老人ホームやデイサービスなどの介護施設で、人気の体操のレクリエーション。
運動系レクリエーションは、高齢者の身体機能の維持や生活の質の向上などに効果的です。
身体を動かすと、スッキリ感を楽しめますよね。運動をすることは、身体のケアにもなります。
介護施設の利用者が元気で過ごせるよう、体操レクリエーションを取り入れましょう。
今回は、いろんな種類の体操レクリエーションを紹介します。
高齢者向けのレクリエーションを企画する介護施設のスタッフなどは参考にしてください。
レクで事前に準備したい物
レクリエーションは、生活の質(QOL)の向上を目的に行われます。
レクリエーションには、いろんな種類があり、大きく分けて4つに分類することができます。
レクリエーションの種類
- 運動系レクリエーション
- 脳トレ系レクリエーション
- 創作系レクリエーション
- 音楽系レクリエーション
今回は、運動系のレクリエーション、主に体操について詳しく見ていきます。
体操レクリエーションは、身体機能の維持や認知症予防に効果的です。
ここでは、レクリエーションを行う際に準備したいものを紹介します。介護施設でレクリエーションを企画する方は参考にしてください。
高齢者の運動には椅子を用意
基本的に介護施設で過ごす高齢者の運動には、椅子を用意することをおすすめします。理由は、転んで大怪我をする可能性があるからです。
骨折をしたり、手を痛めたりすれば、身体を動かすのが難しくなってしまうかもしれません。
介護施設の利用者は、上手に身体を動かすことができない方も少なくありません。
参加者を守るためにも、介護施設で行う運動系レクリエーションは、基本的に椅子に座って行うと良いでしょう。
テンポよく体を動かせる音楽
運動系レクリエーションを盛り上げるためにも、リズム感のある曲を用意しましょう。4拍子の曲なら、テンポも取りやすいです。
介護施設で過ごす高齢者なら、昔ながらの手遊び歌などがおすすめ。リズムも取りやすく馴染みやすいでしょう。
明るい音楽なら気分も盛り上がります。利用者が楽しく体操ができるよう準備をしましょう。
動きやすい服装
大きな動きはしなくても、体操系のレクリエーションを行う場合は、動きやすい服装がおすすめです。
介護施設では、脱ぎ着がしやすく、身体の動きを制限しないものが良いとされているので、基本的には問題がないと言えるでしょう。
ただし、介護施設によって違いがあるので、はじめて参加する高齢者がいる場合はどのような服装を着るのが良いか確認をする必要があるかもしれません。
レクリエーションを楽しんでもらうためにも、服装を気にかけましょう。
高齢者が体操レクリエーションから得られる効果
介護施設で行われる高齢者向けのレクリエーションでは、生活の質の維持・向上を目的としています。
まずは、高齢者向けの体操レクリエーションで得られる効果について見ていきましょう。
身体機能の維持・向上
体操のレクリエーションは、高齢者の身体機能の維持や向上に効果的です。
一定の広さはあるとは言え、介護施設内だけで過ごしていては、身体の筋力も衰えますよね。
また、介護施設で過ごす高齢者は、認知症や身体機能の低下が心配されるため、気軽に外に運動に出かけられません。
体操や運動のレクリエーションは、介護施設で過ごす高齢者の生活を守るためにも欠かせないレクリエーションです。
認知症の予防
高齢者向けの体操レクリエーションは、脳への刺激となります。
介護施設の利用者には、認知症の方や認知症が心配な方がいますよね。脳への刺激は、認知症予防や改善にも効果的です。
左右の手先を互い違いに動かす動作や、普段あまりしない動作を取り入れて、脳にたくさんの刺激を送りましょう。
介護施設で日々を楽しく過ごしてもらうためにも、体操レクリエーションは欠かせません。
リフレッシュ効果
体操などの運動をして、身体を動かしたあとはスッキリ感を味わえますよね。
介護施設で何もせず座っているばかりでは、高齢者の健康にも良くありません。
高齢者が筋肉を動かさないでいると、身体の機能が落ちてしまうことも。
介護施設には、むくみなどで悩む高齢者もいますよね。老廃物やむくみをとるためには、筋肉を動かすことが効果的です。
レクリエーションを通して、みんなでワイワイと楽しい時間を過ごせば、気分も上がるでしょう。
介護施設でできる!高齢者向け体操レクリエーション5選
ここでは、介護施設で過ごす高齢者におすすめの体操レクリエーションを紹介します。
介護施設でレクリエーションを企画する方は参考にしてください。
握って開いて「グーパー体操」
介護施設の体操レクリエーションとして人気が高いのが「グーパー体操」です。
右と左の手をグーで前に出したり、パーで自分に寄せたりします。
左右や前後に腕を大きく動かすよう促しましょう。
また、ひざをあげたり身体をねじったりなど、いろんな動きと組み合わせると難易度も上がります。
身体を動かしやすいよう、リズム感のある音楽を用意すると盛り上がるでしょう。
歌いながら楽しんでもらうのも良いかもしれませんね。
立ったまま行う方がいる場合は、転ばないよう振りを考えましょう。
高齢者向けのレクリエーションですが、スタッフが手本を見せようすると意外と難しいものです。
前で手本を見せる場合は、先に練習をしておきましょう。
新聞紙を破ろう「パンチ・キック体操」
「パンチ・キック体操」は、新聞紙に向かってパンチやキックを繰り出すレクリエーションゲームです。
介護スタッフと協力して行いましょう。立って行う場合は転ばないよう十分に注意が必要です。
遊び方は簡単。介護スタッフは、新聞紙を大きく広げてピンと張りましょう。
参加者は、新聞紙をめがけてパンチやキックを繰り出し、新聞紙が破れば成功です。
一回では破れないこともあるので、応援しながら何度か挑戦を繰り返しましょう。
キックをするときは新聞紙を下の方に置いて行います。
転ぶ危険があるときは椅子に座るか、どこかに捕まりながら参加してもらうのがおすすめです。
介護施設の利用者は、ストレスを溜めていることもあります。
「パンチ・キック体操」でストレスを発散してもらいましょう。
簡単トレーニング「ボール運び体操」
「ボール運び体操」は、参加者の協力が必要なレクリエーションゲームです。
1チーム5名以上で1列に並んで、ボールを渡しながらカラダを動かします。先に渡し終わったチームが勝ちです。
ボールは、上下左右から渡せますよね。いろんな方向から渡すことで全身運動にもなります。
椅子に座ったままでもできるレクリエーションゲームです。
また、子どもから大人まで参加できるので、介護施設での地域交流イベントなどにもおすすめ。
場を盛り上げるために音楽などをかけて行いましょう。
全身を動かそう「棒体操」
「棒体操」は、肩幅以上の長めの棒を使って行う体操です。棒の端、もしくは広げて持てる場所で棒を持ってもらいましょう。
棒を持って、以下のような動きを行います。
- 棒を上下に動かす
- 持ち上げたままカラダを左右に倒す
- 両手でまっすぐ縦にしてもち、前後に動かす
- 背中の後ろから脇に挟んでカラダをひねる
- 手首を動かす
前で手本を見せながら、みんなでカラダを動かします。
「棒体操」を行うときは、棒を大きく動かしても周りに当たらないように広さを保ってください。
棒が当たって傷つかないよう気をつけましょう。
肩まわりを動かす運動は、介護施設などで過ごす高齢者におすすめのレクリエーションです。
高齢者におすすめ「バルーン体操」
「バルーン体操」は、50センチ前後の大きめのバルーンを使った体操のレクリエーションです。バランスボールなどを用意してください。
仰向けに寝転がり、バルーンに足をのせます。
両足をひざを曲げてカラダに寄せたり、足を伸ばしたりして、バルーンを転がしながら運動を行います。
また、バランスボールに座りながら転ばないようカラダを動かすのもおすすめです。
両ひざをついて両手でボールを転がしながら背伸びをしたり、ボールを支えに前屈をしたりするのも良いでしょう。
また、大きめのバルーンを両足で挟んで、つぶすように力を込めれば、筋トレにもなります。
いろんなストレッチや筋トレ方法があるので、試してみてください。
座ったままできる体操レクリエーション5選
ここでは、介護施設におすすめの座ったままできる体操レクリエーションを紹介します。
老人ホームやデイサービスなどの介護施設で働いている方は参考にしてください。
首肩をほぐす「タオル体操」
タオルを利用して頭を前後左右に引っ張り伸ばす「タオル体操」。力の少なくなった高齢者でもできる運動レクリエーションです。
高齢になると、両手を頭に上げるのが難しい方もいるでしょう。タオルで補助することで簡単に首回りの体操が行えます。
- 頭を横に倒すとき
顔を片側に倒し、タオルを耳の上あたりにかけます。倒した方の手でタオルを握って下に引きましょう。 - 頭を前に倒すとき
タオルを後ろにかけます。両手でタオルを握って、前に倒しましょう。気持ちの良いところでキープします。
他にも、両足にかけてタオルを引くことで肩を上げる力を入れたり、つま先にかけて足首のストレッチを行ったりします。
タオルを使えば、身体が硬くなった高齢者でもストレッチが行いやすいでしょう。
介護施設などの運動レクリエーションにおすすめです。
誤飲を防ぐ「口腔体操」
介護施設で過ごす高齢者には、喉の筋肉が衰え、嚥下障害が起きやすい方もいます。「口腔体操」は、喉の筋肉を動かして使う運動です。
やり方は簡単。舌を出して上下左右に動かしたり、口をすぼませたりします。
また、パカタラ体操で、口をしっかりと動かしてもらうのもおすすめです。
パカタラ体操は、「パカタラ」と発声しながら、舌と口の運動を行うレクリエーションです。介護施設では定番のレクリエーションです。
久しぶりにカラオケに行って、舌を動かしたり声を出したりすると、疲れたと感じることはないでしょうか。声を出すことも重要な筋肉トレーニングなのです。
高齢者は喉の筋力も衰えがち。しっかりと動かして筋力をつけてもらいましょう。
下肢を筋トレ「スリッパ足体操」
「スリッパ足体操」は、椅子に座ったまま行う下肢の体操レクリエーションです。
椅子に座り、かかとやモモをあげたり、ひざを伸ばしたりしましょう。
椅子の背もたれを持って足を後ろに引いたり、モモをあげたりするのもおすすめです。
足首を持ち上げるときはスリッパを落とさないようキープしたり、スリッパをどこまで遠くに投げられるかを競うゲームも面白いです。
介護施設などで過ごしている高齢者は、歩く範囲も限られてしまいます。
下肢の体操は、介護施設で過ごす高齢者に元気で過ごしてもらうためにも欠かせないレクリエーションです。
体幹を鍛える「風船体操」
「風船体操」は、風船を使った運動をいくつか組み合わせたレクリエーションです。
風船を使った運動は、老人ホームやデイサービスなどの介護施設でも人気です。室内でしっかりとカラダを動かすことができます。
椅子に座って、風船を手で打ち上げたり、足で蹴りあげたりしましょう。それぞれ10回ずつ続けられるか試してみます。
高齢者が参加する場合は、転がった風船を踏んで転んでしまうことがあるので、十分に注意が必要です。
遠くに行ってしまった風船はスタッフが取りに行くと良いでしょう。
風船を指定通りに動かしたり、挟んだりする体操もおすすめです。
最後に風船バレーやリフティングリレーなどのゲームをすると盛り上がりますよ。
心肺機能を鍛える「紙コップフーフー体操」
「紙コップフーフー体操」は、紙コップに息を吹きかけて紙コップの位置を動かすレクリエーションです。
息を吸い込む筋力が鍛えられます。
テーブルに的を描いた紙をぴったり敷きましょう。紙コップをテーブルの端に置いてスタートです。
紙コップに息を吹きかけて、的の中心を狙って動かしましょう。紙コップには2〜3回息を吹きかけても良いです。
回数などは的の大きさや参加者の力量によって変更します。
どのぐらいの息をかければ的にいくか、戦略を立てることが必要なゲームです。チームや個人戦でゲームを楽しみましょう。
介護施設でレクを実施する際の注意点
最後に、老人ホームやデイサービスなどの介護施設で体操レクリエーションをする際の注意点について見ていきましょう。
しっかり安全に配慮する
老人ホームやデイサービスなどの介護施設でレクリエーションを行う際は、しっかりと安全に配慮する必要があります。
介護施設の利用者は、高齢で注意力が落ちています。歩くのが難しい方もいますよね。
運動や体操のレクリエーションは、ボールなどを使うこともあります。
踏んづけて転んでしまっては、大怪我につながる可能性も。
高齢者向けのレクリエーションだからと気軽に考えずに、安全については、常に意識を向けておきましょう。
レクリエーション保険への加入もご検討ください
レクリエーション保険は、参加者のケガを補償してくれる保険です。
散歩やお花見に出かけるときは、1日から加入できるレクリエーション保険をかけておくと、利用者も介護スタッフも安心です。
また、地域交流などの一貫で外の方も来所する運動会などのレクリエーションにもレクリエーション保険はおすすめです。
イベントや行事を行う際は、レクリエーション保険を検討しましょう。
高齢者の身体状態に配慮する
老人ホームやデイサービスなどの介護施設でレクリエーションを行う際は、参加者の身体状態をチェックしましょう。
介護施設の利用者は、自分の身体の状態に気づかないこともあります。喉が乾いてないと水を飲ませないでいると熱中症になる危険も。
特に認知症が始まっている方は、自分の状態に気付きにくいです。
体調が万全でないのに、運動を行えば、倒れる危険も高まります。
介護施設では、毎朝体調確認を行いますよね。レクリエーションの前にも十分体調を気にかけましょう。
参加者の身体状態をチェックしよう
介護施設で運動系のレクリエーションを行う場合は、実施の前に参加者さんの身体状態をチェックしましょう。
事前に下記のようなチェックリストを作っておくと便利です。
チェック項目例
- よく眠れたか
- 目覚めた感じは良いか
- トイレに行ったか
- 水分を飲んだか
いつもとは違うチェック項目があれば、本人に確認をすると良いでしょう。
サポート体制を確認しよう
介護施設の利用者には、耳が不自由な方や片麻痺の方がいる場合もありますよね。
耳が聞こえにくい場合は、ルールが分からずゲームを楽しめない可能性があります。
また、片麻痺の方が身体をぶつけてしまうと、痛みを感じないので大怪我となる場合も。
高齢者向けのレクリエーションでも、みんなが楽しむためには工夫が必要です。
スタッフとの連携を事前に確認する
介護施設で高齢者向けのレクリエーションを行う場合は、スタッフ同士の連携が必要不可欠です。
スタッフ同士でどんな風に気をつけるか、ポイントを共有しましょう。
現場で働いているからこそ、分かることもありますよね。
いつも行っているからと連携を怠ると大きな怪我などを起こしてしまう可能性があるので注意してください。
体操レクリエーションを楽しんでもらえるようしっかりとサポートしましょう。
記事まとめ
老人ホームやデイサービスなどの介護施設では、利用者の身体機能の維持や生活の質の向上のためにさまざまなレクリエーションが行われています。
タオルや道具を使った体操なら、高齢者でも簡単に行えるでしょう。
身体を動かすことは身体をケアすることにも繋がります。
介護施設で過ごすおじいちゃん、おばあちゃんにも、いつまでも元気で過ごしてほしいですよね。
介護施設のレクリエーションに体操を取り入れてみませんか?