イベントや行事に参加する際は、自分の不注意で起こすケガだけでなく、交通事故など第三者が要因となって発生するケガも心配ですよね。
特にマラソン大会など、車の走っている公道を利用するような行事・イベントの場合には交通事故には気をつけておきたいところです。
レクリエーション保険では、行事参加中に発生した交通事故によるケガにも対応することができます。また、特約をつければ参加者の家から集合場所までの往復途上で発生した交通事故も補償の対象にすることが可能。
今回は、レクリエーション保険で交通事故によるケガ・死亡ケースに備える際の基礎知識を解説します。
レクリエーション保険で交通事故に備えたいとお考えの方はぜひチェックしてみてください。
レクリエーション保険は行事に参加中の交通事故も補償対象
レクリエーション保険は、日帰りで開催される行事・イベントの最中に発生した不慮の事故による死亡・ケガなどに備えるための傷害保険です。
たとえば転倒による骨折のようなケガから、交通事故による大きなケガにも備えることができます。
レクリエーション保険の補償対象となるイベント・行事は保険会社ごとに決まっており、危険度の高いイベント・行事ほど保険料が高めに設定されます。
サッカーや野球などのスポーツ大会や、スキー、ハイキングなどのレジャーのような、多くの方が一般的に行う運動・レクリエーションであれば契約することが可能。
ただし、スキューバダイビングや、船を利用した釣り、ジェットスキー、スカイダイビング、ロッククライミングなど、危険度の高い運動などは契約することができない可能性が大きいので、注意して下さい。
レクリエーション保険で支払われる保険金
レクリエーション保険では、イベントや行事中に発生した「急激かつ偶発的な外来の事故」による死亡・後遺障害、ケガの治療を目的とした通院・入院・手術に対して所定の保険金が支払われます。
急激かつ偶発的な外来の事故とは、たとえば下記のようなものが挙げられます。
- スキーの最中に転倒し、腕を骨折してしまった
- マラソン大会の途中で、交通事故によりケガをしてしまった
突発的に発生し、なおかつ被保険者が故意に引き起こした事故でないものが対象です。運動中に発生したケガや、交通事故などによるケガはほとんどが対象となるでしょう。
このような条件のもと被保険者がケガをした場合、レクリエーション保険では下記の種類の保険金が支払われます。
保険金の種類 | 内容 |
---|---|
死亡保険金 | 行事・イベント中の事故によって被保険者がケガをし、所定の期間内に被保険者が死亡した場合に支払われる |
後遺障害保険金 | 行事・イベント中の事故によって被保険者がケガをし、所定の期間内に被保険に後遺障害が発生した場合に支払われる |
入院保険金 | 行事・イベント中の事故によって被保険者がケガをし、所定の期間内にケガの治療のために入院した場合に支払われる(支払われる日数に上限が設けられている場合がほとんど) |
手術保険金 | 行事・イベント中の事故によって被保険者がケガをし、所定の期間内にケガの治療のために手術した場合に支払われる |
通院保険金 | 行事・イベント中の事故によって被保険者がケガをし、所定の期間内に怪我の治療のために通院した場合に支払われる(支払われる日数に上限が設けられている場合がほとんど) |
通院保険金や入院保険金は、一般的な傷害保険と同様に一日あたりいくらという形で支払われるため、入院・通院の日数に応じて保険金を受け取ることができます。
イベント・行事にでかける道中での交通事故も補償される
レクリエーション保険の補償期間は、基本的には「イベント・行事に参加するために集合場所に集まってから、解散場所で解散するまで」。
よって、行事・イベントの最中にみんなで移動している際の交通事故などは補償の対象です。
しかし、参加者個々が集合場所に行くまで、もしくは家に帰るまでに発生した交通事故などは、通常ではカバーすることができません。
そんなときには、「特約」を付加させることで集合場所・解散場所から参加者の自宅までの往復途上で発生したケガも補償の対象とすることが可能です。
ほとんどのレクリエーション保険で特約を付加することができるので、集合場所に行くまでに交通事故に遭ってしまった場合なども補償の対象とすることができますよ。
ただし、往復途上に発生したケガも保険金支払いの対象とするには、特約を付加した上で
- 被保険者が家を出発する前に、すでに参加者名が名簿等で確定しており、客観的に確認できる
- 行事開催日および場所が活動計画表により確定しており、客観的に確認できる
などの条件を満たす必要があります。
条件については保険会社によって詳細に定められているので、契約する際に保険会社や保険代理店に確認するようにして下さい。
集合場所に向かうまでに交通事故に遭ってしまう等のケースは意外と多いため、念入りに保険をかけておきたいという方は、特約の付加を検討してみてくださいね。
保険金が支払われないケース
レクリエーション保険では、行事・イベントの最中に発生したケガでも、保険金が支払われないケースがあります。
例を挙げると、下記のようなケースです。
- 被保険者の故意・重大な過失によるケガ
- 被保険者の闘争行為や自殺行為によるケガ
- 被保険者が運転資格を持っていない、または酒気を帯びた状態や、麻薬などで正常な運転ができない状態で自動車を運転した際のケガ
- 地震や噴火などにより発生した事故で負ったケガ
- 靴ずれやむちうち、車酔い、腰痛など、急激かつ偶発的な外来の事故を要因としていないケガや、医学的他覚所見のないケガ
他にも、レクリエーション保険で保険金の支払対象とならないケースはいくつかあるため、契約時にしっかり確認しておきましょう。
レクリエーション保険に契約する際の注意点
ここまで解説してきた通り、レクリエーション保険はイベント・行事中の不慮の事故や交通事故などによるケガに備えることのできる保険です。
そんな利便性の高いレクリエーション保険ですが、契約する際には2つ注意点があります。
- 契約できるのは「日帰りの行事」の場合
- 保険商品ごとの最低加入人数が決まっている
それぞれ細かく見ていきましょう。
契約できるのは「日帰りの行事」の場合
レクリエーション保険に契約できるのは、日帰りで行われる行事を開催する場合に限られます。
宿泊を伴う行事やイベントを開催する場合は、どんな行事・イベントでもあってもレクリエーション保険に加入することができないので、注意しましょう。
もし宿泊を伴うのであれば、国内旅行傷害保険でレクリエーション保険と同じようなケガに対する補償を得ることが可能です。
保険商品ごとの最低加入人数が決まっている
レクリエーション保険は、基本的には団体向けの保険です。そのため、加入する際には「最低加入人数」が決められていることがほとんどです。
人数は保険商品ごとに異なりますが、20名以上や45名以上などのケースが多いです。
最低加入人数を下回った場合にはレクリエーション保険に契約できない可能性が高いので、加入前に参加者人数をしっかり確認のうえ申込みをしましょう。
まとめ:イベント時は保険で交通事故によるケガに備えよう
今回は、レクリエーション保険で交通事故に備えるための基本情報を解説してきました。
レクリエーション保険では、転倒などのケガだけでなく、イベント・行事に参加中の交通事故によるケガも補償の対象になります。
また、特約をつけることで参加者個人の家からの往復途上で発生した交通事故やその他の要因によるケガもカバーすることが可能。ただし、イベント当日までに参加者の人数・名前やイベント開催日程がきちんと分かる名簿等の書類が必要などの条件がある点に注意して下さい。
こういった往復途上の交通事故にもしっかり備えておきたいと思う主催者の方は、レクリエーション保険加入の際に、保険会社や保険代理店に確認しましょう。
イベントや行事の際は、不注意で起こしてしまうケガだけでなく、交通事故などのリスクも少なからずあります。
移動の多いイベントや公道を走るような行事を行う際には、交通事故のリスクを考え、レクリエーション保険でしっかり対策しましょう。
監修者のコメント
イベントの主催者としては、イベント中はもちろん、集合場所に集まるまでのケガも心配ですね。保険契約時には往復途上の特約もしっかり検討してください。なお万一、自動車との交通事故の被害者になってしまった場合は、加害者の加入する自動車保険からの賠償金には関係なく、レクリエーション保険の保険金を受け取ることができますので安心してください。
当記事の監修者:遠山直孝
- 保険コンプライアンス・オフィサー2級
- ファイナンシャルプランナー(AFP)
- 損保大学(法律・税務)※
国立大学卒業後、大手保険会社に27年勤務し、現在は損害保険代理店に所属。営業、企画部門での多彩な経験から、法律・税務を踏まえた実用的な保険の活用に精通しており、日々情報を発信しています。
※損保大学とは、損害保険の募集に関する知識・業務を向上させるために日本損害保険協会が立ち上げた制度。当監修者は「法律・税務」などの知識を深める専門コースを修めています。