車やドライブが好きな人のなかには、サーキット場で運転するレース・サーキット走行をしてみたい人もいるでしょう。
サーキット場であれば、公道とは異なり、スピードを出して運転テクニックを磨くことができます。
しかし、テクニックが不足していれば、安全に運転するのは難しく、事故が起こる可能性も考えられます。
レース・サーキット走行には興味があるけれど、事故が心配な人も多いのではないでしょうか。
レース・サーキット走行の事故に備えるためには、保険に加入する方法があります。
保険の候補としてはレジャー保険や自動車保険を思いつくかもしれませんが、補償の対象になるか確認しなければなりません。
そこでこの記事では、一般のレジャー保険の補償内容を確認し、レース・サーキット走行に対応した保険について解説します。
「レース・サーキット走行」はレジャー保険の保険適用外
結論から言うと、「レース・サーキット走行」はレジャー保険の補償対象外です。
サーキット走行(走行会)は、レーサーのライセンスがない一般ドライバーでも参加できます。
走行会では、タイムアタックや模擬レースなどが行われます。スピードを争う走行会では、単独クラッシュや他車とのクラッシュのほか、ケガをする可能性もあります。
レジャー保険とは
レジャー保険は、「自分のケガの補償+他人のケガ・モノの補償+その他の補償」で構成されています。
ここでは、一般的なレジャー保険の補償内容を紹介していきます。
自分のケガの補償
保険金の種類 | 概要 |
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死亡保険金 | 事故によるケガで、事故発生日からその日を含めて 180 日以内に死亡した場合に支払われる保険金。 |
後遺障害保険金 | 事故によるケガで、事故発生日からその日を含めて 180 日以内に身体に後遺障害が発生した場合に支払われる保険金。後遺障害の程度に応じた保険金が支払われる。(計算式)後遺障害保険金額×10% |
入院保険金 | 事故によるケガで、事故発生日からその日を含めて 180 日以内に入院した場合に支払われる保険金。入院日数に対し、1日につき入院保険金日額が支払われる。(計算式)入院保険日額×入院日数 |
手術保険金 | 事故によるケガで、事故発生日からその日を含めて 180 日以内にそのケガの治療のために約款所定の手術を受けた場合に支払われる保険金。一般的に入院中の手術は「入院保険金日額×10倍」、外来での手術は「入院保険金日額×5倍」が支払われる。 |
通院保険金 | 事故によるケガで、事故発生日からその日を含めて 180 日以内に通院した場合に支払われる保険金。通院日数に対し、1日につき通院保険金日額が支払われる。(計算式)通院保険日額×通院日数 |
自動車運転中のケガであっても、ケガをした場合はレジャー保険の補償の対象になります。
しかし、保険金が支払われないおもな場合として、次のような項目があります。
「⾃動⾞等の乗⽤具による競技、競争もしくは興⾏またはこれらのための練習を⾏っている間の事故」
つまり、普通に自動車を運転している場合とは異なり、サーキット走行によるケガは補償の対象外となっているのが一般的です。
他人のケガ・モノの補償
特約の種類 | 概要 |
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個人賠償責任保険金 | 他人を死傷させたり、他人の物に損害を与えたりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に支払われる保険金。 |
「他人のケガ・モノの補償」は、レジャー保険の個人賠償責任補償が対象となります。
個人賠償責任補償にも同様に、保険金が支払われないおもな場合として、次のような項目があります。
「航空機・船舶・車両(人力のものやゴルフ・カートを除く)の所有・使用または管理に起因する損害賠償責任」
つまり、サーキット走行に限らず、自動車を運転して他人を死傷させたり、他人の物に損害を与えたりして、法律上の損害賠償責任を負った場合でも、補償の対象外になります。
そのほかの補償
特約の種類 | 概要 |
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携行品損害保険金 | 自宅外で携行する被保険者所有の身の回り品に損害が発生した場合に支払われる保険金。一般的に免責金額が設けられており、被害物の時価から差し引かれる。また保険期間を通じ、携行品損害の保険金額が上限となる。 |
携行品損害補償は、身の回り品に損害が発生した場合に備えた補償です。
保険の対象にならない項目として、一般的に次のように記載されています。
「船舶、自動車、原動機付自転車、自転車およびこれらの付属品」
自動車関連用品のほか、携帯電話やノートパソコンなども補償の対象外になります。
自動車保険(任意保険)で補償されるか
自動車を所有していれば、加入している自動車保険で補償されると考えるかもしれませんが、自動車保険の車両保険には、保険の対象にならない項目として、次のように記載されています。
「契約の車を競技または曲技のために使用すること(練習を含む)、競技または曲技を行うことを目的とする場所で使用することによって生じた損害」
つまり、自動車保険であっても、サーキット走行による損害は補償の対象外となります。
レジャー保険・自動車保険ともにサーキット走行には対応していないことがわかりました。
サーキット走行で保険に加入したい場合には、サーキット走行用の保険に加入しなければなりません。
レース・サーキット走行をする場合は特化型傷害保険への加入がおすすめ
サーキット走行を予定している人向けに、サーキット走行向けのおすすめ保険を紹介します。
なお走行したいサーキット場が決まっていれば、そこでも保険を取り扱っている可能性があります。
レース・サーキット走行専用保険(ほけんの王様)
「レース・サーキット走行専用保険」は、サーキット内の練習・予選・決勝走行だけでなく、自宅からサーキット場までも補償の対象となる保険です。
単独クラッシュや車同士の衝突による車両の修理費用や、火災・台風・盗難・いたずらなどによる車両の損害が補償されます。
サーキット場に設置してあるタイヤバリアやスポンジバリアを壊してしまった場合やケガをしてしまった場合も補償の対象とすることができます。
サーキット傷害保険(鈴鹿ツインサーキット)
鈴鹿ツインサーキットで加入できる保険で、利用者は加入が義務付けられています。
対人・対物保険や車両保険などはなく、自身のケガの補償のみ(「死亡・後遺障害」「入院」「通院」)となっています。
対人・対物補償や車両補償、サーキット場の施設の破損補償などが必要な場合は、ほかの保険に加入しなければなりません。
保険商品の内容をよく確認してから手続きを
この記事では、レジャー保険や自動車保険の重要事項説明書や契約のしおりをもとに、レース・サーキット走行への備えができるかどうかについて確認しました。
レース・サーキット走行は、事故が発生する可能性が高く、一般的なレジャー保険やスポーツ保険などのプランでは補償を受けるのは難しく、レース・サーキット走行専用の保険を探す必要があります。
最初から重要事項説明書や契約のしおりを読み込んで理解するのはハードルが高い人も多いでしょう。
初めて保険を検討する人は特に、質問事項や不明な点をまとめておき、直接問い合わせして、補償内容を理解してから加入するといいでしょう。