スポーツイベントやレクリエーション行事を開催する際、参加者の安全を守るために欠かせないのが団体向けスポーツ保険です。
しかし、「年間契約は予算的に厳しい」「単発のイベントなのに長期の契約は必要ない」という声をよく耳にします。
実は、スポーツ保険には1日単位で加入できる掛け捨て型の商品があります。
必要な時に必要な分だけ加入できるため、コスト面でも使い勝手の面でも効率的です。
ただし、保険の種類や補償内容は様々。
イベントの規模や内容によって最適な保険は異なってきます。
この記事では、1日単位で加入できる掛け捨て型の団体向けスポーツ保険について、選び方のポイントやおすすめの保険商品を詳しく解説します。
これから単発のスポーツイベントを開催する予定の方は、ぜひ参考にしてください。
団体向けスポーツ保険とは?
団体向けスポーツ保険は、スポーツやレクリエーション活動、各種イベントにおける参加者のけがや事故、主催者が被る損害賠償責任を補償するための保険です。
主に「スポーツ安全保険」「レクリエーション保険」「イベント保険」の3種類があり、それぞれの特性に応じた補償が提供されています。
ここでは、この3種類の団体向けスポーツ保険について、各保険の特徴や主な補償内容を紹介していきます。
スポーツ安全保険
スポーツ安全保険は、スポーツ活動や文化活動、ボランティア活動、地域活動、レクリエーション活動などの団体活動における事故を補償するスポーツ保険です。
4名以上のアマチュアの団体・グループであれば加入できます。
年間掛金を支払い、その年度内のみ有効な掛け捨て型の保険で、継続するためには年度ごとに新たに加入手続きが必要です。
なお、スポーツ安全保険は、1日単位での加入はできません。
特定のスポーツ大会に参加するために事前に参加者が確定している場合、1日のみの団体活動についても補償は可能ですが、その場合でも年間の掛金を支払う必要がある点に注意が必要です。
スポーツ安全保険の補償内容
補償項目 | 補償内容 |
---|---|
傷害保険 | 団体活動中やその往復中に、急激かつ偶然な外来の事故による傷害を補償します。これには、熱中症や細菌性・ウイルス性食中毒も含まれます。 |
賠償責任保険 | 団体活動中やその往復中に、他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりした場合に生じる法律上の賠償責任を補償します。 |
突然死葬祭費用保険 | 団体活動中やその往復中に、急性心不全や脳内出血などの突然死が発生した場合、親族が負担した葬祭費用を補償します。 |
参考:スポーツ安全保険|公益財団法人スポーツ安全協会(Spo-An)
レクリエーション保険
レクリエーション保険は、イベントや行事で発生する事故による参加者のケガを補償するための団体向け傷害保険です。
参加者の傷害補償に加え、主催者の賠償責任も補償できる商品もあります。
なお、レクリエーション保険は掛け捨て型のスポーツ保険のため、1日単位での加入が可能。
レクリエーション行事やスポーツイベントの内容や規模に応じて、補償内容が決定します。
また特約を付帯することで熱中症や食中毒にも対応できたりと、柔軟な設計が可能です。
レクリエーション保険の補償内容
補償項目 | 補償内容 |
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死亡保険金 | イベント中の事故により参加者が死亡した場合に支払われます。 |
後遺障害保険金 | イベント中の事故により参加者に後遺障害が生じた場合、その程度に応じて支払われます。 |
入院保険金 | イベント中の事故により参加者が入院した場合、入院日数に応じて日額で支払われます。 |
手術保険金 | イベント中の事故により参加者が手術を受けた場合、手術の種類に応じて所定の金額が支払われます。 |
通院保険金 | イベント中の事故により参加者が通院した場合、通院日数に応じて日額で支払われます。 |
賠償責任保険(オプション) | 第三者への損害賠償、緊急措置費用、争訟費用などを補償します。 |
イベント保険
イベント保険は、大規模なイベントや催事、大勢の人が参加・観戦するスポーツ大会などに適した団体保険です。
不特定多数の参加者の傷害補償や主催者の賠償責任に加え、イベントの中止・延期に伴う費用、使用する備品の損害、食中毒などの特殊なリスクもカバーできます。
イベント保険も掛け捨て型の保険で、1日単位での加入が可能です。
例えば、イベント開催日の7日前までに申し込みが必要だったり、興行中止保険は14日前までに契約手続きが必要などの条件はありますが、規模が大きなイベントを開催する場合はぜひ加入していただきたい保険です。
なお、不特定多数を対象とした場合は、参加者が限定されている場合よりもリスクが上がります。
そのため、イベント保険は1日型・掛け捨て型であっても掛け金が高額になる可能性がありますのでご注意ください。
イベント保険の補償内容
補償項目 | 補償内容 |
---|---|
傷害保険 | イベント中の参加者がケガをした場合の死亡、後遺障害、入院、通院に対する補償を行います。 |
賠償責任保険 | イベント主催者が法律上の賠償責任を負った場合、その損害を補償します。 |
中止・延期費用保険 | 悪天候などの不可抗力によりイベントが中止・延期された場合に発生する費用を補償します。 |
物品損害保険 | イベントで使用する備品や機材などが損害を受けた場合、その修理・交換費用を補償します。 |
食中毒補償 | イベントで提供された飲食物が原因で食中毒が発生した場合、その損害を補償します。 |
団体向けスポーツ保険の選び方
先述した通り、団体向けスポーツ保険には以下の3種類があります。
- スポーツ安全保険
- レクリエーション保険
- イベント保険
上記でその特徴については解説しましたが、実際に契約をするとなると、
「どのスポーツ保険にすればいいかわからず決めかねてしまっている」
という方も多いのではないでしょうか。
そんな方に向けて、ここでは、団体スポーツ保険の選び方を解説していきます。
わかりやすく紹介していきますので、スポーツ保険の加入にお悩みの方はぜひ参考にしてみて下さいね。
保険料と補償内容のバランスの考え方
団体向けスポーツ保険を選ぶ際は、保険料と補償内容のバランスを慎重に検討することが重要です。
必要最低限の補償から十分な補償まで、以下のポイントを考慮しましょう。
- イベントの規模や参加者数に応じた適切な補償額(保険金額)
- 活動内容のリスクに合わせた補償内容がそろっているか
- 活動内容に対して賠償責任保険が必要かどうか
- オプション特約(熱中症補償、食中毒補償など)の必要性
例えば、東京海上日動のレクリエーション災害補償プランの場合、低リスクの行事では1人1日あたり24円から加入可能ですが、高リスクになると241円まで保険料が上がります。
また、スポーツ保険商品によっては、山岳登はんやハンググライダー搭乗などの危険なスポーツ活動を対象としないものもあります。
そのため、まずは自身が開催・参加するスポーツイベントが検討中のスポーツ保険に加入できるかどうかを確認しましょう。
そのうえで、団体の予算と必要な補償のバランスを取ることが大切です。
保険会社の信頼性とサポート体制をチェック
スポーツ保険商品の引受保険会社もチェックしておくと安心です。
信頼性の高い保険会社を選ぶことで、万が一の際の事故対応がスムーズにいくでしょう。
以下のような方法で、引受保険会社の口コミや評判を確認してみてください。
- 保険比較サイトでのユーザーレビューを参照
- スポーツ団体や主催者の口コミを探す
- 事故受付の方法を事前に確認
また、公益財団法人スポーツ安全協会が提供する「スポーツ安全保険」は、8社の保険会社と共同で作られた公益目的事業としての保険であり、信頼性が高いとされています。
掛け捨て型1日スポーツ保険加入前に確認しておくべきポイント
1日単位のスポーツ保険は、年間包括契約とは形態や手続きが大きく異なります。
そのため、加入前に以下のようなことを確認しておきましょう。
- 補償期間の確認
- 加入手続きの締め切り
- 最低加入人数の条件
- キャンセル時の返金規定
- 保険料の支払い方法
これらを事前に確認し、理解しておくことで、イベント当日のトラブルを避け、必要な補償を必要な分だけ確保することができます。
以下では、上記の掛け捨て型1日スポーツ保険加入前に確認しておくべきポイントについて、それぞれ詳しく紹介していきます。
なお、不明な点がある場合は、必ず保険会社や代理店に直接ご確認ください。
1. 補償期間の確認
補償期間は通常、指定した開始時刻から24時間です。
イベントの準備や後片付けの時間が含まれているかを、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
一部のスポーツ保険では、準備・片付けの時間も補償対象に含まれています。
例えば、スポーツ安全保険では、団体の指示に基づいた準備・片付け活動も「団体の管理下における団体活動」として扱われます。
ただし、自宅から集合場所への移動中の事故は補償対象外となる場合があるので注意が必要です。
その点、あいおいニッセイ同和損保のネットで簡単!レクリエーション傷害保険では、往復途上傷害危険補償特約が自動セットされています。
そのため、行事参加中のみでなく、住居を出発してから帰るまでを幅広く補償してもらうことが可能です。
2. 加入手続きの締め切り
多くの保険会社では、イベントの2週間前までにスポーツ保険の加入申し込みを済ませておく必要があります。
これは保険会社が適切なリスク評価を行い、必要な手続きを完了させるための時間を確保するためです。
締め切りを過ぎると加入できない、または割増料金が発生する場合があるため、早めの手続きをおすすめします。
なお、イベントの前日でも加入可能なスポーツ保険も登場してきています。
詳細については後ほど紹介しますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
3. 最低加入人数の条件
団体向けのスポーツ保険では、最低加入人数が設定されていることがあります。
例えば、45名以上という条件がある場合、それ以下の人数では加入できないか、または割増料金が発生する可能性があります。
小規模なイベントの場合は、個人向けのレジャー保険や別のスポーツ保険商品を検討する必要があるかもしれません。
そのため、あらかじめ参加人数に対して最低加入人数が最適なスポーツ保険をピックアップしておきましょう。
加入直前にスポーツ保険を探しなおす手間が省けます。
4. キャンセル時の返金規定
多くの1日保険は掛け捨て型であり、一度支払った保険料は返金されないことが一般的です。
しかし、保険会社によっては、一定の条件下でキャンセルや返金が可能な場合もあります。
キャンセルポリシーを事前に確認し、必要に応じて保険会社に確認しておくことが重要です。
5. 保険料の支払い方法と期限
保険料の支払い方法は、クレジットカード、銀行振込、コンビニ払いなど、スポーツ保険商品によって異なります。
支払い期限も重要で、スポーツ保険の多くは、イベント開始前までに支払いを完了する必要があります。
支払いが遅れると、保険が無効になる可能性があるため、注意が必要です。
少人数で、1日のみ必要ならレジャー保険で足りるかも
先述した通り、小規模な団体や1日のみのイベントの場合は、個人向けのスポーツ保険である「レジャー保険」で十分な場合もあります。
レジャー保険は、レジャー中に起こる事故などに対して補償する個人向けのスポーツ保険です。
スポーツやアウトドア活動など、さまざまなレジャー活動中のケガや事故に備えることができます。
レジャー保険の特徴は以下の通りです。
- レジャー保険とは、スポーツ参加者が自分で加入する個人向け保険
- 家族規模の少人数なら団体加入可能
- 1日単位での加入が可能
- コンビニやネットから加入でき、手続きが簡単
- 低コストで基本的な補償を得られる
ただし、レジャー保険は団体向けスポーツ保険と比べて、補償内容が限定的な場合が多いです。
活動内容や参加者数に応じて、最適な保険を選択することが重要です。
【1日単位で掛け捨て型】おすすめの団体向けスポーツ保険4選
ここでは、1日単位で加入可能な掛け捨て型の団体向けスポーツ保険を4つご紹介します。
ただし、ここでお勧めする保険商品が必ずしもあなたやあなたが参加・主催するスポーツイベントに最適であるとは限りません。
イベントの規模、参加者数、活動内容に応じて最適なスポーツ保険を選択することが重要です。
なお、今回紹介するスポーツ保険は以下3つの条件がそろっているもののみです。
3つの条件
- 団体向け
- 1日単位で加入可能
- 掛け捨て型
団体での利用を前提としているもののみを扱っているため、個人向けの1DAYレジャー保険などをお探しの方は以下をご確認ください。
1. 東京海上日動のレクリエーション災害補償プラン
東京海上日動のレクリエーション災害補償プランは、団体向けスポーツ保険の代表的な商品です。
最低45名以上の参加者が必要で、低リスクの行事(A区分)では1日1人あたり24円から加入可能。
保険金額を自由に設定でき、団体イベントの特性に合わせたカスタマイズが可能です。
傷害保険と賠償責任保険の両方をカバーしており、総合的なリスクヘッジを行いたい団体におすすめです。
2. あいおいニッセイ同和損保のレクリエーション保険(みんレク)
あいおいニッセイ同和損保のレクリエーション保険は、1日1人あたり約50円から加入可能な団体向けスポーツ保険です。
レクリエーションや行事参加中のケガを補償し、死亡、後遺障害、入院、手術、通院に対して保険金を支払います。
あいおいニッセイ同和損保✕みんレクの「ネットで簡単!レクリエーション傷害保険」なら、24時間オンライン申込ができて、イベント前日の23時59分までの加入が可能。
熱中症や食中毒も補償対象となり、オプションで天災危険補償も追加できます。
補償範囲は行事参加中だけでなく、自宅からの往復途上も含まれるので安心です。
支払方法はクレジットカードに加えてコンビニ決済も選択可能で、最低保険料は1,000円から。
お手軽な団体スポーツ保険をお探しの方はぜひご検討ください。
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3. 三井住友海上のレクリエーション保険
三井住友海上のレクリエーション保険の特徴として、1日20名以上の参加者がある行事を対象とし、集合から解散までの間、責任者の管理下にある時のケガを補償します。
保険料は参加者数や行事の種類によって異なり、団体割引も適用可能。
また、個別契約方式と年間包括契約方式の2つの契約方法があり、後者では年間の行事予定をまとめて契約できます。
オプションとして天災危険補償特約などを追加することも可能です。
4. あいおいニッセイ同和損保のイベント賠償責任保険(グッド保険サービス)
イベント賠償責任保険は、1日単位で加入可能な掛け捨て型の団体向けスポーツ保険です。
イベントや行事での事故による参加者のケガや第三者への損害賠償を補償し、傷害保険と賠償責任保険の両方をカバーします。
特約を付けることで、食中毒や借用施設の損壊も補償対象となります。
支払限度額や免責金額は、イベントの規模に応じて設定可能です。
スポーツ大会だけでなく、コンサートやお祭りなど、さまざまな団体イベントにも適しており、主催者のリスク管理と参加者の安全確保に役立ちます。
記事のまとめ:1日・掛け捨て型スポーツ保険で安全なイベント運営を
団体向けスポーツ保険は、イベントや行事での万が一の事故やケガに備えるために欠かせません。
スポーツ安全保険は年間加入が必要ですが、レクリエーション保険やイベント保険では1日単位での加入が可能なため、単発のイベントでも必要な期間だけ補償を受けることができます。
保険選びの際は、イベントの規模や参加者数、活動内容のリスク、補償内容と保険料のバランスを慎重に検討することが大切です。
また、加入前には補償期間や手続きの締切、最低加入人数などの条件を必ず確認しましょう。
少人数のイベントではレジャー保険という選択肢もありますが、参加者の安全を第一に考え、イベントの特性に合った適切な保険に加入することで、主催者も参加者も安心してスポーツイベントを楽しむことができます。