季節ごとに様々なイベントや行事が開催されますが、ケガや事故が心配という方も多いですよね。
特にイベント主催者の立場では、参加者になにかあったときには責任を負う必要があり、万が一を考えてリスクヘッジをしておきたいところです。
そんな時に加入しておくと安心なのが、レクリエーション保険。イベントや行事の間に参加者がケガをした場合、死亡保険金や入院保険金などが支払われます。
しかし、レクリエーション保険に加入するには基本的に20名以上の参加者が必要です。では、20名以下の少人数ではどのようにリスク対策をすればよいのでしょうか?
今回は、20名以下の少人数で加入することができるレクリエーション保険はあるのか、20名以下の少人数で加入したい場合には他の保険で代用することができるのかを解説。
20名以下の少人数でレクリエーション保険に加入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
レクリエーション保険とは?行事・イベントの傷害リスクを補償
レクリエーション保険とは傷害保険の一種で、イベントや行事の参加者がイベント参加中にケガをした際に治療費や入院費が支払われる保険です。
地域の活動、スポーツ大会や運動会、登山などのレジャーなど幅広い活動をする際に加入することができ、その活動の危険度によって保険料が変わる仕組みです。
レクリエーション保険の特徴は、通常の傷害保険のように一人ひとりが加入するのではなく、イベントや行事の主催者が契約者となって参加者全員を対象に加入する点にあります。
また、基本的には1日単位で加入することになり、複数日まとめて加入することも可能ですが宿泊を伴った日程での加入(キャンプなど)はできません。
このように、イベント・行事などを行う際に1日単位で加入できる気軽な傷害保険というのがレクリエーション保険の概要です。
では、補償内容をもう少し細かく見ていきましょう。
補償内容
レクリエーション保険は、下記のような基本補償が備えられています。
死亡保険金 | 保険期間中の事故によってケガを負い、そのケガが原因で事故発生から所定の期間内に死亡した場合に保険金が支払われる。 |
---|---|
後遺障害 保険金 |
保険期間中の事故によってケガを負い、そのケガが原因で事故発生から所定の期間内に後遺障害が発生した場合に保険金が支払われる。 |
入院保険金 | 保険期間中の事故によってケガを負い、そのケガが原因で生活や仕事に支障が生まれ、なおかつ入院が必要となった場合に保険金が支払われる。 |
手術保険金 | 入院保険金が支払われる場合に該当し、ケガの治療のために事故発生日から所定の期間内に手術を受けた場合に保険金が支払われる。 |
通院保険金 | 保険期間中の事故によってケガを負い、そのケガが原因で生活や仕事に支障が生まれ、通院によって治療を受けた場合に保険金が支払われる。 |
レクリエーション保険の保険料設定
先ほども少し説明しましたが、レクリエーション保険では参加する活動の危険度によって保険料が異なります。
保険料の区分の例をあげてみました。
区分 | レクリエーションの種類 | 保険料 |
---|---|---|
A | いちご狩り、お花見、 遠足(日帰り)、海水浴、 ソフトボール大会、 潮干狩り、卓球、 町内清掃、テニス、 ドッジボールなど |
30円 |
B | 運動会、サイクリング、 キャンプ(日帰り)、 軟式野球(準硬式を含む)、 バスケットボール、 フィールドアスレチック、 ハンドボール、マラソン、 ボルダリングなど |
150円 |
C | 硬式野球、サーフィン、 サッカー(フットサルを含む)、 空手、柔道、水上スキー、 スキー、ラグビーなど |
300円 |
ここで提示している保険料は1名あたりの金額なので、例えば30名で運動会を行う場合には、30名×150円=4,500円という保険料になります。
一人あたりたった数百円で加入することができるため、レクリエーション行事やスポーツイベントを開催する場合には万が一を考えて契約を検討しておくと良いでしょう。
加入する際の条件は「20名以上」がほとんど
レクリエーション保険は、イベントの参加者が団体で加入することが前提になっているため、基本的には大人数での加入が対象です。
最低人数は20名以上となっていることがほとんど。つまり、20名以下の少人数は加入することができないケースが多いです。
また、レクリエーション保険は加入人数に応じて割引を受けられることがあります。
割引率 | 5% | 10% | 15% | 20% | |
---|---|---|---|---|---|
適用条件 | 被保険者数 | 20名以上 | 500名以上 | 1,000名以上 | 3,000名以上 |
保険料 | 1,900円以上 | 45,000円以上 | 85,000円以上 | 240,000円以上 |
出典:あいおいニッセイ同和損保 ネットで簡単!レクリエーション傷害保険
こちらで示したのはあくまで例ですが、レクリエーション保険は人数が多くなればなるほど団体割引率が高くなり、お得に加入することができます。
ただし、レクリエーション保険ではたいてい「最低保険料」が設定されており、割引適応後の参加者全員分の保険料と最低保険料のどちらか高い方が支払い保険料となる点に注意です。
20名以下の少人数の団体でもレクリエーション保険の加入は可能?
先ほど、レクリエーション保険の加入の基準は20名以上、20名以下の少人数は加入することができないと説明しました。
現在販売されているほとんどのレクリエーション保険の商品では、加入の条件として「イベントに参加する人数が1日あたり20名以上」という条件が設定されています。
中には20名以下の少人数でも最低保険料を支払えば契約できる場合もあるようですが、保険代理店や引受保険会社によって可否が異なるため、問い合わせをしてみなければわからないといった形になります。
よって、現状では「20名以下の少人数でも絶対に加入できる」というレクリエーション保険は無いと言えます。
では、20名以下の少人数でレクリエーション保険に加入したい場合にはどうすれば良いのでしょうか。
レクリエーション保険と似た保険商品として「イベント保険(イベント賠償責任保険)」という損害保険があり、こちらの保険は20名以下の少人数でも加入することが可能です。
このイベント保険について細かく見ていきましょう。
イベント保険(イベント賠償責任保険)とは
イベント保険とは、イベントや行事の主催者が運営上の不備によって事故を起こし第三者に損害を与えた場合の損害賠償を補償するものです。
イベント保険では、レクリエーション保険のように、個人のケガに対して入院保険金や通院保険金などが支払われるわけではありません。
イベント主催者の不備によって発生した偶発的な事故や不注意によって起こった事故で、参加者やスタッフなどの第三者や第三者が所有する財物に損害を与えてしまった際の損害賠償責任を補償するものになります。
たとえば、イベントを開催中に強風が吹き、イベント会場内の出店テントが崩れて参加者がケガをした場合などに、ケガをした参加者に支払う損害賠償金を保険で補償してもらえるといった形です。
ほとんどのイベント保険では、加入人数の制限は開催するイベントに応じて上限〇〇人までという制限しかなく、20名以下の少人数でも加入することが可能。
そのため、20名以下の少人数では加入できないレクリエーション保険の代わりとしておすすめです。
ただし、保険商品によっては補償対象となるケースが限定的だったり、レクリエーション保険よりも保険料が割高になったりする点がデメリット。
特に20名以下の少人数の場合、一人あたりで換算すると支払う保険料が高くなってしまうため、その点には注意が必要です。
20名以下の少人数の場合は個人でレジャー保険に加入する方法も
20名以下の少人数でレクリエーションに関する保険に加入したい場合、イベントの主催者ではなく、イベントの参加者自身がそれぞれで保険に加入をするという選択肢もあります。
たとえば、スポーツやレジャーを行う際の「レジャー保険」などが該当します。
レジャー保険とは
レジャー保険は、1日単位で加入することができる傷害保険で、イベントやスポーツに参加する人が自分で加入をすることになります。
保険商品によっては数名のグループや家族での加入も可能で、20名以下の少人数であれば全員まとめて加入することができる場合もあります。
ただし、対象となるイベント・行事が限られる(山登りなどのレジャーや、ゴルフ、スキーなどのスポーツ)ことや、保険料がレクリエーション保険と比べて割高になってしまう点がデメリット。
とはいえ、20名以下の少人数で加入できるレクリエーション保険がほとんどない中、1日あたり数百円で契約できる保険があるというのは助かるところです。
レジャー保険には様々ありますが、最近ではコンビニから簡単に加入できる「1DAYレジャー保険」といった保険商品もあるため、気軽に加入を検討することができます。
20名以下の少人数でイベントを行う際には、レクリエーション保険の代用としてぜひチェックしてみて下さい。
まとめ:行事・イベントの参加は保険加入で安全に
今回は、20名以下の少人数でレクリエーション保険に加入することはできるのかという点に注目して解説してきました。
現在販売されているレクリエーション保険では、20名以下の少人数で加入できると言い切れる保険商品はありません。
また、20名以下の少人数での加入の可否は保険代理店や保険会社によって対応が変わることがあるため、まずは問い合わせをする必要があります。
わざわざ問い合わせをしたくないという方は、レクリエーション保険の代用としてイベント保険やレジャー保険を活用できるため、20名以下の少人数で行事を行う際にはぜひ検討してみて下さい。
監修者のコメント
20名以下の小人数で行事を行う場合の保険として、人数制限によりレクリエーション保険に加入できない場合は、国内旅行傷害保険での契約も検討してみてください。レクリエーション保険には劣りますが、保険料は比較的割安になっています。(検討の際は保険会社や代理店に事前に相談をしてください。)

当記事の監修者:遠山直孝
- 保険コンプライアンス・オフィサー2級
- ファイナンシャルプランナー(AFP)
- 損保大学(法律・税務)※
国立大学卒業後、大手保険会社に27年勤務し、現在は損害保険代理店に所属。営業、企画部門での多彩な経験から、法律・税務を踏まえた実用的な保険の活用に精通しており、日々情報を発信しています。
※損保大学とは、損害保険の募集に関する知識・業務を向上させるために日本損害保険協会が立ち上げた制度。当監修者は「法律・税務」などの知識を深める専門コースを修めています。