飲食屋台やフードイベントを実施する際は、食中毒に伴うリスクへの対策が必要不可欠です。
この記事では、イベント中に食中毒が発生した場合の主なリスクと、リスク対策として効果的な「イベント保険」の概要・メリットを解説します。
食中毒の補償が可能なおすすめのイベント保険も紹介しているので、飲食関係のイベント開催・出店を予定している方はぜひ参考にしてみてください。
イベントで食中毒が発生した場合に想定される4つのリスク
飲食屋台やフードフェス等、料理を提供するイベントにおけるリスクとして挙げられるのが「食中毒」です。
食中毒が起こらないよう配慮するのは当然ですが、どれだけ念入りに準備をしても、そのリスクをゼロにすることは難しいと言えるでしょう。
そこでこの記事では、食中毒が発生した場合を想定し、どのような影響・被害が出るのかについて解説していきます。
食中毒被害者への損害賠償
食中毒が発生した場合は、その被害者に対して以下のような費用を支払う必要があります。
- 通院費や入院費等、食中毒の治療にかかった費用
- 病院へ行くための交通費
- 慰謝料 等
食中毒の治療にかかった直接的な費用はもちろん、通院のための交通費等も店舗側での支払いが必要です。
また治療に伴って被害者が仕事を休まざるを得なくなった場合、その期間に本来得ることができた収入(逸失利益)を補償する必要も出てくるでしょう。
営業停止に伴う収入減
イベント中に食中毒が発生した場合、その原因と思われる店舗には保健所からの調査が入ります。
調理場や調理担当者の細菌検査が行われ、結果食中毒の原因があると認定された場合は、3日~7日程度の営業停止処分を受けることになります。
営業停止期間中は当然ながら店舗の売上がゼロになりますが、だからといって従業員に対して給与を支払わなくて良いということにはなりません。
本来得ることができた売上が減るだけでなく、休業期間中も店舗の経営を維持するための運転費用が必要となるため、数日程度であっても営業停止による損失は大きいと言えるでしょう。
関連商品の回収費用
食中毒の被害が発生した場合は、体調不良を訴えた顧客以外にも同様の被害者がいると考えるのが基本です。
そのため食中毒の申し出があった場合は直ちに販売をストップし、それ以上の被害拡大を防ぐことが大切です。
商品の回収等にかかる費用の種類としては以下のようなものが挙げられます。
- 回収した商品の一時保管・廃棄費用
- 食中毒の発生および商品回収を知らせるためのDM費用
- 食中毒の原因を明らかにするための調査費用 等
特にイベント会場での料理提供だけでなく、店舗販売や通信販売等も行っている場合は回収の範囲が大幅に広がるため、早急な対応が必要となるでしょう。
企業・イベントの信頼喪失
食中毒を起こしてしまった場合、これまで築き上げてきた顧客との信頼関係が失われることになります。
「食中毒を起こした店」「食中毒のあったイベント」という評判が広まれば、営業再開後も長期にわたって売上が落ち込む可能性もゼロではありません。
こうした悪評を少しでも減らすためには、商品回収や謝罪・賠償金の支払い等を適切に行うことが大切です。
経済的なリスクヘッジのためにはイベント保険への加入がおすすめ
イベント等で料理を提供する際は、食中毒が起こらないよう注意を徹底するとともに、万が一食中毒が発生した場合に備えて経済面のリスク対策を行っておくことが重要です。
続いて、食中毒に関するリスク対策として有効な「イベント保険」の仕組みやメリットについて詳しく見ていきましょう。
イベント賠償責任保険とは
イベント賠償責任保険(以降:イベント保険)とは、不特定多数の参加者が集まるイベントにおいて、不測かつ偶発的な事故が発生した場合の主催者側の損害賠償責任を補償する保険商品です。
イベント保険の対象となる行事・レクリエーションには以下のようなものがあります。
お祭り | お神輿・山車、花火大会、盆踊り、会社の記念パレード、桜まつり、ひな祭り、正月行事 など |
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文化的行事 | 演劇、ピアノ発表会・コンサート・学園祭・体育大会 等 |
式典行事 | 成人式、町おこしイベント、自治体の防災訓練 等 |
催事 | 物産展、展示会、振興会、会社のプロモーションイベント、フードマーケット、骨董市 等 |
スポーツイベント | 野球、サッカー、陸上競技、バレーボール、テニス 等 |
その他 | 海水浴、キャンプ、ボーイスカウト活動 等 |
支払いの対象となる損害の範囲は契約によって異なりますが、主なものとして以下が挙げられます。
損害賠償金 | 民事上の損害賠償責任に基づき、損害賠償請求権者に対して支払うべき治療費や慰謝料、修理費用などを補償する |
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損害防止費用 | 事故が発生した際に、損害の発生および拡大防止のために生じた費用を補償 |
争訟費用 | 当該の損害賠償事案に関連する訴訟費用や弁護士報酬等の費用を補償する |
協力費用 | 事故の解決に向けた引受保険会社への協力に必要となる費用を補償する |
権利保全行使費用 | 発生した事故に関する賠償責任を第三者に請求できる場合、その権利の保全もしくは行使のために必要となる費用を補償する |
イベント保険に加入するメリット
料理提供を行う店舗がイベント保険に加入するメリットとして、以下のような点が挙げられます。
メリット
- イベント中に発生した食中毒等の事故で主催者・責任者が支払うべき損害賠償の負担をイベント保険で軽減できる
- 商品の回収費用等、損害の拡大防止のために生じた費用もイベント保険で補償できる
- 特約を組み合わせることで、熱中症やレンタル備品等に関する補償をイベント保険に追加できる
- イベント開催に合わせて1日単位でイベント保険に加入できる
- 1日1人あたり数十円~数百円程度の低コストで幅広いリスク対策を行える 等
また近年はインターネットを通じてイベント保険の契約および保険金受け取りの手続きを行えるケースも増えており、万が一食中毒が発生した場合でも速やかに対応できるという点もメリットの1つです。
【食中毒も補償】おすすめイベント保険を紹介
ここからは、食中毒に関する特約を利用できるおすすめのイベント保険をいくつか紹介していきます。
その他の補償内容等もまとめているので、イベント保険を契約する際の参考にしてみてください。
三井住友海上「ビジネスプロテクター」
三井住友海上の「ビジネスプロテクター」は、事業活動に伴う様々な賠償リスクを補償するイベント保険です。
ベーシックプランとワイドプランの2種類に加え、食中毒や感染症によって発生した休業損失を補償できるオプション等が豊富に用意されています。
1つの保険で幅広いリスクへの対応が可能なため、補償の重複や加入漏れが不安な方におすすめです。
「ビジネスプロテクター」の休業損害補償における保険金額・支払限度額は以下の通りです。(食中毒の場合)
保険金額 | 休業損失(売上減少高×補償割合)+営業継続費用 |
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1事故あたりの支払限度額 | 1,000万円 |
保険期間中の支払限度額 | 1,000万円 |
AIG損保「スマートプロテクト」
AIG損保の「スマートプロテクト」は、業務災害や賠償責任等のリスクに対して、必要な補償を自由に組み合わせることのできるイベント保険です。
基本補償に「食中毒・特定感染症発生時の喪失利益等補償」オプションを加えることで、食中毒による営業停止で生じた喪失利益・収益減少防止費用を補償できます。
「スマートプロテクト」の自己負担額・支払限度額は以下の通りです。
自己負担額 | なし |
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支払限度額 | 契約時に設定する金額 |
補償期間 | 15日・1か月・3か月から選択 |
あいおいニッセイ同和損保「タフビズ 事業活動総合保険」
あいおいニッセイ同和損保の「タフビズ 事業活動総合保険」は、建物や設備・什器等に生じた損害に加え、事故や災害、感染症による休業時の損失等を補償するイベント保険です。
エコノミープラン・ベーシックプラン・ワイドプラン等の豊富なプランから契約内容を選択できる他、食中毒や特定感染症による休業損失を補償できるオプション等も用意されています。
「タフビズ 事業活動総合保険」の休業損害補償における保険金額・支払限度額は以下の通りです。(食中毒の場合)
保険金額 | 補償日額×(休業日数-控除する日数) |
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支払限度額 | 保険証券記載の支払限度額または、復旧期間内の売上減少高に支払限度率を乗じて得た額から復旧期間内に支払いを免れた経常費等の費用を差し引いた残額のいずれか低い方 |
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記事まとめ
- 主催するイベントで食中毒が発生した場合、損害賠償の支払いや企業の信用失墜といったリスクが伴う
- 食中毒の発生による経済的リスクを最小限に抑えるなら「イベント保険」の加入がおすすめ
- 食中毒のリスクをカバーできるイベント保険として、三井住友海上の「ビジネスプロテクター」やあいおいニッセイ同和損保の「タフビズ」等が挙げられる
保険加入のコストを抑えたい場合は、傷害補償に特化した「レクリエーション保険」もおすすめです。
こちらはイベント保険と比較して補償範囲が限られるものの、手ごろな価格で加入できる保険として多くのイベントで活用されています。
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