余暇の充実は、心身の健康を維持するのに効果的。余暇をどのように過ごすのかは、障害者にも大切なことです。
野外活動で自然からの刺激を受けたり、チームで行うゲームで人との交流を促したり、いろんな目的で行われるレクリエーション 。
余暇活動では、さまざまなレクリエーションが行われています。
障害者向けのレクリエーションを行う場合は、楽しんでもらえるよう工夫も必要です。
今回は、障害者向けレクリエーション・ゲームを紹介します。障害者の介護に携わる方は参考にしてください。
余暇活動の目的
余暇活動とは、基本的な生活に要する時間・仕事・家事以外で自由に過ごせる時間のことです。
知的障害者や身体障害者を支援する介護施設や団体では、余暇活動向けのレクリエーションが行われています。
まずは、余暇活動の目的について見ていきましょう。
生活の質(QOL)の向上
多くの方は、余暇の時間が充実していると、日々の生活にやりがいが出てきますよね。もちろん障害を持った方でも同様です。
やりがいを感じながら生活することは、生活の質(QOL)の向上につながります。
また、余暇活動も社会参加のひとつです。障害者の自立への道が見えてくるかもしれません。介護する側としても嬉しい成長です。
好きなレクリエーションや活動を見つけて、日々の生活を楽しんでもらいましょう。
自立を促す
余暇活動を通して、自立するために必要な能力やスキルを身につけてもらうのも目的のひとつです。
料理やパソコン、人とのコミュニケーションなど、余暇活動ではいろんなことを学ぶことができます。
物づくり系のレクリエーションなら、自立にもつながりやすいでしょう。
また障害者はいろんな経験をすることが大切です。例えば、YouTubeを見ることだって、仕組みがわからなければできませんよね。
日常生活や仕事のことをレクリエーションを通して学んでもらいましょう。
健康のため
障害者は、介護を必要とすることが多いです。休みの日にどこかに出かけるのにひとりでは行けない方もいるでしょう。
実際に余暇活動の支援を利用していないと、家の中でテレビを見て過ごすことが多くなるようです。
厚生労働省の調査した結果が公開されています。
「休日の余暇の活動として、家の中でどのように過ごしていますか」への回答は、テレビ(68.9%)家事手伝い(24.7%)となっています。
そのほかの回答は、読書や日記、DVD(ビデオ)、パソコンなどです。
運動をしなくなると、生活習慣病などを発症し、健康も損なう可能性があります。
余暇活動には、家ではできない活動がたくさんあります。スポーツや運動のレクリエーションを取り入れて健康習慣を身につけることは大切です。
余暇活動を通して、障害者に運動の楽しさを覚えてもらいましょう。
保護者の自由時間の確保
障害者(障害児)を支える家族は、常に介護をしていて自分の時間を確保することが難しいです。
特に小さなお子さんの場合は、かかりきりになってしまうこともあるでしょう。
支援団体やグループが行う余暇活動に参加をしてもらうことで、保護者が自分の時間を作ることができます。
介護をする保護者にも自分だけの時間は必要です。
家族で日々を楽しく過ごすためにも、余暇活動に参加をして、リフレッシュしてもらいましょう。
【障害者向け】余暇活動に最適なレクリエーション・ゲーム7選
ここからは、障害者の余暇活動におすすめするレクリエーションゲームを紹介します。
余暇活動などを支援する地域の介護施設や福祉団体などでも、対象者の知的年齢に合わせていろんなレクリエーションが行われています。
レクリエーションは、運動や創作系など種類が豊富です。障害者を介護している方は、参考にしてください。
発達障がいのある子どもにおすすめ「自然体験」
障害者の余暇活動におすすめするレクリエーションは、自然体験です。
近くに大きな公園があれば、さまざまな経験ができます。
落ち葉を見つけたり、花を探したりするのも面白いでしょう。里山でウォークラリーをしたり、木のコースター作りに参加したりするのも楽しいです。
自然体験は、コミュニケーションの向上や自立性を促すことに効果的なレクリエーションです。
障害を持ったお子さんの新しい一面を発見するのにも役に立つでしょう。
知的障がいのある子どもにおすすめ「シャボン玉」
公園や広い場所でシャボン玉を楽しむレクリエーションです。外にも出かけるきっかけになるので、余暇活動としても人気です。
知的障害や発達障害の子どもの中には、過剰な刺激に反応してしまうために、一つのものを追いかけるのが苦手なことがありますよね。
また、自閉症の場合「〇〇だよ」と、人の投げかけに応じてくれないこともあるでしょう。
シャボン玉はキラキラとしてきれいなので、目で追いやすいです。
親子の交流で、ことばの理解を促したり、まねすることを覚えたりしてもらうのにもお勧めします。
余暇を充実「みんなでピクニック」
ピクニックはみんなで楽しめるレクリエーションです。春にはお花見、夏には夕涼みと季節を味わえるのもポイント。
レクリエーションを通して、季節のあゆみを感じてもらうことは、障害者の自立支援にもつながります。
障害者でも就労し、生活を送っている方はたくさんいます。
社会に出れば、季節の行事に参加することもありますよね。海やキャンプに出かけることもあるでしょう。
ピクニックレクリエーションでは、いろんな場面や季節を想定して、いろんなところに出かけます。
レクリエーションを通して、季節の行事を楽しむことを覚えてもらいましょう。
健康づくりをサポート「体操教室」
体操教室は、障害者にとって大事なレクリエーションです。
身体を動かす習慣がなければ、生活習慣病になるリスクも上がってしまいます。また、高齢者だと、必要な身体機能の維持が難しくなるかもしれません。
障害者でも社会生活を始めると、習慣がなければ、時間を作って運動をするのは難しくなります。
運動系レクリエーションを取り入れて、健康を維持しましょう。
身体障害のある方は、車椅子などを利用する場合もあるでしょう。
椅子に座ったままできる「ボール体操」や「タオル体操」などもおすすめです。音楽をかけてリズムに合わせて楽しみましょう。
高齢者の運動にもなるので、福祉施設などで取り入れられるレクリエーションです。
どんな内容の体操がいいかわからない方は、以下の記事を参考にしてみてください。
自立支援におすすめ「料理レクリエーション」
料理を作るレクリエーションは、知的・発達障害のある方にも人気です。お子さんから高齢者まで、いろんな年代の人が参加できます。
年代を限定せずに開催すれば、交流にもなりますよね。
料理レクリエーションを開催するときは、障害者にどの料理の過程を行ってもらうかを決めましょう。
計量・混ぜる・分ける・包む・焼くなど、それぞれができることを行ってもらうように設定すれば、みんなが楽しめます。
料理のレクリエーションは、介護施設でも人気。最後にみんなで美味しい食事をいただくこともできますよね。
餃子やパン、ホットケーキなどいろんなものを作って味わいましょう。
就労支援にもなる「パソコン教室」
パソコンを使ってみたいと考える障害者も多いようです。しかし、何をどのようにしたら利用できるのか、知らなければ触ることさえできませんよね。
もしかしたら、パソコンでコードを書くのが得意な方もいたり、絵が得意でイラストレーターとして活躍したりするかもしれません。
パソコンの使い方やアプリの使用方法などを覚えてもらい、実際に障害者に何かを作ってもらうのも良いでしょう。
また、iPadやスマホを使ったレクリエーションから、始めてみるのも面白いです。
将来の就労にもつながるパソコン教室。みんなの興味を引き出してあげたいですね。
みんなでスポーツを楽しむ「ボッチャ」
ボッチャは、障害者スポーツとして知られていますが、健常者も障害者も楽しめるスポーツレクリエーションです。
障害の度合いでクラス分けがされているので、誰でも参加できます。
パラリンピックの種目にもなっているので、もしかしたら選手を目指すきっかけにもなるかもしれません。
二人一組で行うレクリエーションゲームです。チームメイトと一緒に戦うことで、いろんなことを学べるでしょう。
ボッチャは、子どもから高齢者まで楽しめる障害者スポーツです。地域交流などでも楽しめますよ。
障害者にレクリエーションを楽しんでもらうためのポイント
最後に障害者にレクリエーションを楽しんでもらうためのポイントを紹介します。みんなが楽しめるよう準備をしましょう。
参加者に無理はさせない
障害によっては、1時間楽しむことが難しい場合もあります。無理に参加させては、次から嫌なことを行う時間と認識してしまう可能性も。
障害者本人が興味を示したら参加を促しましょう。
みんなが集まっていれば、自然と参加したくなるかもしれませんよ。
見える化して伝える
知的障害や発達障害がある方は、言葉だけで指示されても動けないこともありますよね。
障害者に対しては、絵やカードなどを用意して視覚的に伝えることも大切です。次に何を行うかがわかると安心します。
絵カードなどを使い見える化をして、レクリエーションのルールもわかりやすいよう伝えてあげましょう。
クールダウンスペースを用意する
自閉症などの症状がある方は、パニックを起こすことがあります。パニックが起きても、パーソナルスペースがあれば落ち着くまで休んでもらえますよね。
また、事前に外界との刺激を遮断し、パニックを事前に防ぐこともできるでしょう。
参加してくれる障害者に負担のないよう準備をしたいですね。
記事まとめ
レクリエーションは、福祉や介護などいろんな場面で利用されています。障害者の余暇活動にもおすすめです。
障害者の年齢や障害の度合いなどに合わせて、注意することはたくさんありますが、まずは障害者に楽しんでもらうことが一番です。
家族で介護をしている方は、地域の障害者支援センターで余暇活動を提供している施設を教えてもらいましょう。
また、企画する方は、高齢者向けのレクリエーションを参考にいろんな遊びを考えるのもおすすめです。
余暇活動を通して、さまざまな体験をしてもらいましょう。