パラリンピックでの日本人の活躍もあり、障害者の方が取り組む「障害者スポーツ」はいま注目を集めています。
しかし、競技の練習場所の少なさや障害者スポーツの認知度の低さから、まだまだ日本の障害者スポーツの人口は少ないです。
なかには「障害者スポーツのメリットがわからない」「障害者スポーツのメリットはわかるけど始め方がわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、障害者スポーツのメリットや始め方や障害者スポーツを選ぶときの注意点について紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
障害者スポーツとは?
障害者スポーツとは、障害を持つ方に合わせてルールや様式が変更されながら作られてきた競技のこと。
障害者とは「身体障害」「知的障害」「精神障害」の3つに区分され、さらに身体障害は「肢体不自由」「平衡機能障害」「音声機能、言語機能または咀嚼機能の障害」「内臓の機能障害(内部障害)」に分類されます。
そのような様々な障害を持つ方々が参加でき、様々なメリットを得られるのが障害者スポーツです。
しかし、必ずしも障害者の方だけが参加するスポーツというわけではなく、なかには障害者の方と健常者の方が一緒に楽しめる障害者スポーツもあります。
例えば、障害者スポーツの一つである「ブラインドサッカー」は、フィールドは視覚に障害を持つ選手が活躍していますが、キーパーは目の見える選手や障害を持たない選手が参加することも認められているのです。
また、高齢になると身体的な自由がなくなって多くの方が障害を持つ傾向があり、そのような高齢者に合わせた障害者スポーツも存在します。
様々な障害を持つ方に合わせて、すべての人が楽しめるように作られていて、あらゆるメリットを得られるのが障害者スポーツです。
障害者向けスポーツのメリット
障害者スポーツは、ただ競技を楽しめるだけではなく、障害者の方にとって豊富なメリットがあります。
ここからは障害者スポーツの3つのメリットを紹介するので、障害者スポーツを始めようか悩んでいる方はメリットから判断してみてくださいね。
身体の健康を維持できること
障害者スポーツのメリットは、身体の健康を維持する効果を得られることです。
特に身体的な障害を持つ方は、身体を動かす機会が少なく運動不足になりがちです。
さらに、都市化が進んで生活の利便性が向上しているため、普通に日常生活を過ごす場合は身体を動かす機会があまりないでしょう。
そんな中で障害者スポーツを取り入れることで、楽しみながら身体の健康を維持できるのがメリットです。
実際に「障がい者の運動実態」に関する調査結果によると、運動の必要性を感じていると回答した方の理由として約8割が「健康・体力づくりのため」と回答しており、身体の健康維持をメリットとして実感している人が多いようです。
ストレス解消・精神の安定
障害者スポーツは、ストレスの解消や精神の安定もメリットの一つ。
約20分運動すると、その後12時間幸福感が持続するという研究結果もあり、身体を動かすことは精神的な安定に繋がります。
実際に日本障害者スポーツ協会が行った調査でも、7割以上の方が運動を取り入れることで精神的な面でプラスに感じてメリットがあった回答しており、障害者スポーツから得られる精神面へのメリットは大きいようです。
ひとりで行う競技でも社会生活に参加できる
社会生活に参加できることも、障害者スポーツに取り組むメリットです。
個人競技であっても団体競技であっても、障害者スポーツを行うときには何かのチームや団体に加入します。
同じチームの仲間や指導者の方など人との関わりが増えるので、社会生活に参加してコミュニケーション能力を育めるのもメリットの一つです。
障害者スポーツの始め方
身体の健康や精神の安定、社会生活への参加など、障害を持つ方にとって様々なメリットがある障害者スポーツ。
しかし「障害者スポーツに興味があるけど始めるのに勇気がいる」「始め方がわからずなかなか挑戦できない」と悩んでいる方もいますよね。
ここからは、障害者スポーツの始め方について紹介します。
まずはきっかけを作る
障害者スポーツに挑戦したい方は、きっかけ作りから始めましょう。
まずは、
- 自分がやってみたい競技はなにか
- なぜ身体を動かす必要があるのか
- 障害者スポーツは自分にどんなメリットをもたらすのか
など障害者スポーツについて自分の中で考えた上で、障害者スポーツをしている方の話を聞いてみるのもおすすめです。
周りの人に話を聞いて情報を集めることで、障害者スポーツに取り組むイメージがつきやすくなります。
生活を振り返ってバリアや課題の対処法を考える
次に、身体を動かすことのバリアになっていることを上げて、対処法を考えましょう。
例えば、「送迎がなければ移動できず継続しにくい」といった環境的バリア、「身体を動かす自信がない」といった心理的バリア、「体力的に不安がある」といった身体的バリアなど人によって様々です。
このようなバリアを解決するにはどのような対処法があるのか、専門家や興味のある障害者スポーツの団体に相談して対処法を見つけ出しましょう。
自分に合う方法で活動を開始してみる
まずは、自分に合う方法で活動を開始してみましょう。
本格的に開始する前に、競技の団体の雰囲気を見るために見学に行ったり、実際に体験してみたりするのがおすすめ。
実際に見たり体験したりすることでイメージが湧きやすく、継続できるそうか、本当に障害者スポーツによるメリットが得られるのかなどが判断できますよ。
様子を見ながら継続する│大会への参加もおすすめ
メリットを得られて自分に合いそうな障害者スポーツを見つけられたら、様子を見ながら継続してみましょう。
障害者スポーツは無理なく自分のペースで継続することでメリットを得られるので、頻度・強度・活動時間等に無理がないかを確認することが重要です。
さらに、目標を立てて取り組むと、達成感を感じられて楽しみながら継続できますよ。
競技を選ぶときの注意点
障害者スポーツによるメリットを得るには、自分に合う競技を選ぶことが大切です。
自分に合う競技でないと継続することが難しく、障害者スポーツによるメリットや目的を果たせないので、これから解説する注意点を意識して競技を選びましょう。
目的に合う競技や団体を選択する
障害者スポーツで競技を選ぶときには、目的に合う競技や団体を選択しましょう。
例えば、「まずは身体を動かすことを楽しみたい」という方がアスリート思考の強い競技や団体を選択した場合、チームについていけずに挫折してしまいます。
反対に、「本格的な障害者スポーツを楽しみたい」という方が初心者向けの団体に入っても物足りなさを感じるでしょう。
どのようなレベルの人が集まっているのかを知るために、話を聞くだけでなく見学や体験に行って判断するのがおすすめです。
体制や支援が整った指導員の質が高い団体を選ぶ
障害者スポーツを選ぶときには、いかに体制が整っているかも重要なポイントです。
特に大切なのが指導員の質。
障害者スポーツの指導者は、障害に関する医学的・精神的・社会的な知識や、スポーツ指導に関する知識と技能が必要とされます。
指導者の質が高いと、障害者スポーツ初心者の方でも安心して取り組めます。
なお、160万人もの障害者スポーツ人口がいる中で、日本障害者スポーツ協会公認指導者は2万4千人ほどしかいません。
そのため、指導者の質が不安な場合は、安全への配慮や医師との連携などをチェックして、体制が整備されている団体を選びましょう。
保険サービスへの加入を検討する
障害者スポーツで競技を選んだら、保険への加入を検討しましょう。
指導者の質が高い団体に加入しても、競技によっては接触してケガをしてしまうこともあります。
特に、運動不足で身体の健康維持のメリットを得るために障害者スポーツを始める方は、身体を動かすのに慣れておらずケガをしやすいので要注意。
心配な方は、事前に保険に加入することをおすすめします。
記事まとめ│メリットが多く自分に合う競技を選ぼう
この記事では、障害者スポーツのメリットや始め方、競技を選ぶときの注意点について詳しく解説しました。
障害者スポーツを行うと、身体の健康の維持・精神的な安定・社会生活への参加のメリットが期待できます。
しかし、メリットを実感するには自分に合う競技を選ぶことが重要です。
障害者スポーツを始める目的や自分ができることを考えた上で競技を選ぶと、無理なく続けられてメリットを得られます。