レクリエーション保険は団体向けの傷害保険。子ども会や社内行事、社会人サークルでイベントを開催する際に、参加者のケガに備えることができます。
そんな便利なレクリエーション保険ですが、多くの保険会社では加入時の最低人数が20人とされている点がネック。10人程度の小グループでイベントを開催する方は、加入できるレクリエーション保険が無く、困ってしまいますよね。
しかし、レクリエーション保険の中には最低加入人数が10人からという商品があるのをご存知でしょうか。
この記事では、10人の小グループでも加入できるレクリエーション保険をご紹介。また、加入時にあわせてチェックしたい注意点も解説していきます。
10人でも加入できるレクリエーション保険は「JA共済」がおすすめ
現在販売されているレクリエーション保険の多くは、加入できる最低人数を20名以上としていることが多いです。
そのため、10人程度の少人数でレクリエーション保険に加入したいという方は、利用できるレクリエーション保険がなかなか見つからず困ってしまうことも多いでしょう。
そんな方におすすめなのが、JA共済(農協)で取り扱っている「イベント共済」です。
共済という扱いにはなるものの、補償内容などは保険会社が販売しているレクリエーション保険と遜色なく、掛け金(保険料)も安く済みます。また、加入できる最低人数も10人からと、少人数の団体にはぴったりです。
では、JA共済の「イベント共済」について補償内容を見ていきましょう。
JA共済の「イベント共済」補償内容
JA共済の「イベント共済」は、JA共済の組合員でない方も利用できる共済です。
補償内容は、イベント中のケガなどに備える「イベント傷害共済」と、イベントの運営・管理・活動にともなう損害賠償責任に備える「イベント賠償責任共済」の2つ。それぞれ単独で加入することも、セットで両方加入することもできます。
イベント傷害共済
イベント傷害共済の補償内容は、下記のとおりです。
死亡共済金 | 参加者がケガにより死亡した場合に支払われる |
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後遺障害共済金 | ケガにより参加者に所定の後遺障害が発生した場合に支払われる |
重度後遺障害費用共済金 | ケガにより参加者に所定の重度後遺障害が発生した場合に支払われる |
部位・症状別治療共済金 | ケガにより参加者が入院・通院による治療が必要になった場合に支払われる |
支払われる共済金は、イベント共済に契約する際に所定の条件のもと契約者が自由に設定することができます。
ただし、共済金が高くなると、掛け金もその分高くなってしまう点に注意が必要です。
イベント賠償責任共済
イベント賠償責任共済の補償内容は、下記のとおりです。
- 賠償責任共済金
- 折衝または示談について支出した費用
- 争訟費用等
- 判決による遅延損害金
- 臨時費用
イベント賠償責任共済の共済金額も、契約者が自由に設定することができます。
イベント賠償責任共済をイベント傷害共済とセットで契約する場合には、開催日1日あたりの平均参加者が10人以上必要です。
加入時には名簿の提出が必要
JA共済のイベント共済に加入する際には、契約申込書類にあわせて参加者の名簿を含む行事計画表の提出が必要です。
保険会社が取り扱うレクリエーション保険の場合、加入時にはこういった名簿は必要なく、行事開催日までに用意しておけば十分ですが、イベント共済は加入する時点で用意しなければいけません。
10人程度の団体であれば名簿の用意はそこまで難しくないかと思いますが、忘れずに用意しましょう。
その他のレクリエーション保険には加入できない?
ここまでJA共済のイベント共済について紹介してきましたが、では10人の少人数グループでは他のレクリエーション保険には全く入れないのでしょうか。
実は、10名でも加入できるレクリエーション保険は他にも存在します。
それは、AIG損保が取り扱うレクリエーション保険です。
AIG損保のレクリエーション保険は10名から加入可能
外資系の損害保険会社として知られるAIG損害保険会社(旧AIU損害保険会社)では、レクリエーション保険を取り扱っています。
契約対象は「10名以上の団体」となっており、農協のイベント共済と同じく最小10名から加入可能です。
補償内容もケガに対する補償のほか、熱中症危険補償特約や細菌性食中毒補償特約も付帯させることができ、幅広いリスクに備えることができます
AIG損保もあわせて確認してみてください。
10人に満たない場合、加入できるレクリエーション保険は無い
もし団体の人数が10名未満の場合、加入できるレクリエーション保険はありません。
そのため、もし10名以下の団体がケガに対する保険を用意したい場合には、レクリエーション保険とよく似た「国内旅行傷害保険」がおすすめです。
国内旅行傷害保険であれば、1人からでも加入可能です。また、ケガの補償だけでなく携行品の損害に対する補償や、他者に対する損害賠償責任保険なども付帯されています。
レクリエーション保険の対象にならないような少人数の団体は、国内旅行傷害保険を検討してみてください。
10人などの少人数で加入する際に気をつけるべきポイント
ここでは、10人などの少人数でレクリエーション保険に加入する際に気をつけるべきポイントを解説します。
損害賠償責任保険の加入も検討する
レクリエーション保険に加入した場合、ほとんどの保険会社では「傷害保険」のみの補償が付帯されています。そのため、参加者・主催者が第三者にケガをさせてしまった、所持品を壊してしまった等の場合には備えることができません。
こういった事態に備えるには、イベント用の損害賠償責任保険に加入する必要があります。
たとえ10人程度の小規模なイベントでも、当日に何が起こるかわかりません。万が一のことを考えて、できる限りの備えをしておくと安心です。
保険会社によっては、レクリエーション保険の中に損害賠償責任保険もセットにしている場合もあるため、あわせて加入を検討してみることをおすすめします。
今回10人から入れるレクリエーション保険として紹介したJAの「イベント共済」でも、損害賠償責任に備えるプランが用意されています。
金銭負担を抑えて契約することができますので、万が一のケースに備えるためにもぜひ加入時に検討してみて下さい。
開催日が順延した場合には必ず保険会社に連絡をする
悪天候などの理由で、イベント・行事の開催日を順延することもあるでしょう。レクリエーション保険では、イベント開催日を順延する場合には保険期間もそれにあわせて自動的に変更してもらえます。
しかし、自動的に保険期間が変更されると言っても、なんの連絡もせずに勝手に変わるというわけではない点に注意して下さい。
イベント・行事が順延されたことを保険会社が把握していなければ、順延の手続きはとってもらえません。順延する場合には必ず保険会社もしくは保険代理店に連絡をしましょう。
10人程度の小規模グループだと、どうしても友人たちとの気軽な集まりといった雰囲気になり、仲間内で順延の連絡をして終わりというケースもよくあります。
主催者の方はレクリエーション保険に加入していることを忘れずに、きちんと順延の対応をするようにして下さい。
まとめ
今回は、10人の少人数でも加入できるレクリエーション保険として、JA(農協)のイベント共済をご紹介しました。
もし10名に満たない人数の場合、レクリエーション保険には加入することができません。その場合には、代替案として国内旅行傷害保険を検討してみてください。
また、もしレクリエーション保険に加入した場合には、あわせて損害賠償責任保険の加入や、順延した場合の連絡対応など気をつけるべきポイントがあります。
こちらも主催者の方が忘れずにチェックするようにしてくださいね。
監修者のコメント
JAのイベント共済は10名など少人数でも加入できるところにメリットがあります。一方、イベント共済を扱していないJAがあったり、JAの組合員のみに提供している場合がありますので、詳しくはお近くのJAに確認してみてください。
当記事の監修者:遠山直孝
- 保険コンプライアンス・オフィサー2級
- ファイナンシャルプランナー(AFP)
- 損保大学(法律・税務)※
国立大学卒業後、大手保険会社に27年勤務し、現在は損害保険代理店に所属。営業、企画部門での多彩な経験から、法律・税務を踏まえた実用的な保険の活用に精通しており、日々情報を発信しています。
※損保大学とは、損害保険の募集に関する知識・業務を向上させるために日本損害保険協会が立ち上げた制度。当監修者は「法律・税務」などの知識を深める専門コースを修めています。