物損事故とは、ものが被害を受ける事故のことです。
例えば、行事・イベント用に設営したテントが倒壊して機材が壊れてしまったり、施設内の火事で展示品が焼けてしまったりした場合は、物損事故が発生したと言います。
では、物損事故のリスクを考えて保険に加入する場合、どのような保険を選べばいいのでしょうか。
本記事では、物損事故に備えてレクリエーション保険への加入を検討している方、物損事故のリスクに対応できる保険がどれか分からずに困っている方に向けて必要な情報をお届けます。
保険ごとの特徴や補償内容、おすすめの保険も見ていくので役立ててください。
そもそも物損事故とは
物損事故とは、その名のとおり、ものが被害を受ける事故のことを指します。
被害を被るのはあくまでもものだけで、人が被害を受けた場合は物損事故ではなく、人身事故として扱われます。
物損事故という言葉を聞くと、交通事故を連想する方が多いかもしれません。
しかし、「行事・イベント中に設営したテントが倒壊して備品が壊れた」「施設内で発生した火事の影響で展示物が消失した」といった場合も物損事故として扱われます。
レクリエーション保険とは
レクリエーション保険とは、社内で開催する運動会や地域でのお祭りなど比較的規模が小さな行事・イベントを対象にした保険です。
行事・イベント中に万が一事故が発生し、参加者や見学者が傷害を負った場合に保険会社の補償を受けることができます。
基本的な加入条件としては、
- 保険会社所定の行事・イベントであること
- 行事・イベントにおける1日あたりの参加者が20名以上いること
があります。
参加者の人数における条件は保険会社によって異なりますが、20名以上と設定されていることが多いです。
レクリエーション保険で物損事故を補償できる?
結論からいうと、基本的にはレクリエーション保険で物損を補償することは難しいです。
なぜなら、前述のとおりレクリエーション保険は参加者や見学者の傷害を補償する保険だからです。
ただし、同じレクリエーション保険でも、施設賠償責任保険の範囲をカバーしているものであれば行事・イベント中の物損に対応することができます。
ここでは、先にレクリエーション保険の基本となる補償内容について確認しましょう。後ほど物損事故に対応する保険について詳しく解説します。
レクリエーション保険の基本の補償内容
レクリエーション保険の補償対象は行事・イベントの参加者や見学者ですが、補償内容は死亡保険金、後遺障害保険金、入院保険金、手術保険金、通院保険金の5つです。
各保険金の内容について下表でまとめたので、確認してみましょう。
保険金の種類 | 内容 |
---|---|
死亡保険金 | 行事・イベントの参加者が事故などで亡くなった場合に支払われる保険金。 |
後遺障害保険金 | 行事・イベントの参加者が事故などのケガで後遺症が残った場合に支払われる保険金。死亡保険金の一部、もしくは全額が支払われる。 |
入院保険金 | 行事・イベントの参加者が事故などのケガで入院した場合に支払われる保険金。入院日数に応じて金額が決まることが多い。 |
手術保険金 | 行事・イベントの参加者が事故などのケガで手術した場合に支払われる保険金。入院保険金日額の10倍に設定されていることが多い。 |
通院保険金 | 行事・イベントの参加者が事故などのケガで通院した場合に支払われる保険金。通院日数に応じて金額が決まることが多い。 |
物損事故に対応可能な保険
では、物損事故に対する補償が得られる保険にはどのような物があるのでしょうか。
ここでは、イベント保険、施設賠償責任保険、動産総合保険について解説します。
イベント保険
イベント保険とは、行事・イベントの開催に関するさまざまなリスクを補償する保険を指します。
行事・イベント前に加入することで保険期間中に発生した事故による参加者のケガ、機材などの破損・紛失による損害に対する補償を得られます。
なお、イベント保険は行事・イベントに関するリスクに対応した保険の総称を指す言葉です。
例えば、下表のような保険がイベント保険と呼ばれます。
傷害保険 | 行事・イベント中にケガ・死亡事故が生じた場合に補償を受けられる |
---|---|
施設賠償責任保険 | 主催者側の不備が原因の物損・人損に対して補償を受けられる |
動産総合保険 | 行事・イベントに使用する展示品・機器が破損した場合に補償を受けられる |
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険とは行事・イベントで使用するために設営したテントの倒壊などによって生じた、物損や人損を補償する保険です。
万が一、物損事故が起きてしまった場合、施設賠償責任保険に加入していると次のような補償を受けられます。
損害賠償金 | 第三者をケガ・死亡させたり、ものを壊したりした際の損害を補償するためのお金。 |
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緊急措置費用 | 行事・イベント中に発生した事故の緊急的な措置で必要になるお金。 |
争訟費用 | 示談交渉、裁判で必要になるお金。 |
損害防止軽減費用 | 損害の拡大を防いだり、軽減したりする際に必要なお金。 |
協力費用 | 保険会社と第三者が交渉するために必要なお金。 |
動産総合保険
動産総合保険とは、不動産を除く現金、商品、道具などの財産である動産を紛失した場合、それらが破損した場合における物損の費用を保険会社が補償してくれる保険です。
万が一、物損事故が起きてしまった場合に、動産総合保険に加入していると次のような補償を受けられます。
損害保険金 | 損害賠償請求権者に支払う修理費用などをまかなうためのお金 |
---|---|
損害防止費用 | 損害の拡大防止、被害軽減のためにかかった費用を補償する |
権利保全行使費用 | 事故の賠償責任を第三者に請求できる場合、その権利の保全もしくは行使のために必要な費用を補償する |
臨時費用保険金 | 損害賠償に伴う諸費用(移動費など)がかかった場合に、損害保険金とは別に支払われる保険金 |
残存物取片付け費用保険金 | 破損した展示品、機材の片付け・処分にかかった費用をまかなうための保険金 |
物損も補償する東京海上日動のレクリエーション保険「レクリェーション災害補償プラン」を紹介
先に物損事故のリスクに対応したレクリエーション保険があると説明しましたが、具体的な例として東京海上日動が販売している「レクリェーション災害補償プラン」を紹介します。
このレクリエーション保険では参加者・見学者の傷害を補償する傷害保険だけでなく、賠償責任保険への加入が可能です。
加入できる行事・イベントの種類としては次のようなものがあります。
加入できる行事・イベント例
- バドミントン大会
- テニス大会
- ハイキング
- ヨガ
- 日帰りの遠足
- 軟式野球大会
- ジョギング
- サッカー大会 など
なお、東京海上日動の「レクリェーション災害補償プラン」における賠償責任保険のプランは、次の2種類です。
2種類のプラン
- プラン1:主催者が追う賠償責任だけを対象にする
- プラン2:主催者・参加者が追う賠償責任を対象にする
各プランごとの支払限度額・免責金額、保険料(1名1日あたり)を下表にまとめたので加入を検討する材料として役立ててください。
プランの種類 | プラン1 | プラン2 |
---|---|---|
支払限度額 | 1億円 | 1億円 |
免責金額(自己負担額) | なし | なし |
保険料(1名1日あたり) | 10円 | 50円 |
まとめ
ものが被害を受ける物損事故のリスクに対応するためには、一般的なレクリエーション保険に加入しても意味がありません。
施設賠償責任保険の範囲をカバーしているものをしっかり見極めて加入する必要があります。
もしくは、レクリエーション保険ではなく、物損事故に対する補償が充実しているイベント保険への加入を検討した方がいいでしょう。
今回紹介した内容を参考に、自分たちの行事・イベントに最適な保険を探してみてください。