行事やイベントを開催する際、万が一参加者がケガをしたり、見学者や近隣住民の持ち物等に損害が発生したりした場合、主催者は思いがけない責任を負わなければいけない場合があります。
参加者がケガをした場合には主催者の運営管理上の責任が問われたり、スポーツ大会で近隣住民の家のガラスを割ってしまった場合には損害賠償責任を請求されたりする可能性があるのです。
そういったケースに備えるには、レクリエーション保険が最適です。
レクリエーション保険は、参加者全員を被保険者とし、被保険者が行事の最中にケガをして治療が必要になった場合に所定の保険金が支給されます。
また、第三者への損害賠償責任に対する補償がセットになっている保険商品もあるため、広い範囲のリスクに備えることが可能です。
この記事では、行事やイベントの主催者が備えるべきリスクと、レクリエーション保険で備えられるリスクについて解説します。
行事・イベントの主催者が考えるべきリスク
行事やイベントの主催者は、行事の運営管理を担うものとして、万が一のリスクに備えて置く必要があります。
イベントの最中によくあるリスクとしては、参加者が大きなケガをしてしまう事態や、運営管理上の不備によって参加者や第三者に損害を与えてしまうリスクです。
- スポーツ大会の参加者が試合中にケガをした
- イベント会場のテントが倒れ、参加者や見学者にあたりケガをさせた
- 野球大会で、打った球が近隣住民の家のガラスにあたり、割ってしまった
こういった事態が起きた場合には、最悪の場合、主催者は運営責任者として法律上の責任を問われる可能性があります。
もちろん、転倒や参加者同士の衝突など、参加者の不注意や偶然の事故によって引き起こされるケガもあるため、すべての場合で主催者に責任があるわけではありません。
しかし、このような場合でも、ケガの治療費に関してなにか揉め事が起こる可能性はゼロとは言えないでしょう。
最悪のケースを想定して、参加者のケガや第三者への損害賠償に備えておくことは主催者自身を守ることにも繋がります。
こういったイベント・行事の開催中のケガ・事故に備える保険として大いに役立つのが、レクリエーション保険です。
では、レクリエーション保険には具体的にどのような補償があるのか見ていきましょう。
レクリエーション保険で備えられる補償
レクリエーション保険に備えられている補償は、主に「傷害保険」です。
また、少ないケースですが、保険会社によっては「損害賠償責任保険」もセットになっていることがあります。
レクリエーション保険の傷害保険とは
傷害保険では、イベントや行事の参加者(主催者も含む)がケガによって万が一死亡、もしくは後遺障害が残ってしまった場合や、治療のために入院・通院・手術が必要になった場合に、契約時に定めた額の保険金が支払われます。
もしイベントや行事の最中に偶発的な事故が発生し参加者がケガをしても、支払われる保険金をお見舞金として渡すことで、ケガの治療費に関する揉め事などを避けることにも繋がります。
レクリエーション保険の損害賠償保険とは
保険会社によっては、レクリエーション保険に「損害賠償責任保険」もセットになっていることがあります。
損害賠償責任保険では、イベントや行事の最中に見学者や近隣住民などの第三者の身体・物品に対して損害を与え、法律上の賠償責任を問われた際に賠償金が補償されます。
また、裁判などが起きた場合の争訟費用についても補償されるため、もし被害者と揉めてしまった場合にも安心です。
このように、レクリエーション保険の損害賠償責任保険はイベント主催者にとって非常に心強いものですが、実は損害賠償責任保険も付帯されているレクリエーション保険は多くありません。
東京海上日動のレクリエーション保険や、JA共済(農協)のイベント共済(レクリエーション保険とほぼ同じ補償をもつ共済)は傷害保険に加え損害賠償責任保険がセットになっていますが、その他の保険会社ではレクリエーション保険とは別にイベント用の損害賠償責任保険に加入する必要があります。
もちろん、レクリエーション保険(傷害保険)だけの加入でも問題はないですが、最悪のケースを考えると、やはり損害賠償責任保険にも加入しておいて損はありません。
主催者の方はぜひ検討してみてください。
主催者がイベント・行事当日までに準備すべきこと
レクリエーション保険に加入した後、主催者はイベントや行事当日までに用意しておくべきことがあります。
用意を忘れてしまうと、万が一の際に保険金を請求できなくなってしまう場合もあるため、事前に必ず確認のうえ、準備をしておきましょう。
参加者をまとめた名簿資料の用意
レクリエーション保険に加入したあと、主催者は参加者全員をまとめた名簿を用意しておく必要があります。
この資料は、万が一参加者がケガをしてしまった際、保険金を請求するときに使います。
名簿などの資料で保険会社のスタッフが参加者・主催者を正確に確認できない場合、保険金が支払われないことにもなりかねないため、必ず用意してください。
なお、レクリエーション保険に契約する時点では、名簿はいりません。開催当日までに用意し、いつでも提出できるようにしておきましょう。
事前に知っておくべきレクリエーション保険の注意点
最後に、レクリエーション保険に契約する前に知っておくべき注意点を解説します。
レクリエーション保険は主催者が参加者全員分をまとめて加入するため、主催者が代表としてよく保険の内容を把握しておく必要があります。
「これが補償の対象外になるなんて知らなかった」という事態になれば、参加者との間で揉め事が起きてしまう可能性もあるため、必ず確認しておきましょう。
補償の対象には自宅からの往復途上は含まれない
レクリエーション保険は、イベントに参加するための集合場所に集まったときから、イベント・行事が終了し所定の場所で解散するまでの期間が補償対象となります。
そのため、主催者や参加者の自宅から集合場所に向かうまで、または解散場所から主催者・参加者の自宅に戻るまでの往復途上で発生したケガについては、レクリエーション保険の補償対象になりません。
ただし、特約をつけることで往復途上のケガも補償されます。
集合場所に向かうまでに起きた交通事故などにも備えたい場合には、特約の付加を検討しましょう。
宿泊をはさむイベント・行事の場合は契約不可
宿泊をはさむイベントや行事は、レクリエーション保険に契約することはできません。
基本的に、レクリエーション保険は「日帰りの行事」が対象です。
もし泊りがけでイベントを行う場合には、国内旅行傷害保険やレジャー保険などに加入することをおすすめします。
なお、宿泊をはさまず、各日が日帰りで数日に渡って開催するような行事の場合には、レクリエーション保険に契約することが可能です。
まとめ:主催者自身のためにも保険で備えるべし
今回は、イベントや行事の主催者が考えるべきリスクと、レクリエーション保険の役割を解説しました。
レクリエーション保険は、ケガに対する補償を備えた傷害保険が主な補償ですが、保険会社によっては損害賠償保険もセットになっています。
イベントや行事の主催者は、ちょっとした事故でも他人に損害を与えてしまえば運営者としての責任を問われる可能性があります。
そのため、傷害保険だけのレクリエーション保険の場合には、別途イベント用の損害賠償責任保険にも加入することを検討してみて下さいね。
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