遠足や運動会、避難訓練やマラソン大会など、学校では年間を通して様々な行事が開催されますよね。
特に運動をするような行事では、参加している生徒のケガが心配という先生も多いでしょう。
こういった学校行事でのケガのリスクに備えるには、レクリエーション保険がおすすめです。団体向けの傷害保険で、割安な保険料で最低限の補償を手軽に用意することができます。
この記事では、学校行事を開催する際に便利に使えるレクリエーション保険について解説。また、契約する際の注意点や、学校行事におすすめの特約についても紹介します。
学校行事を開催する場合もレクリエーション保険に加入できる
レクリエーション保険は、団体でレクリエーション活動やスポーツ、レジャーなどを行う際にケガの補償を得ることができる傷害保険です。
大学生や社会人のサークルや地域の自治体、会社など様々な団体が加入することができ、もちろん学校も加入することが可能。
ただし、保険会社が定める加入最低人数を上回っていることが加入の条件になります。多くの場合、最低人数は20名からとなっているので、学校行事で生徒全員が参加する場合などはたいてい加入することができるかと思います。
契約時には、主催者が参加者全員をまとめて加入するため、契約手続きが一度で済みます。学校の場合は先生が生徒全員分をまとめて加入手続きをすることになりますが、何十人といる生徒にいちいち個別で手続きの案内をする必要がないため、手間を大きく減らすことができるでしょう。
補償内容の概要
レクリエーション保険の補償内容は、主に行事中に負うケガに関するものです。
行事やレクリエーション活動中のケガが原因で万が一死亡・後遺障害が残った場合や通院・入院・手術による治療が必要になった場合に保険金が支払われます。
なお、補償の対象となるのは「行事を開催するために所定の場所に集合し、解散するまで」の間です。自宅から集合・解散場所への往路で発生したケガは対象になりません。
補償の対象となるケガは、「偶然かつ急激に発生した外来的要因によるケガ」とされており、転倒や衝突、高いところからの落下、移動中の交通事故などによる故意ではないケガが補償の対象となります。
しかし、むちうちやしもやけ、腰痛など、発生原因を裏付けるに足りる医学的所見がない症状などは、補償の対象外となる点に注意が必要です。
遠足・運動会・避難訓練などはレクリエーション保険の補償対象
レクリエーション保険の補償対象となる活動は多岐に渡り、野球やサッカーなどの一般的なスポーツから、キャンプ(日帰り)やハイキング、お祭りのみこし担ぎからお花見まで様々です。
スカイダイビングやロッククライミングなど危険なレジャーは契約の対象外となっていますが、日常的に行われるものであればほとんどの行事やイベントが補償対象となります。
学校行事としてよく行われる遠足や運動会、避難訓練、マラソン大会などの種目もレクリエーション保険の対象となります。
ただし、校外学習や林間学校など、宿泊を伴う行事はレクリエーション保険の対象になりません。日帰りの行事のみが対象となることを覚えておいて下さい。
年間単位でも契約することができる
レクリエーション保険の便利なところは、年間単位で契約することができる点です。
レクリエーション保険の契約時には、行事1回ごとに契約する「個別契約方式」と、年間で開催する行事を全てまとめて加入する「年間包括契約方式」を選ぶことができます。
学校行事のように、例年開催する行事が決まっており年間の見通しが立っている場合には、加入の手間が少なくすむ年間包括契約方式がおすすめです。
なお、レクリエーション保険の保険料は、行事の内容・開催日程・参加者の人数を元に算出され、事前に支払う形です。
年間包括契約の場合、参加者の人数については例年の参加者人数を申告し、それをもとに概算で保険料が算出されます。
行事を開催したあと、事前に申告した参加者人数と実際に参加した人数に差があった場合には、その差分の保険料支払いが発生します。
注意!行事内容によっては契約対象外のことも
レクリエーション保険に加入する際には、いくつか注意点があります。
特に、学校が契約する際に気をつけておくべき点があるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
学校行事の内容によっては契約対象外になる
学校で開催される行事やレクレーション活動のうち、内容によってはレクリエーション保険の対象にならないものがあります。
具体的には、下記の内容に該当するケースです。
- 専修学校、各種学校、または職業訓練校の講義、実験、演習、実技等として行われる行事
授業の一環として行われ成績の対象になるものなどは、レクリエーション保険に加入することができません。
もし開催する行事がレクリエーション保険の対象になるか判断がつかない場合には、レクリエーション保険を取り扱う保険会社または保険代理店に問い合わせをしてみて下さい。
宿泊を伴う行事・イベントはレクリエーション保険の契約対象外
全ての保険会社に共通する条件として、レクリエーション保険は宿泊を伴う行事・イベントは契約の対象外になります。
そのため、宿泊をはさむ校外学習や林間学校を行う場合には、レクリエーション保険を利用することはできません。
なお、2日以上の期間に渡って開催される行事の場合、各日が日帰りであれば問題なくレクリエーション保険に加入することが可能です。
学校行事を行う際に検討した方が良い特約
レクリエーション保険は、参加者のケガに備えることができる傷害保険です。
基本補償はケガに関する最低限の内容ですが、特約を付帯させることで補償を充実させることが可能です。
ここでは、付帯させた方が良いおすすめの特約を紹介します。
熱中症危険補償特約
熱中症危険特約は、行事の参加者が熱中症で倒れた場合も補償が適用される特約です。
近年では初夏~秋の気温が非常に高くなることも多く、5月・10月の運動会では生徒の熱中症のリスクが高まっています。
通常、一般的な傷害保険では熱中症は補償の対象とならないことが多いですが、レクリエーション保険の場合は特約を付帯させることでカバーすることができます。
学校行事は暑い時期に屋外で行うものも多いかと思いますので、付帯を検討することをおすすめします。
損害賠償責任保険
損害賠償責任保険は、レクリエーション保険の特約ではありませんが、あわせて加入を検討しておきたい保険です。
損害賠償責任保険は、行事の主催者や参加者が第三者の身体・所持品に損害を与えてしまった際、法律上問われる損害賠償責任を補償するものです。
美術館や博物館を訪れたり、校外での自由行動を設けたりしている学校行事では、生徒が誤って展示物やお店のものを壊してしまうリスクや、人にぶつかってケガをさせてしまうリスクも十分に考えられます。
そういった万が一のケースに備えて、賠償責任保険も合わせて加入しておくと安心です。
まとめ:遠足や運動会などはレクリエーション保険で対策しよう
今回は、学校行事の際に生徒のリスク対策として活用できるレクリエーション保険について解説しました。
レクリエーション保険は年間包括契約もできるため、学校のように一年を通しての行事予定がたっている場合にはぴったりの保険です。学校が代表者となって生徒全員をまとめて加入できるため、手続きの手間もぐっと減るでしょう。
また、学校外で生徒に自由行動があるような行事では、レクリエーション保険に合わせて損害賠償責任保険にも加入しておくことがおすすめ。
ケガのリスクだけでなく、第三者に迷惑をかけてしまうリスクも考えておくと安心です。
レクリエーション保険の加入には多めに見積もって1~2週間ほどが必要なので、学校行事を開催する前に余裕を持って検討してみて下さい。
監修者のコメント
自宅と集合・解散場所の往復途上のケガは「往復途上傷害危険補償特約(保険会社にによって名称が違います)」を付帯することによって補償することができます。
往復途上傷害危険補償特約を付帯するには、「住居を出発する前に、被保険者名が名簿により確定していること」など一定の要件がありますが追加保険料は不要です。
詳細は保険会社もしくは取扱代理店に確認してみてください。
当記事の監修者:遠山直孝
- 保険コンプライアンス・オフィサー2級
- ファイナンシャルプランナー(AFP)
- 損保大学(法律・税務)※
国立大学卒業後、大手保険会社に27年勤務し、現在は損害保険代理店に所属。営業、企画部門での多彩な経験から、法律・税務を踏まえた実用的な保険の活用に精通しており、日々情報を発信しています。
※損保大学とは、損害保険の募集に関する知識・業務を向上させるために日本損害保険協会が立ち上げた制度。当監修者は「法律・税務」などの知識を深める専門コースを修めています。