マルシェは地方の特産品などが集まり、消費者と生産者が直接交流できる魅力的なイベントです。
地域の活性化にもつながるため有効活用したい行事ですが、一方で万が一の事故が起こるリスクも想定しなければなりません。
飲食物の提供による食中毒やテントの倒壊による参加者への損害賠償、悪天候による中止など、想定されるリスクへの対策を考える必要があります。
本記事では、マルシェの開催で想定されるリスクの内容や対策としておすすめの「イベント保険」の特徴、イベント保険選びのポイントなどを解説していきます。
マルシェの開催を予定している方は、ぜひ本記事を参考に有効なリスク対策を行いましょう。
マルシェの開催で想定されるリスク
マルシェとは、フランス語で「市場」「マーケット」という意味を持つ言葉で、日本では地域の特産品などが集まるイベントのことを指します。
特産品の認知度向上や消費者・生産者の直接の交流などのメリットがあり、注目を集めているイベントです。
しかし、マルシェの開催にあたってはさまざまなリスクを想定しなければなりません。
マルシェの開催で想定されるリスクとして以下のようなものが挙げられます。
- 飲食物の提供によって食中毒が発生する
- 設営していたテントが倒れて参加者がケガをする
- 悪天候などの理由によってイベント自体が中止となる
食中毒が発生したり、参加者がケガをしたりした場合、主催者側が損害賠償責任を負う可能性があります。
また、悪天候によってイベントが中止になると、準備してきた費用などが大きな損失となってしまいます。
マルシェイベントを開催する際には、上記のようなリスクがあることを踏まえてリスク対策を検討しておかなければなりません。
損害賠償や中止に備えられるイベント保険がおすすめ
マルシェで想定されるリスクについて解説してきましたが、リスクへの対策法を検討中の方はイベント保険の活用がおすすめです。
イベント保険とは、イベント開催時に事故が起きた場合に補償が受けられる保険商品のことです。
イベントの主催者が保険を契約しておくことで、参加者をまとめて補償できる仕組みとなっています。
ここでは、イベント保険の一般的な加入条件や補償内容についてご紹介します。
一般的な加入条件
イベント保険は、不特定多数の参加者がいる大規模なイベントを対象としている保険です。
そのため事前に参加者の名簿等を作成する必要がなく、不特定多数の人が参加するマルシェイベントにも適しています。
参加者の最低人数なども設けられておらず、小規模なイベントでも加入できる点が特徴です。
ただし、保険会社によっては参加人数の上限が設定されている場合もあるため、事前に保険会社に確認しておくことをおすすめします。
また、イベント保険はスキューバダイビングなどの危険度が高いスポーツ・レジャーを除き、ほとんどのイベントが補償の対象となります。
もちろんマルシェイベントも補償対象に含まれているため、マルシェを開催予定の方も安心して利用可能です。
一般的な補償内容
イベント保険は、複数の保険が組み合わさって構成されており、どの保険が含まれるかによって補償内容も異なります。
イベント保険に含まれる補償内容を把握し、どのようなリスクに備えられるか確認しておきましょう。
一般的なイベント保険の補償内容は以下の表の通りです。
| 傷害保険 | 参加者がイベント中の事故が原因でケガをした場合に保険金が支払われる。死亡や後遺障害、入院、手術などの状況に応じて給付内容が異なる。 |
|---|---|
| 動産総合保険 | 展示品や機材などの動産の紛失や破損に伴う損害の補償が受けられる。損害費用をカバーするだけでなく、損害の発生や拡大を防止するための費用も補償される。 |
| 施設賠償責任保険 | 施設管理の不備によって参加者に傷害・損害を与えた場合の補償が受けられる。損害賠償請求権者に対する治療費や慰謝料、訴訟費用や弁護士報酬などが補償される。 |
| 興行中止保険 | イベントが中止または延期となった場合の損害の補償が受けられる。イベントの準備にかかった費用や延期・中止に伴って追加で発生した費用が補償される。 |
イベントの参加者にケガを負わせてしまった場合の損害賠償責任だけでなく、動産の被害やイベントの中止・延期に伴う損害なども幅広く補償できます。
上記の補償内容を踏まえ、開催予定のマルシェイベントで想定されるリスクをしっかりとカバーしましょう。
マルシェを開催する場合のイベント保険選びのポイント
イベント保険にはさまざまな種類があり、補償内容や保険料にも違いがあります。
開催予定のマルシェの内容や規模、保険料の予算に合わせて適切なイベント保険を選択しなければなりません。
マルシェで想定されるリスクをカバーするためのイベント保険を選ぶ場合、以下の3つのポイントに注目して商品を選びましょう。
- 保険会社ごとの補償内容を比較する
- 特約の種類をチェックする
- 保険料の見積りを比較する
上記の3点を押さえ、開催予定のマルシェイベントで想定されるリスクをカバーしておきましょう。
保険会社ごとの補償内容を比較する
前述の通り、イベント保険は「傷害保険」「動産総合保険」「施設賠償責任保険」「興行中止保険」から構成されています。
保険会社によって取り扱っている保険の種類が異なり、補償内容にも違いがあるため比較しておきましょう。
例えば、三井住友海上では上記のうち「動産総合保険」「施設賠償責任保険」「興行中止保険」が提供されています。
一方、あいおいニッセイ同和損保では「施設賠償責任保険」「興行中止保険」を取り扱っています。
このように、保険会社によって取り扱うイベント保険の種類は異なっており、場合によっては想定しているリスクをカバーできない可能性も考えなければなりません。
各保険会社で提供しているイベント保険の補償内容を比較し、開催予定のマルシェにもっとも適した商品を選択しましょう。
特約の種類をチェックする
イベント保険では、基本補償に加えてオプションで特約による補償を追加することもできます。
マルシェで想定されるリスクが基本補償でカバーしきれない場合は、特約の内容もチェックして契約を検討しましょう。
イベント保険に付加できる特約には以下のようなものがあります。
| 飲食物危険補償特約 | 提供する飲食物に起因して食中毒などが発生した場合に補償を受けられる特約。 |
|---|---|
| 訴訟費用補償特約 | イベント中の事故から訴訟に発展した場合に、医師による意見書作成を依頼したり、相手方・裁判所に提出する文書を作成したりする際の費用が補償される特約。 |
| 初期対応費用補償特約 | イベント中に発生した事故の初期対応として現場の片付けや清掃、事故状況の調査などにかかった費用が補償される特約。 |
特に、飲食物の提供があるマルシェを開催する場合、参加者の食中毒のリスクには十分な対策を取る必要があります。
飲食物危険補償特約を契約できるイベント保険を選び、補償を備えておくことが大切です。
マルシェで想定されるリスクをイメージした上で、きちんとカバーできる基本補償・特約が用意されているイベント保険を選びましょう。
保険料の見積りを比較する
イベント保険は、イベントの規模や内容によって保険料が大きく異なります。
また、同じイベントであっても保険会社によって保険料に差が生じるため、各保険会社に見積りを出してもらって比較検討することが大切です。
イベント保険は、不特定多数が参加する規模が大きな行事を補償対象としており、その分保険料も数万円〜数十万円と高額になります。
支払う保険料の負担が大きくなりやすいため、複数の保険会社の見積りを取ってできるだけ負担を抑えられる保険会社を選ぶことが大切です。
なお、契約手続きはイベント開催の1週間前までに済ませておくことが好ましく、見積りを比較することも考えると1ヶ月前くらいには問い合わせておくと安心です。
マルシェの開催が決定したら、なるべく早めに各保険会社にイベント保険の見積りなどを問い合わせましょう。
記事まとめ
マルシェでは、イベント参加者の食中毒やケガによる損害賠償責任、悪天候による中止のリスクなどが想定されます。
こうしたリスクをカバーするためにも、幅広い補償が得られるイベント保険の活用がおすすめです。
イベント保険では、参加者のケガに対する補償や展示品・機材の損害補償、中止・延期に伴う費用の補償などをカバーできます。
商品によって含まれる保険の種類や具体的な補償内容に違いがあるため、よく比較して最適な商品を選ぶことが大切です。
また、特約の種類や保険料なども比較し、リスクをしっかりとカバーしつつ負担を抑えられる商品を選ぶ必要があります。
手続きに時間がかかる可能性を考慮し、マルシェの開催が決定したら早めに各保険会社に問い合わせをしておきましょう。
