イベントや行事を開催する場合、参加者がケガをしたり、モノが壊れてしまったりするリスクを想定しておかなければなりません。
そうしたリスクに備える保険商品として「イベント保険」があります。
参加者に対する傷害保障や動産の紛失・破損の補償、イベントの中止・延期に備える補償が得られるため、イベントを開催する際にぜひ活用したい保険です。
本記事では、イベント保険の基本的な特徴や補償の種類、補償対象となる行事の種類などを解説します。
イベント保険に加入する際に確認しておきたいポイントも紹介していくので、ぜひ本記事を参考にイベントで想定されるリスクへの対策を検討しましょう。
イベント保険とは
イベント保険とは、イベントや行事のときに起きた事故が原因で損害・傷害が発生した場合に補償を受けられる保険商品のことです。
主催者がイベントを開催する前に保険を契約しておくことで、参加者全員をまとめて補償できる仕組みとなっています。
イベント保険は一般的に規模が大きい行事を対象としており、不特定多数の参加者がいるイベント・行事に向いている保険商品です。
花火大会や音楽フェスティバル、お祭りなどのイベントを開催する際に活用されるケースが多くなっています。
開催予定のイベント・行事において想定されるリスクをカバーしておきたい場合は、イベント保険の活用がおすすめです。
一般的な補償の種類
イベント保険は基本的に複数の保険が組み合わさって構成されており、含まれる保険の種類によって補償内容も異なります。
保険への加入を検討している場合は、どの保険が含まれているのか確認した上で契約することが大切です。
一般的にイベント保険は以下の4つの保険から構成されます。
- 傷害保険
- 動産総合保険
- 施設賠償責任保険
- 興行中止保険
それぞれの補償内容について解説していくので、どういった補償を得られるのか把握しておきましょう。
傷害保険
傷害保険は、イベント・行事の最中に参加者がケガをした場合に補償が受けられる保険です。
主な補償内容は以下の表の通りです。
補償項目 | 補償内容 |
---|---|
死亡保険金 | 参加者がイベント中のケガが原因で死亡した場合に保険金が支払われる。 |
後遺障害保険金 | 参加者がイベント中のケガが原因で後遺障害が残った場合に保険金が支払われる。 |
入院保険金 | 参加者がイベント中のケガが原因で入院した場合、入院日数に応じて保険金が支払われる。 |
手術保険金 | 参加者がイベント中のケガが原因で手術を受けた場合に保険金が支払われる。 |
通院保険金 | 参加者がイベント中のケガが原因で通院した場合、通院日数に応じて保険金が支払われる。 |
参加者がケガをしてしまった場合、主催者側には賠償責任が生じてしまい、賠償金額が多額になる可能性が高いです。
どういったイベントにおいても事故が発生する危険性はあるため、傷害保険が含まれたイベント保険を活用することをおすすめします。
動産総合保険
動産総合保険は、展示品や機材などの動産が紛失・破損したときに損害額が補償される保険商品です。
主な補償内容は以下の表の通りです。
補償項目 | 補償内容 |
---|---|
損害保険金 | 事故によって発生した損害の賠償金が補償される。 |
臨時費用保険金 | 事故の際における臨時の出費が補償される。 |
損害防止費用 | 事故発生時に損害の発生または拡大を防止するために支出した費用が補償される。 |
残存物取片付け費用保険金 | 事故の際の残存物の取片付けに必要な費用が補償される。 |
権利保全行使費用 | 動産の事故について第三者から損害賠償等を受けられる権利の保全・行使に必要な費用が補償される。 |
展示品や機材などの動産を用いるイベントを開催する場合は、動産総合保険が含まれたイベント保険を活用しましょう。
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険は、主催者側の施設管理の不備が原因で傷害・損害が発生したときに補償される保険です。
主な補償内容は以下の表の通りです。
補償項目 | 補償内容 |
---|---|
損害防止軽減費用 | 事故が起きたときに損害の発生・拡大を防止するためにかかった費用が補償される。 |
争訟費用 | 賠償責任について訴訟の費用や弁護士費用などが補償される。 |
協力費用 | 保険会社が事故の解決にあたる場合に、被保険者が保険会社の求めに応じて協力するために支出した費用が補償される。 |
設営していたテントなどが転倒し、参加者にケガを負わせてしまったときに補償されるのが施設賠償責任保険です。
施設賠償責任保険が含まれたイベント保険に加入し、第三者への損害・傷害のリスクに備えましょう。
興行中止保険
興行中止保険は、事故等が原因でイベント・行事が中止や延期となった場合に補償が受けられる保険です。
主な補償内容は以下の表の通りです。
補償項目 | 補償内容 |
---|---|
中止費用 | イベントを準備するために支出した費用が補償される。 |
追加費用 | イベントの中止や延期によって追加でかかった費用が補償される。 |
野外イベントで悪天候だったり、出演者が病気などで急遽出られなくなったりして、イベントが中止・延期となった場合に補償が受けられます。
屋外でのイベントや出演者がいる行事を開催予定の場合は、興行中止保険が含まれたイベント保険を活用しましょう。
具体的な対象行事・イベントと保険料例
イベント保険に加入する際、開催予定のイベント・行事が補償対象になるかどうかを確かめておく必要があります。
また、どの程度の料金がかかるかも確認し、予算を検討していかなければなりません。
ここでは、イベント保険の補償対象となる行事の種類や保険料例について解説していきます。
イベント保険の契約対象となる行事
イベント保険の補償対象となるイベント・行事は以下のような種類が挙げられます。
祭り | 神輿・山車、よさこい祭り、盆踊り、記念パレード、祝賀パレードなど |
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季節行事 | こどもの日行事、ひな祭り、桜祭り、雪祭り、餅つき大会など |
コンサート | コンサート、文化祭・学園祭、ピアノ発表会、市民合唱団など |
催事 | 展示会、デパート催事、物産展、グルメイベント、マルシェ、フリーマーケットなど |
式典 | 成人式、講演会、シンポジウム、防災訓練など |
スポーツイベント | 運動会、遠足、海水浴、ラジオ体操、サッカー、野球、陸上競技など |
上記のようにさまざまなイベントにおけるリスクをカバーできる点がイベント保険の大きな特徴です。
ただし、スキューバダイビングなどの危険性が高いスポーツは補償の対象外となるケースが多いため注意が必要です。
開催予定の行事が補償対象となるかどうか、保険商品のパンフレット等を確認しておきましょう。
保険料例
イベント保険の保険料については、開催するイベントの内容や開催場所、想定される損害などによって金額が大きく異なります。
また、保険会社によっても料金に差が生じるため、見積もりを取って比較することをおすすめします。
以下の表は、まつりを開催する際に東京海上日動の「興行中止保険」を契約した場合の保険料例です。
規模 | 費用総額100万円 |
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開催場所 | 大阪府の公園 |
開催時期 | 8月下旬(2日間) |
保険金支払いの対象となる事由 | 悪天候リスクによる中止 |
保険金支払いの対象となる損害(費用項目) | 会場設営費、パスター印刷費、機材運搬費用、食材費 |
支払限度額 | 100万円 |
縮小支払割合 | 100% |
保険料 | 約10万円 |
保険料と予算を照らし合わせた上で、加入するイベント保険を選びましょう。
イベント保険に加入する前に確認するべきポイント
イベント保険に加入する際、いくつか確認するべきポイントがあります。
開催予定のイベントに最適な補償を準備するためにも、チェックポイントを確認しておきましょう。
ここでは、申し込むタイミングやイベントの規模に応じた最適な保険商品について解説します。
いつまでに申し込むべき?
イベント保険は、開催当日に加入して補償を準備するということができません。
前もって加入手続きを進めた上で、イベント当日を迎える必要があります。
契約の手続きなどに時間がかかる可能性なども考慮し、1週間前には加入手続きを進めておくことをおすすめします。
ただし「興行中止保険」については2週間前までに手続きを進めなければならないケースが多いです。
すぐに加入手続きを進められるわけではないため、1ヶ月以上前から問い合わせなどをして確認しておくと良いでしょう。
参加人数が不特定多数ならイベント保険がおすすめ
参加人数が不特定多数のイベント・行事を開催する場合、イベント保険への加入がおすすめです。
イベント保険は比較的規模が大きく、事前に把握できない参加者が事故に巻き込まれた場合も補償の対象となるためです。
例えば地域で開催するお祭りは、事前に参加者を把握することが難しく、不特定多数の人間が参加します。
このような場合、不特定多数の参加者をまとめて補償できるイベント保険が向いています。
一方、参加者が少人数の場合はイベント保険以外の保険商品を活用した方が良いケースもあるため注意が必要です。
レクリエーション保険やレジャー保険でも足りるかも?必要な補償を考える
参加者数が比較的少人数の場合、イベント保険よりもレクリエーション保険やレジャー保険の方が向いている場合があります。
補償内容やイベント・行事の規模と照らし合わせて適切な保険を選択しましょう。
レクリエーション保険は、イベント保険よりも小規模なイベントを対象とした保険商品です。
事前に参加者名簿を作成しておく必要があり、社内の運動会や町内会のイベントなど、あらかじめ参加者が把握できるイベントを開催する場合におすすめの保険です。
レクリエーション保険の主な補償内容は「傷害保険」となっており、商品によっては「損害賠償責任保険」の補償が受けられる場合があります。
ただし、イベント保険のように行事の中止・延期などのリスクには備えられず、補償範囲は比較的狭いため注意が必要です。
レジャー保険は、個人がスポーツやレジャーを楽しむ場合に加入する保険商品です。
イベント保険やレクリエーション保険のように大人数をまとめて補償することは基本的にできず、個人または数名程度の少人数でまとめて加入する仕組みとなっています。
レジャー保険の補償内容は、ケガによる死亡や入院・手術に加え、第三者への賠償責任の補償や持ち物の損害補償、遭難時の捜索費用の補償など、幅広くリスクに備えられます。
自分1人や少人数のグループでスキーやスノーボード、ゴルフなどを楽しむ場合に向いている保険商品です。
レクリエーション保険やレジャー保険は、イベント保険よりも保険料を安く抑えられる可能性が高いです。
開催予定のイベントの規模や内容、必要な補償などを踏まえて、どの保険に加入すべきか検討しましょう。
まとめ
イベント保険は、イベント・行事を開催するときに想定されるさまざまなリスクをカバーできる保険商品です。
「傷害保険」「動産総合保険」「施設賠償責任保険」「興行中止保険」の4つから構成されるケースが一般的で、含まれる保険の種類によって補償内容が異なります。
加入予定のイベント保険にどの保険が含まれているか確認しておくことが大切です。
また、イベント保険はスキューバダイビングなどの危険性が高い一部のスポーツを除き、さまざまなイベント・行事が補償対象となります。
イベントの内容や開催場所、想定される損害などによって保険料も異なるため、しっかりと比較して最適な商品を選ぶことが大切です。
そして、イベント保険以外にもレクリエーション保険やレジャー保険といった選択肢があり、イベントの規模や必要な補償内容によって適切な保険は異なります。
開催予定のイベントの規模や内容を踏まえ、最適な保険を活用しましょう。