登山初心者の方におすすめの山はたくさんありますが、大分県の「九重連山(くじゅう連山)」もその中のひとつです。
5月下旬から6月上旬にかけては連山をピンク色に染める「ミヤマキリシマ」が、秋には色とりどりの紅葉が登山初心者の心を魅了しています。
登山の難易度は、初心者でも十分に楽しめるレベルですので、ぜひ絶景を楽しみながらの登山に出掛けてみましょう。
今回は、「九重連山(くじゅう連山)」の表玄関である牧ノ戸峠からの初心者向けおすすめルートをご紹介するとともに、服装や周辺観光スポットも併せてご紹介していきます。
牧ノ戸峠とは
牧ノ戸峠は、大分県玖珠郡九重町に位置する標高1,333mの峠です。久住山(標高1,787m)をはじめ「九重連山(くじゅう連山)」の登山口があり、休日は多くの登山客で賑わっています。
牧ノ戸峠登山口には広い駐車場が完備されているほか、トイレや売店、自販機などもあり、初心者にもうれしいサービスが充実しています。
また、ライブカメラも設置されているので、リアルタイムの牧ノ戸峠をいつでもチェックすることができます。
さらに、「牧ノ戸展望台」からは、九重連山(くじゅう連山)や遠くに阿蘇五岳までも見渡すことができ、少し足を運ぶだけで、簡単に高山植物を愛でながらの散策が楽しめます。
牧ノ戸峠は九州横断道路(通称「やまなみハイウェイ」)の最高地点にあるため、ドライブを楽しむ方の絶好の休憩スポッにもなっています。
牧ノ戸峠初心者も知っておきたい「くじゅう連山」豆知識
「九重連山」と「くじゅう連山」というふたつの表記がありますが、一般的に火山群や周辺地域全体を指す場合には「くじゅう連山」という表記が用いられることが多いです。
なお、「九重山」という山は実際にはなく、大分県玖珠郡九重町と竹田市久住町の境界に位置する山々を総称して「九重連山(くじゅう連山)」といい、代表的な山を指す場合は「久住山」ということが多いです。
登山初心者におすすめの「牧ノ戸峠登山モデルコース」
牧ノ戸峠登山には、登山初心者でも楽しめるコースが用意されています。
特に難所もなくなだらかな尾根道が続くので、登山初心者でも安心して登山を楽しむことができます。
今回は、牧ノ戸峠登山のモデルコースともいえる、日帰りで楽しめる「牧ノ戸峠から久住山・中岳をめぐるコース」をご紹介します。
所要時間は休憩込みで6時間程度となっていますが、登山初心者の場合はこまめな休憩をとりながら無理のない登山をするのがおすすめなので、さらにゆとりをもった時間を想定しておきましょう。
登山初心者向け牧ノ戸峠登山①:牧ノ戸峠~沓掛山
牧ノ戸峠登山口を出発し、まずはコンクリートの急な坂道を登っていきます。
30分ほど歩くと沓掛山(くつかけやま)に到着し、その後はゆるやかな尾根道となりますので、九重連山(くじゅう連山)の展望を楽しみながら歩いていきましょう。
初夏にはミヤマキリシマ、秋には紅葉など、四季折々の美しさを感じることができます。
登山初心者向け牧ノ戸峠登山②:沓掛山~久住別れ
尾根道を登って行くと、扇ヶ鼻(おおぎがはな)分岐や星生山(ほっしょうさん)分岐がありますが、これらの分岐付近は、霧が発生すると道が分かりづらくなりますので、特に登山初心者の方は、黄色いペンキで描かれた目印やケルンなどを確認しながら歩いてください。
扇ヶ鼻分岐や星生山分岐をまっすぐに進み、溶岩の丘を越えると「久住別れ」に着きます。
久住別れには避難小屋とトイレがあり、休憩スペースもあるので状況に応じて利用しましょう。
ちなみに、沓掛山から久住別れまでの歩行時間は2時間程度となっています。
登山初心者向け牧ノ戸峠登山③:久住別れ~久住山
久住別れを出発し登っていくと、久住山山頂に約30分で登頂します。360度見渡す限りのパノラマビューで、お天気が良ければ阿蘇山が見られることも。
風が強くなければ、ここでお昼休憩を取るのがおすすめです。ただし、強風の場合はここで無理してお昼を取らなくても、この先に良い場所がいくつかありますので安心してください。
登山初心者向け牧ノ戸峠登山④:久住山~中岳
久住山からの絶景を堪能したら下りに入り、御池(みいけ)を目指します。
もし、久住山でお昼休憩が取れなかった場合は、御池周辺で取るのもおすすめ。青色の湖面が美しく、登山初心者の疲れを癒してくれます。
その後、岩場を登っていくと中岳山頂(標高1,791m)に登頂します。中岳は九重連山(くじゅう連山)の最高峰なので、登山初心者の方の達成感もひとしおでしょう。
久住山から中岳までの歩行時間は約40分ですが、中岳山頂付近は岩場となっているため、登山初心者の場合はもう少し時間がかかるかもしれません。
登山初心者向け牧ノ戸峠登山⑤:中岳から牧ノ戸峠
登ってきた道を戻り、牧ノ戸峠を目指します。同じ道ではありますが、登りのときとは向きが逆なので、また違った景色を楽しめるでしょう。
中岳から牧ノ戸峠までの歩行時間は、2時間程度となっています。
以上が、登山初心者にもおすすめの牧ノ戸峠登山のルートになります。特に危険な箇所があるわけではなく難易度は低めですが、歩行距離が長いので6時間程度かかります。
できれば夕方前には下山できるよう、朝早く出発することをおすすめします。
おすすめの服装
登山初心者の中には、牧ノ戸峠登山をする際にはどのような服装で行けばいいのか迷ってしまうという方もいるでしょう。
牧ノ戸峠登山は初心者でもチャレンジできるルートとはいえ、登山にふさわしい服装で臨みたいものですね。
初心者も一般的な登山の服装でOK
牧ノ戸峠から始まる九重連山(くじゅう連山)への登山は、初心者でも一般的な登山用の服装で問題ありません。
特別な服装や装備は必要ではないため、初心者でも気軽にチャレンジしやすいですね。
以下に初心者向けの服装の選び方をご紹介しますので、牧ノ戸峠登山前の準備にお役立てください。
アンダーウェア | 基本的には吸湿速乾タイプがおすすめ。 ただし、冬場は保温性に優れたものが良い。 |
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上着 | 夏場は薄手のシャツなどで、冬場はフリースなどで防寒する。 また、四季を通して風を防ぐためウインドブレーカーは必須。 |
雨具 | 防水透湿性があり上下セパレートがおすすめ。 |
初心者におすすめの観光スポット3選
登山初心者が牧ノ戸峠を訪れた際には、ぜひチェックしていただきたい観光スポットがあります。
牧ノ戸峠登山の思い出をより一層深いものにするために、足を運んでみてはいかがでしょうか。
牧ノ戸峠登山初心者におすすめの観光スポット1:九重“夢”大吊橋
「九重“夢”大吊橋」は、長さ390m、高さ173m、幅1.5mの「日本一の高さ」を誇る歩道専用の吊橋で、平成18年10月30日にオープンしました。
目前にある「震動の滝」や、足下に広がる鳴子川渓谷の原生林など、四季折々の自然を楽しんだり、遠くに九重連山(くじゅう連山)を360度の大パノラマで眺められたりできるなど、「天空の散歩道」という名にふさわしい絶景が広がっています。
- 所在地:〒879-4911 大分県玖珠郡九重町大字田野1208
- 営業時間:8:30~17:00(入場券販売は16:30まで)
- 入場券:中学生以上500円、小学生200円、小学生未満無料
- 公式サイト:https://www.yumeooturihashi.com/
牧ノ戸峠登山初心者におすすめの観光スポット2: 九酔渓温泉
九酔渓温泉は、美しいモミジが自慢の九酔渓にある温泉で、四季折々の風景を眺めながら入浴することができます。
九重“夢”大吊橋の近くなので、併せて利用するのもおすすめ。登山初心者の疲れた身体を優しく癒してくれることでしょう。
- 所在地: 〒879-4911 大分県玖珠郡九重町田野九酔渓
- 公式サイト:https://kyusuikei.com/
牧ノ戸峠登山初心者におすすめの観光スポット3:山の宿 寒の地獄旅館
「山の宿 寒の地獄旅館」は、江戸末期嘉永2年に開湯した秘湯と共に歩んできた、昭和3年創業の歴史ある温泉旅館で、日帰り温泉も利用できます。
切石風呂や檜風呂、源泉13~14℃の冷泉など、さまざまな温泉を堪能することができます。
由緒ある秘湯にゆったりと浸かり登山の疲れを癒してください。
- 所在地:〒879-4911 大分県玖珠郡九重町田野257番地
- 日帰り温泉::9時~17時(16時最終受付)
- 定休日:毎週水曜日
- 公式サイト:http://kannojigoku.jp/
登山初心者にもわかりやすい牧ノ戸峠へのアクセス
牧ノ戸峠までのアクセス方法をご紹介します。登山初心者で初めて牧ノ戸峠を訪れる方は、迷って時間をロスしてしまわないように、事前にアクセス方法を確認しておくと安心です。
車の場合
九州自動車道九重ICから、四季彩ロード→県道40→やまなみハイウェイを経由し牧ノ戸峠方面へ約23kmで九重登山口駐車場へ到着します(所要時間約40分)。
牧ノ戸峠駐車場には、約200台分の駐車スペースありますが、登山シーズンや紅葉の時期などは混雑するため、特に初心者の方は早めに到着することをおすすめします。
バスの場合
JR久大本線豊後中村駅から日田バスで牧ノ戸峠バス停へ向かいます。所要時間は1時間4分で1日2便です。
なお、別府駅からの亀の井バス・くじゅう高原線、九州産交バスでもアクセスすることができます。
まとめ
牧ノ戸峠から始まる九重連山(くじゅう連山)への登山は、初心者でも登ることができます。
牧ノ戸峠から沓掛山、久住山、中岳などの頂上を制覇しながら、九重連山(くじゅう連山)の360度のビューパノラマを思う存分堪能しましょう。
ただし、九重連山(くじゅう連山)は火山地帯なので、初心者だけに限らず、登山前には必ず火山情報やmapを確認することを忘れないでください。