最近では、アウトドアの人気が高まり、ハイキングや登山を趣味にする方も増えています。
ハイキングや登山中のよくある心配事といえば、ケガや熱中症ではないでしょうか。登山に慣れていない方だと足を滑らせてケガをしてしまうことは多くありますし、夏場は特に水分が足りなくなり熱中症になってしまう方も多いです。
そんな時にレクリエーション保険に加入しておくと、ケガや熱中症の治療費を補償してもらうことができます。
この記事では、登山の際に活用できるレクリエーション保険について解説。補償内容や特約の内容を紹介します。
また、レクリエーション保険に加入できない場合の代替案についても紹介しているので、登山・ハイキングに出かける方はぜひチェックしてみてください。
ハイキング・登山はレクリエーション保険の契約対象
レクリエーション保険とは、イベントや行事、レクリエーション活動の参加者が、活動中にケガをした際に治療費などを補償してくれる傷害保険です。
ケガの治療のために必要な入院保険金、通院保険金、手術保険金、また万が一死亡してしまった場合の死亡保険金と後遺障害が発生した場合の後遺障害保険金が支払われます。
また、保険会社によっては特約を付帯することでケガだけでなく熱中症の症状も補償対象となるものがあります。
通常、レクリエーション保険に加入するには、まず開催するレクリエーション活動が契約の対象となっているかを確認する必要があります。
登山やハイキングはレクリエーション保険の契約対象です。契約できないのは、バンジージャンプやジェットスキーなど、危険なレクリエーション活動になります。
注意①レクリエーション保険は団体向けの傷害保険
レクリエーション保険に加入する際に注意しなければいけないのが、団体向けの傷害保険であるという点です。
一般的に、レクリエーション保険は保険会社が加入できる最低人数を定めており、多くの場合は20名以上から契約可能。保険会社によっては、10名から加入できる場合もあります。
そのため、1人で登山をする場合や、10人未満の少人数で登山を行う場合には利用できないので注意してください。
なお、レクリエーション保険に契約できない場合の代替案は後ほど解説しますので、そちらをご参照ください。
注意②本格的な登山は契約対象外になってしまう
レクリエーション保険の2つ目の注意点として、ピッケルやアイゼン、ビレイデバイスを使うような本格的な登山(山岳登攀)は契約の対象外となります。
山岳登攀はケガをするリスクが高いレジャーになるため、レクリエーション保険の契約対象から外れてしまいます。もしこういった本格的な登山をする際には、専用の山岳保険を選ぶようにしましょう。
注意③テント泊の宿泊を伴う登山も契約対象外
レクリエーション保険の3つ目の注意点は、宿泊を伴う行事やレクリエーション保険は契約対象外になる点です。
たとえレクリエーション保険の対象になるようなものであっても、宿泊の予定がある場合には契約できません。
もし宿泊を伴うレクリエーション活動を行う場合には、国内旅行傷害保険を選びましょう。
レクリエーション保険でカバーできるのは登山中のケガ・熱中症のみ
ここまでレクリエーション保険について解説してきましたが、レクリエーション保険で補償されるのは登山中に負ったケガや熱中症の症状に対する治療費です。
そのため、登山中にケガを負って動けなくなってしまった際の救助費用や、遭難してしまったときの捜索費用などは補償されない点には注意が必要です。
軽いハイキングや初心者向けの登山コースを登る場合であれば、そこまで大きなケガをするリスクはないかと思いますが、上級者向けのコースを登る際にはケガやアクシデントのリスクは高まるでしょう。
斜面から滑り落ちて足を骨折してしまったり、低体温症になって行動できなくなったりした場合には、やはり救助隊を呼ばなければ自力で下山するのは難しいです。
そういった場合にヘリや救助隊による救助をしてもらうと、費用面で大きな負担がかかります。
自分が登る山に応じて、ケガの補償だけでなく救助・捜索に関する費用補償もついている山岳保険を選ぶことをおすすめします。
救助・捜索費用などの補償が必要な場合は山岳保険を選ぼう
ここでは、加入しやすい山岳保険を2つご紹介します。
それぞれ補償内容や申込方法に違いがあるため、自分にあったものを選んでみてください。
1DAYレジャー保険(ハイキング・軽登山向け)
1DAYレジャー保険は、三井住友海上が販売している1日単位で加入できる傷害保険です。
レジャーの内容に応じてプランが分かれており、登山は「ハイキング・軽登山向け」のプランになります。
このプランはあくまで「軽登山」となっているため、本格的な登山(山岳登攀)や雪山登山などは対象外になる点に注意してください。
補償内容と一日あたりの保険料は、下記のとおりです。
ベーシック H1 | ベーシック H2 | ||
---|---|---|---|
ケガの補償 | 傷害死亡保険金 | 200万円 | 250万円 |
傷害入院時一時保険金 | 10万円 | 15万円 | |
骨折時一時保険金 | 7万円 | 10万円 | |
賠償の補償 | 日常生活賠償保険金 (本人のみ補償) |
1億円 | 3億円 |
その他の補償 | 救援者費用等保険金 | 300万円 | 450万円 |
保険料(1日・1名あたり) | 500円 | 700円 |
保険料は一日あたり最安500円と非常に手軽な金額で、ケガだけでなく損害賠償のリスクにも備えることができる点が特長です。
また、加入方法もコンビニもしくはスマホから即日で契約できるため、利便性に優れていると言えます。
レスキュー費用保険
レスキュー費用保険は、レクリエーション保険のようなケガに対する補償は付帯されておらず、登山中の救助・捜索に関する費用のみを補償する保険です。
また、保険期間が1年間と長期になっており、登山を趣味にしている方で定期的に山登りをするという場合におすすめの保険です。
補償内容が救助・捜索の費用補償に限られているので、自分で他に傷害保険に入っている場合に補償を上乗せするために加入すると良いでしょう。
補償内容と保険料は下記のとおりです。
捜索・救助費用補償 | 300万円 |
---|---|
捜索・救助対応費用 (ご家族の駆けつけ交通費や宿泊代などに利用可能) |
5万円 |
保険料(年間金額) | 4,000円 |
レスキュー費用保険は、申し込んだ翌日から保険期間が開始されるため、登山にいく前に余裕を持って加入をしておくことをおすすめします。
日本国内であればあらゆる登山のケースが対象となり、雪山登山や難易度の高い本格的な山岳登はんの場合でも契約することが可能です。
ABC少額短期保険株式会社のホームページから問い合わせることで申込をすることができます。
まとめ
今回は、登山やハイキングで活用できるレクリエーション保険と、レクリエーション保険を利用できない場合の代替案をご紹介しました。
レクリエーション保険では、ハイキングや軽い登山におけるケガについて補償を得ることができます。保険会社によっては、熱中症も補償対象とする特約を付帯させることもできます。
しかし、レクリエーション保険は団体向けの保険で、宿泊を伴う場合には契約できないなどのデメリットもある点に注意しましょう。
また、レクリエーション保険では、救助や捜索に関する費用補償は用意されていません。もしそういった補償も用意したいのであれば、専用の山岳保険を選ぶことをおすすめします。
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監修者のコメント
万一、山で遭難してしまった場合、費用はいくらくらいかかるのでしょうか?山岳救助隊や自衛隊などの公共機関が捜索をする場合、費用は掛かりませんが、民間の捜索を利用するときは捜索費用が掛かります。費用は捜索の規模によるのですが、100名などの大人数、ヘリコプターなどを数日間使用する場合は一般的に100万円を超える費用がかかります。本格的な登山をする場合は、捜索・救援費用の特約に加入することを検討してみてください。
当記事の監修者:遠山直孝
- 保険コンプライアンス・オフィサー2級
- ファイナンシャルプランナー(AFP)
- 損保大学(法律・税務)※
国立大学卒業後、大手保険会社に27年勤務し、現在は損害保険代理店に所属。営業、企画部門での多彩な経験から、法律・税務を踏まえた実用的な保険の活用に精通しており、日々情報を発信しています。
※損保大学とは、損害保険の募集に関する知識・業務を向上させるために日本損害保険協会が立ち上げた制度。当監修者は「法律・税務」などの知識を深める専門コースを修めています。