不特定多数の人が参加し、大きな賑わいとなる「祭り」は地域の活性化につながる反面、さまざまなリスクを抱えていることを頭に入れておく必要があります。
参加者のケガや悪天候による中止など、あらゆるリスクを想定した上で対策を練っていかなければなりません。
そんな祭りのリスク対策法として有効なのが「イベント保険」の活用です。
本記事では、祭りで想定されるリスクの内容やイベント保険の補償内容、おすすめの保険商品、保険選びのポイントなどをご紹介します。
祭りを開催予定の主催者の方は、ぜひ本記事を参考に想定されるリスクの対策を充実させましょう。
お祭りもイベント保険の補償対象
一口に「祭り」と言っても、桜祭りや雪まつり、よさこい祭りなどさまざまな種類があります。
イベント保険では、そうしたさまざまな種類の祭りが補償の対象となっているため、祭りを開催する場合におすすめの保険商品です。
祭りを開催する場合、主に以下のようなリスクが想定されます。
- 提供した飲食物が原因で食中毒が発生する
- 集まった参加者が衝突・転倒などでケガをする
- テントが倒れて参加者が下敷きになってケガをする
- 台風などによって祭りが中止となる
上記のようなリスクに備えるためにも、祭りのリスクを補償できるイベント保険で対策しておきましょう。
中止や損害賠償のリスクヘッジに!イベント保険の補償内容
イベント保険は、イベントにおけるリスクをカバーできるさまざまな保険商品を総称したものであり、「イベント保険」という商品があるわけではありません。
どの保険が含まれているかによって補償内容も変わってくるため、補償内容を把握した上でどういったリスクに備えられるか確認しておきましょう。
一般的なイベント保険の補償内容は以下の表の通りです。
傷害保険 | イベント中に発生した事故によって参加者がケガをした場合に保険金が支払われる。 |
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動産総合保険 | 展示品や機材などの動産が紛失・破損による損害を生じたときに補償が受けられる。 |
施設賠償責任保険 | 施設管理の不備によって参加者に損害・障害を与えた場合に補償が受けられる。 |
興行中止保険 | イベントが中止・延期となったときに、準備にかかった費用や中止・延期に伴って追加で発生した費用が補償される。 |
祭りで想定されるさまざまなリスクをカバーできる点がイベント保険の大きな特徴です。
上記の補償内容を踏まえた上で、開催する祭りで想定されるリスクをしっかりとカバーしましょう。
祭りに最適なイベント保険3選
祭りを開催する場合におすすめのイベント保険として以下の3つが挙げられます。
- あいおいニッセイ同和損保「タフビズ賠償総合保険」
- 東京海上日動「興行中止保険」
- 三井住友海上「動産総合保険」
それぞれの商品の特徴について解説していきます。
あいおいニッセイ同和損保「タフビズ賠償総合保険」
あいおいニッセイ同和損保の「タフビズ賠償総合保険」は、事業の際に発生する賠償責任を総合的に補償するイベント保険です。
法人が事業活動をしていく上で賠償責任を負ったときの補償が基本的な内容となっています。
「ワイドプラン」「ベーシックプラン」の2つの引受プランが用意されており、ニーズに合った補償を選択できる点が大きな特徴です。
先ほどご紹介した「施設賠償責任保険」の補償内容はいずれのプランにも含まれており、施設管理に不備があったときのリスクにも備えられます。
各プランの補償内容を比較し、開催予定の祭りに合ったプランを選択しましょう。
法人の事業として祭りを開催する予定の場合は、あいおいニッセイ同和損保の「タフビズ賠償総合保険」の活用をおすすめします。
東京海上日動「興行中止保険」
東京海上日動の「興行中止保険」は、悪天候や交通機関の事故などの理由によって中止・延期となった場合の損害を補償するイベント保険です。
コンサートやスポーツ大会、花火大会などが補償対象となっており、祭りも対象イベントに含まれています。
イベント開催に向けた準備にかかった費用や中止・延期に伴って追加で支出した費用などが補償されるため、万が一の中止にもしっかりと備えられます。
オーダーメイド型の商品となっており、ニーズに合わせた商品設計が可能な点も大きな特徴です。
イベントが中止・延期となるリスクに備えたい場合は、東京海上日動の「興行中止保険」の活用をおすすめします。
なお、「興行中止保険」はイベント開催予定日の14日前までに契約する必要があり、一部のイベントは30日前までに打ち合わせを始める必要があるため、早めに問い合わせておきましょう。
三井住友海上「動産総合保険」
三井住友海上の「動産総合保険」は、動産の損害を補償する保険商品です。
使用中だけでなく、保管中や運送中、展示中の偶然な事故による損害が補償され、幅広いリスクに備えられる点が特徴となっています。
「動産総合保険」では以下の保険金が支払われます。
- 損害保険金
- 臨時費用保険金
- 残存物取片づけ費用保険金
- 修理付帯費用保険金
- 損害防止費用
- 権利保全行使費用
動産の損害を補償するだけでなく、臨時でかかった費用や事故現場の片付けなどにかかった費用、損害の発生・拡大を防止するための費用などが補償されます。
展示品や機材などを用いる祭りを開催する場合は、三井住友海上の「動産総合保険」の活用をおすすめします。
保険選びのポイント
各保険会社がさまざまなイベント保険を提供しているため、具体的な商品選びの際はポイントを押さえておくことが大切です。
開催予定の祭りの内容に合わせ、最適なイベント保険を選びましょう。
ここでは、イベント保険選びのポイントを3点紹介していきます。
補償内容を比較する
前述した通り、イベント保険は「傷害保険」「動産総合保険」「施設賠償責任保険」「興行中止保険」などの保険商品から構成されています。
保険会社が提供している保険商品の種類や補償内容を比較し、開催予定の祭りの内容に合わせた商品を選択しましょう。
例えば神輿や山車などを用いる祭りの場合、転倒などによって参加者がケガをするリスクが高くなってしまいます。
イベント保険の中でも団体向けの傷害保険を活用し、ケガのリスクに備えておく必要があります。
ほかにも祭りの内容によってカバーすべきリスクが異なるため、適切な補償内容を見極めることが大切です。
各保険会社が提供しているイベント保険の補償内容を比較し、最適な商品を選択しましょう。
特約の内容を確かめる
イベント保険には、基本補償に加えてオプションとして特約による補償を上乗せすることができます。
基本補償だけで祭りのリスクがカバーしきれない場合は、特約で補償を追加できないかチェックしておきましょう。
イベント保険に付加できる特約の種類として以下のようなものがあります。
飲食物危険補償特約 | 提供した飲食物に起因して食中毒などが発生した場合に補償が受けられる。 |
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訴訟費用補償特約 | イベント中の事故から訴訟に発展した場合に、医師による意見書や相手方・裁判所に提出する文書を作成する際の費用などが補償される。 |
初期対応費用補償特約 | イベント中に発生した事故の初期対応として現場の片付けや清掃、状況調査などにかかった費用が補償される。 |
特に、飲食物を提供する祭りを開催する場合、食中毒のリスクに備える必要性が高いです。
飲食物危険補償特約を付加できるイベント保険を活用し、万が一のリスクに備えておくことが重要です。
開催予定の祭りで想定されるリスクをイメージし、カバーできる基本補償・特約を確認しておきましょう。
保険料の見積りを比較する
イベント保険は、イベントの規模や内容、カバーする補償によって保険料が変化します。
さらに保険会社によって保険料の算出方法が異なっているため、同じ補償内容を希望しても保険料の差が生じます。
各保険会社の保険料の見積りを取って、比較検討しましょう。
イベント保険の契約には1週間程度かかるケースも多く、見積りを依頼して比較することも踏まえると1ヶ月ほど前から問い合わせておくと安心です。
祭りの開催が決定したらなるべく早く問い合わせをし、イベント保険の見積りを比較しましょう。
小規模の祭りならレクリエーション保険も検討する
ここまでイベント保険の特徴を解説してきましたが、祭りの規模によってはレクリエーション保険の活用もおすすめです。
イベント保険に比べて手頃な保険料で契約できる可能性が高く、経済的な負担を抑えることができます。
レクリエーション保険は、行事の参加者がケガをするリスクに備える保険商品です。
主催者が参加者をまとめて補償できる点はイベント保険と共通していますが、対象としている行事の規模がイベント保険よりも小さいことが特徴となっています。
町内会の祭りなど、事前に参加者の人数が把握できる行事が対象の保険です。
また、レクリエーション保険の主な補償内容は参加者のケガの補償です。
イベント保険のように行事の中止や動産の損害などのリスクには備えられないため注意が必要です。
「祭りの規模が比較的小さい」「参加者のケガの補償だけで十分」というケースであれば、レクリエーション保険を検討すると良いでしょう。
記事まとめ
イベント保険は、行事におけるさまざまなリスクが補償される保険商品であり、ほとんどの祭りが補償対象となっています。
参加者のケガや祭りの中止・延期、展示品・機材の損害などのリスクに備えることができ、幅広いリスクをカバーできる点が特徴です。
イベント保険を選ぶ際には、補償内容や特約による補償、保険料などを比較して最適な商品を見つけることが重要です。
本記事でご紹介したポイントを踏まえ、最適なイベント保険を選択しましょう。