行事の最中のけが人が出たり行事が中止や延期になったりと、傷害や損害を伴う事故が発生した際に補償を受けられる「イベント保険」。
特に人為的な災害が行事で発生した場合は、主催者の責任を問われて賠償金の支払いを命じられるケースも少なくないため、主催者が自分自身を守るためにもイベント保険に加入しておくことが大切です。
しかし「イベント保険はどんな災害に備えられるの?」「補償内容がよくわからない」と疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
この記事ではイベント保険で備えられる災害や、保険の補償内容について詳しく解説しているので、イベントを開催する主催者の方はぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事は、下記のような方におすすめです。
こんな方におすすめ!
- 行事で災害が発生するのが不安なイベント主催者の方
- イベント保険がどんな災害に向いているのか知りたい方
- イベント保険の補償内容がよくわからない方
イベント保険とは

イベント保険とは、行事の最中に傷害や損害を伴う事故が発生した場合に補償を受けられる保険です。
行事やレジャーなど様々なイベントに対応しており、行事の最中に事故が発生して主催者の責任を問われたときに守ってくれます。
イベント保険は、以下のような行事を補償対象としています。
イベント保険の補償対象となる行事 | 行事の例 |
---|---|
式典 | 周年記念イベント・成人式など |
催事 | 骨董市・商品展示会など |
スポーツイベント | サッカー大会・マラソン大会・駅伝など |
祭り | 雪まつり・花火大会・餅つき大会など |
文化的行事 | コンサート・ピアノの発表会・舞台など |
上記のように様々なイベントに対応しており、危険度の高いアクティビティ以外は基本的に加入可能です。
イベント保険の補償対象となる人

イベント保険は主催者が加入することで、行事の参加者・第三者・スタッフなど行事に携わっている人が被保険者となります。
被保険者の情報を保険会社に提出する必要がないため、スポーツイベントなど参加者だけでなく見学など第三者も多い行事や、お祭りなど不特定多数が参加する行事にもぴったり。
規模が大きい行事や不特定多数が参加する行事で災害が発生すると被害も大きくなるため、イベント保険に加入しておくと安心です。
行事で災害が発生するリスク

災害を大きく分類すると、「人為災害」と「自然災害」の2種類です。
人為災害とは人が引き起こしてしまう事故のことを指し、自然災害とは自然現象によって生じる被害を指します。
例えば、行事の最中に主催者の管理不備でテントが倒れてけが人が出た場合は人為災害によって被害が生じており、行事が豪雨によって中止になった場合には自然災害から被害が生じていることになります。
主催者の管理不備による事故が発生すると、主催者の責任を問われるケースが多い傾向があります。
また、行事が自然災害によって中止になると、会場設営費・広告宣伝費・人件費などこれまで準備のために発生した費用が無駄になってしまうことも。
行事では上記のような人為災害と自然災害どちらも発生するリスクがあるため、あらかじめイベント保険に加入して備えておくことが重要です。
イベント保険はどんな災害に備えられる?

イベント保険は、人為災害による事故や自然災害による行事の中止や延期に備えることが可能です。
例えば、下記のような災害による被害を被ったときに補償を受けることが可能です。
補償対象となるケース
- 施設の管理不備によって発生した人為災害による事故
- 暴風や豪雨の自然災害によって行事を中止にする場合
- 台風の災害によって交通網が麻痺して機材を集められずに中止する場合
なお、補償を受けられる災害の種類はイベント保険の種類によっても異なるため、よく確認してから加入しましょう。
イベントの補償内容

イベント保険には、以下の4つの基本的な保険があります。
- 施設賠償責任保険
- 興行中止保険
- 傷害保険
- 動産総合保険
それぞれイベント保険で補償内容が異なるため、行事内容や想定できる災害を考慮した上で保険を選ぶ仕組みです。
しかし、それぞれのイベント保険で補償対象外になるケースもあり、災害が発生したケースに補償を受けられない場合もあるので要注意。
イベント保険の補償内容とあわせて、補償対象外になるケースや付帯できる特約も確認しておきましょう。
施設賠償責任保険│施設の管理不足による人為災害を補償

イベント保険の施設賠償責任保険とは、主催者側の施設の管理不足による人為災害を補償する保険です。
建てたテントが管理不足によって倒れてしまい、参加者にけが人が出るなど事故が起きた場合は補償対象となります。
イベント保険の一種である施設賠償責任保険の補償内容を、以下の表にまとめました。
施設賠償責任保険の補償 | 補償内容 |
---|---|
損害賠償金 | 施設の管理不備による事故の被害者に支払われる賠償金 |
争訟費用 | 損害賠償に関して訴訟を起こす際に発生する弁護士への報酬などの費用を補償 |
損害防止費用 | 施設の管理不備による事故の拡大防止のために発生した費用を補償 |
協力費用 | 発生した事故の解決に向けて主催者が保険会社に協力するために発生した費用を補償 |
補償対象外になるケース
イベント保険の施設賠償責任保険は、以下のような場合は補償対象外となります。
- 建物外部から雨や雪などの侵入による災害・事故
- 施設の新築・修理・改造等による災害・事故
- 給排水管やスプリンクラーからの漏れによる災害・事故
- 主催者や被保険者の故意による災害・事故
施設の管理不備によって発生する災害や事故をすべて補償してくれるわけではないので注意が必要です。
付帯できる特約
イベント保険の施設賠償責任保険は補償対象外のケースがあるものの、特約を付帯することで補償を受けられる災害や事故の範囲を広めることが可能です。
特約の種類 | 補償内容 |
---|---|
漏水担保特約 | 蒸気や水の漏れによる災害で他人の財物を損壊させた際に被保険者が法律上の賠償責任を負うときに支払われる補償 |
見舞費用担保特約 | 施設の管理不備による災害・事故での被害者に支払う弔慰金・見舞金に充てる費用を補償 |
興行中止保険│災害や悪天候等による中止や延期を補償

イベント保険の興行中止保険は、災害や悪天候などによってイベントを中止もしくは延期する場合に保証を受けられます。
例えば、暴雨や暴風等の災害で音楽イベントの会場設営が難しくイベントを延期にする場合や、悪天候によって花火大会を中止にする場合などに補償対象となるイベント保険です。
イベント保険の一種である興行中止保険の補償内容は、以下の通りです。
興行中止保険の補償 | 補償内容 |
---|---|
中止費用 | イベントを中止にする際に会場設営費用・広告宣伝費・人件費等これまで準備で発生していた費用を補償 |
追加費用 | イベントを中止もしくは延期にする際に追加で発生する費用を補償 |
補償対象外になるケース
イベント保険の興行中止保険は暴風や豪雨等の災害による中止や延期は補償対象になるものの、以下のように補償対象外になるケースもあります。
- イベント関係者の逮捕による中止や延期
- イベント関係者の解散・破産・資金不足による中止や延期
- チケットの売上不足やスポンサー不足による中止や延期
- 地震・噴火・津波などによる中止や延期
保険会社によって異なるものの、地震など自然災害による中止は補償対象外になるケースもあるので注意しましょう。
付帯できる特約
イベント保険の興行中止保険は、基本的に地震・噴火・津波などの自然災害による中止や延期は補償を受けられません。
しかし、特約を付帯することで地震発生による行事の中止や延期は補償を受けられる場合があります。
なお、保険会社によって地震に備えられる特約が用意されていない可能性もあるので、イベント保険への加入を検討する前に特約も合わせて確認しましょう。
傷害保険│行事中の偶発的な事故を補償

傷害保険は、行事の最中に偶発的な事故や災害が発生し、けが人や死亡者が出た場合に補償を受けられるイベント保険です。
スポーツイベントで参加者がけがをしたり、花火大会での混雑で将棋倒しが起きて複数のけが人が出たりすると補償対象となります。
イベント保険の一種である傷害保険の補償内容を、以下の表にまとめました。
傷害保険の補償 | 補償内容 |
---|---|
死亡保険金 | 行事の最中の事故の被害者が死亡した場合に支払われる保険金 |
手術保険金 | 行事の最中の事故の被害者が手術を受ける際に支払われる保険金 |
入院保険金 | 行事の最中の事故の被害者が入院する際に支払われる保険金 |
通院保険金 | 行事の最中の事故の被害者が通院する際に支払われる保険金 |
後遺障害保険金 | 行事の最中の事故の被害者に後遺症が残った場合に支払われる保険金 |
補償対象外になるケース
イベント保険の傷害保険は、イベント会場に着くまでの道中や帰宅するまでの道中での災害・事故は補償対象外となります。
イベントの最中での災害や事故に対応しており、道中で災害や事故に遭ってけがをしても補償を受けられないので注意しましょう。
また、危険度の高いアクティビティは、災害や事故が発生する可能性が高く加入できないため注意が必要です。
付帯できる特約
イベント保険の傷害保険には、以下のような特約が付帯できます。
行事中の災害や事故で被害者が出るのが心配な場合は、特約も付帯して契約することをおすすめします。
特約の種類 | 補償内容 |
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被害者治療費等補償特約 | 行事の最中に発生した事故や災害の被害者への治療費・葬祭費用・見舞金に充てる費用を補償 |
飲食物危険補償特約 | イベントで提供する飲食物によって身体障害を与えてしまった際に主催者が被る損害賠償責任を負担するときに支払われる補償 |
動産総合保険│動産の損害を補償

動産総合保険は、不動産以外の財産である動産の破損や紛失など損害が発生した際に補償を受けられるイベント保険です。
行事で使用する機材を運搬している際に誤って落として破損してしまった場合など、動産総合保険を契約していると補償を受けられます。
イベント保険の一種である動産総合保険の補償内容は、以下の通りです。
動産総合保険の補償 | 補償内容 |
---|---|
損害保険金 | 動産の損害賠償のための保険金 |
臨時費用保険金 | 動産の損害が発生した際に臨時で発生した費用を補償 |
損害防止費用 | 動産の破損などの被害を軽減するために発生した費用を補償 |
権利保全行使費用 | 動産の損害で第三者に損害賠償を請求する場合に請求権の保全や行使に充てる費用を補償 |
残存物取片付け費用保険金 | 動産の損害で発生した残存物を片付けるために発生した費用を補償 |
補償対象外になるケース
イベント保険の動産総合保険は、以下のようなケースが補償対象外となります。
- 自動車・船舶・航空機の損害
- 組み立て中の機械や設備の損害
動産の損害であっても上記の場合は補償を受けられないため、補償を受けたい場合は別の保険に加入することをおすすめします。
付帯できる特約
イベント保険の動産総合保険には、以下のような特約を付帯できます。
特約の種類 | 補償内容 |
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免責金額特約 | 事故1回の損害額が免責金額を超える際に超過額に対して支払われる |
新価保険特約 | 減価割合が5割以下の場合に、損害発生から2年以内に保険対象と同一用途のものを復旧すると支払われる |
記事まとめ

イベントでは、人為災害や自然災害などあらゆる災害が発生する恐れがあります。
人為災害の事故が起きると主催者の責任を問われることが多く、豪雨などの自然災害が起きるとイベントが中止になって準備にかけた費用の損害が発生する恐れがあるので注意が必要です。
人為災害によって多額の賠償金が請求された場合や、自然災害によって損害が発生した場合に備えて、主催者の方はイベント保険へ加入することをおすすめします。
この記事を参考に適切なイベント保険を契約して、当日に向けて準備を進めましょう。