お祭りやコンサートなど、不特定多数の来場者が想定される大規模な行事やイベントを開催する際は、「イベント賠償責任保険」と呼ばれる損害保険への加入がおすすめです。
この記事では、イベント保険で補償できる行事やイベントの種類と、不特定多数の参加者に対して補償を行うことの必要性などを解説。
イベント保険の主な補償内容や、保険適用となる具体的なケースも紹介しているので、不特定多数の参加者が集まるイベントの開催を予定中の方はぜひ参考にしてみてください。
不特定多数の参加者を補償できる「イベント賠償責任保険」とは
イベント賠償責任保険(以下:イベント保険)とは、不特定多数の参加者が集まる各種行事・イベントにおける賠償責任を補償するための保険です。
まずは、イベント保険の対象となる行事やイベントの種類と、混同されやすい「レクリエーション保険」との違いについて詳しく見ていきましょう。
イベント保険の対象となる行事やイベント
イベント保険の対象となる具体的な行事やイベントには以下のようなものが挙げられます。
お祭り | お神輿・山車、花火大会、盆踊り、記念パレード、桜まつり、ひな祭り、正月行事 など |
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文化的行事 | 演劇、ピアノ発表会・コンサート・学園祭・体育大会 など |
式典行事 | 成人式、町おこしイベント、自治体の防災訓練 など |
催事 | 物産展、展示会、振興会、プロモーションイベント、フードマーケット、骨董市 など |
スポーツイベント | 野球、サッカー、陸上競技、バレーボール、テニス など |
その他 | 海水浴、キャンプ、ボーイスカウト活動 など |
上記に限らず、不特定多数の参加者が集まる中・大規模のイベントについては、ほとんどのケースでイベント保険への加入が可能です。
レクリエーション保険との違い
同様に、行事やレクリエーション中における参加者のケガ・傷害を補償する保険として「レクリエーション保険」というものがあります。
こちらも上記に挙げたようなイベントを補償するものですが、レクリエーション保険の場合は契約時に名簿の提出などが必要となるため、不特定多数の参加者が集まるイベントの場合は契約を結ぶことができません。
また以下のような行事やレクリエーションも補償の対象外となるため、イベント保険よりも適用の範囲は狭いと言えるでしょう。
対象外の行事・レクリエーション
- 1日あたりの参加人数が20名以下となる小規模な行事・レクリエーション
- 宿泊を伴う行事・レクリエーション(例:キャンプ・合宿・車中泊 など)
- 危険度の高い行事・レクリエーション(例:スキューバダイビング など)
- 就業中の行事・レクリエーション(例:社員研修 など)
なおイベント保険の場合も、保険金を請求する際に入場・来場者数を提示できる必要があるため、受け付けで人数をカウントするといった作業は発生します。
とは言え、レクリエーション保険のように参加人数を事前に提示したり、名簿を作成したりする必要がないため、より柔軟に利用できる保険商品と考えて良いでしょう。
不特定多数の参加者に対する補償の必要性
お祭りやコンサートといったイベントには不特定多数の人が集まるため、想定されるリスクにも様々なものがあります。
例えば、来場者がケガをしたり病気になったりするリスク、機材の盗難や損壊のリスク、施設・設備の不備によるイベントの中止リスクなどが挙げられるでしょう。
こうした傷害・損害の責任は原則としてイベントの主催者に降りかかり、場合によっては莫大な金額の損害賠償を命じられる可能性もあります。
イベント保険の加入は来場者・参加者のためだけでなく、主催者自身のためにもなるので、行事やイベントを主催する際はぜひ加入を検討してみましょう。
イベント保険の補償内容
続いて、不特定多数の参加者が集まる行事やイベントで利用できる「イベント保険」の主な補償内容と、保険を適用できる具体的なケースについて詳しく見ていきましょう。
イベント保険の主な補償内容
イベント保険の種類・補償内容は商品によって様々ですが、主なものとして以下が挙げられます。
損害賠償金 | 民事上の損害賠償責任に基づき、損害賠償請求権者に対して支払うべき治療費や慰謝料、修理費用などを補償する |
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争訟費用 | 当該の損害賠償事案に関連する訴訟費用や弁護士報酬等の費用を補償する |
損害防止費用 | 事故が発生した際に、損害の発生および拡大防止のために生じた費用を補償する |
権利保全行使費用 | 発生した事故に関する賠償責任を第三者に請求できる場合、その権利の保全もしくは行使のために必要となる費用を補償する |
緊急措置費用 | 事故が発生した際の緊急措置(応急手当など)に要した費用を補償する |
協力費用 | 事故の解決に向けた引受保険会社への協力に必要となる費用を補償する |
上記の他、保険会社が用意している特約を付与することにより、例えば熱中症や食中毒に起因するケガ・病気、また悪天候によるイベント中止の損害なども補償できる場合があります。
イベント保険が適用されるケースは?具体例を紹介
イベント保険は、主に「イベントで使用する施設・設備などの不備による事故」と「主催者または従業員等の不注意による事故」が原因で生じた傷害・損害に対して適用される保険です。
イベント保険が適用される具体例として、以下のようなケースが挙げられます。
イベントで使用する施設・設備などの不備による事故の例
- 体育大会の開催中に突風が発生して仮設テントが倒壊、倒れた支柱が参加者に直撃したことでケガを負わせた
- イベント会場に仮設した看板の留具が不十分だったために看板が落下し、来場者にあたってケガをさせた など
主催者または従業員等の不注意による事故の例
- 来場者の誘導ミスにより将棋倒しが発生し、不特定多数のケガ人がでた
- 展示販売されている商品を誤って来場者の足の上に落としてしまい、ケガを負わせた
- 来場者に提供した飲食物が原因で、不特定多数の来場者が食中毒になった(※食中毒を補償する特約の契約が必要) など
イベント保険が適用されないケースもある
イベント保険に加入していれば、どんな事故でも補償が受けられるのかというと、そうではありません。
以下のようなケースに該当する場合はイベント保険の対象外となるため注意が必要です。
対象外となるケース
- 主催者側の故意・意図的な事故
- 主催者自身またはスタッフが負ったケガ
- 自動車や動物の管理ミスによる事故
- 排水・排気に起因する事故
- イベント会場に設営・改造・取り壊し工事における事故
- 暴動・地震・津波・噴火などによる事故 など
その他、イベント保険の適用となるケース・適用とならないケースについてより詳しく知りたいという方は、各保険会社・保険代理店へお問い合わせください。
まとめ:不特定多数の参加者が集まる場合はイベント保険への加入をご検討ください
この記事のポイント
- イベント保険は不特定多数の参加者が集まる行事やイベント中の傷害・損害を補償する保険
- イベント保険では、施設・設備が原因の事故と主催者側の不注意による事故の両方を補償できる
- 規模の大きい行事やイベントほど事故のリスクも高まるため、万が一に備えた保険加入がおすすめ
イベント保険なら主催者が負担することになる損害賠償責任の補償が可能であり、不特定多数の参加者が集まる行事やイベントにおける“もしも”に備えることができます。
不特定多数の参加者が集まるイベントでは何らかの事故が起きるリスクも高くなるため、イベント保険に加入してしっかりと備えておくことをおすすめします。