で支払われる保険金です。
スポーツなどでのケガは、治療に入院が必要な場合もありますよね。参加者の入院費を補償してくれます。
手術保険金
外来的な事故によって事故発生日から180日以内に行われた手術の費用を負担してくれます。
靭帯や骨折など、大きなケガには手術がつきもの。
ただし、1回のみと規定されている場合もあります。2回目以降は保険が効かない保険もあるので注意しましょう。
通院保険金
治療に必要な通院の費用をカバーする保険金です。こちらも180日以内の通院が多いです。また、保険によっては、支払いの限度日数がある場合も。
入院保険が適用されている日などは負担されないので確認をしましょう。
ソフトボール大会や社内運動会なら特約もチェック
ソフトボール大会や社内運動会を行う日は、涼しい日とは限りません。急に気温が上がれば、熱中症などになる可能性もありますよね。
熱中症は、レクリエーション保険のみでは補償されていないことがあるので注意が必要です。
近年、熱中症により病院に運ばれる人が増えてきています。保険会社でも、特約をつけて、熱中症の治療も補償できるよう対応しているので確認をしましょう。
まとめ
この記事では、ソフトボール大会や社内運動会でケガをした場合に労災が適用されるかどうかに注目しました。
労働者の生活を守ってくれる労災保険ですが、自由参加となるソフトボール大会や社内運動会では、適用されない場合が多いです。
ソフトボール大会や社内運動会を主催するなら、レクリエーション保険などを用意して、参加者が気持ちよく楽しめるよう心がけたいですね。