障害者グループホームとは、掃除や洗濯、入浴、食事などの生活介護支援などの援助を受けられる障害者向けの施設です。
障害者グループホームでは、身体機能の維持や交流などを目的とした、障害者向けのレクリエーションが取り入れられています。
障害の重さによっては、さまざまな工夫が必要になるレクリエーション。初めて企画を担当する介護士やスタッフの方は、どんなレクリエーションが良いのか、悩んでしまうかもしれません。
今回は、障害者向けのレクリエーションを紹介します。介護士やスタッフで企画する方は参考にしてください。
障害者グループホームとは?
障害者のグループホームは、以下の障害者の方が対象です。
- 身体障害
- 知的障害
- 精神障害
- 発達障害
- 難病 など
似たような施設と勘違いされやすいのが、認知症になった方が対象の高齢者向けのグループホーム。もちろん、高齢者の中には、片麻痺で身体障害の方や、精神障害の方もいらっしゃいます。
障害者のグループホームの入居条件は、18歳以上です。場合によっては15歳から申し込みができます。
基本的には、障害者の受給者証と、共同生活援助のサービス申請があれば入居が可能です。
特に年齢制限は設けられていません。ただし、65歳以上の方は、65歳になるまでに障害者向けのサービス利用の履歴があった方のみ利用が可能です。
65歳以上は介護保険も利用できるようになっています。どちらのサービスが必要なのかわからない場合は、地域の障害福祉サービスにまずは相談をしてみると良いでしょう。
グループホームでレクを行う目的や効果
ここでは、障害者グループホームでレクリエーションを行う目的や効果について見ていきましょう。
戸建てやマンションなどのグループホームでは、地域の人との交流イベントなどでレクリエーションが取り入れられています。
みんなで楽しむことができるレクリエーションを企画したいですね。
日常生活における動作の維持・向上
身体を動かすスポーツ系のレクリエーションは、障害者の日常生活動作の維持や向上に効果が期待できます。
日常生活には、腕をあげたり歩いたりする筋力や、体幹を維持する筋力などが必要です。
障害の度合いによっては、体幹を維持するのが難しい場合もありますよね。
車椅子生活から寝たきりにならないよう、障害者レクリエーションを通して筋力を維持しましょう。
生活の質の向上
レクリエーションを通して、いろんな方との交流や新しいことへの挑戦ができます。好きなことでの交流は、日々の活動をメリハリあるものにしてくれるでしょう。
また、日々の生活で必要な筋力などを自然と身につけることができれば、生活に困ることが一つ少なくなりますよね。
日々の生活を維持するためにも障害者レクリエーションはおすすめです。
認知症予防や改善
手先を動かしたり、頭を使うレクリエーションは、認知症の予防に効果が期待できます。
障害者グループホームは18歳以上の方が利用する施設です。しかし、高齢の障害者に対応しているグループホームもありますよね。
寝たきりや身体を動かすことが少なくなれば、認知症が進んでしまう可能性も。レクリエーションは、元気に過ごしてもらうために必要な活動です。
レクの種類別に紹介
グループホームで行われる障害者レクリエーションには、主に4つの種類があります。企画する方はぜひ参考にしてください。
スポーツ系レクリエーション
身体機能や日常生活の維持・向上を目的としたスポーツ系レクリエーション。
障害の度合いにもよりますが、寝たきりの防止などの効果も期待できるので、積極的に取り入れましょう。
身体を動かすスポーツ系レクリエーション例
- 風船バレー
- ボール体操
- ボーリング
- 玉入れ
- 散歩
- お花見 など
障害者向けのレクリエーションは、座ったまま参加できるようアレンジしたり、いろんな人が参加しやすいよう工夫が必要です。
企画するときは周囲の安全にも気をつけましょう。
脳トレ系レクリエーション
頭を使った脳トレのレクリエーションは認知症の予防に効果的。障害者施設には、高齢の方もいます。
障害の度合いに関わらず、高齢者は、認知症の危険があると言えるでしょう。
また、脳トレ系のレクリエーションは、身体を動かさずに楽しめるゲームも多く、障害者の方でも気軽に楽しめます。
頭を使う脳トレ系レクリエーション例
- 漢字クイズ
- しりとり
- カードやボードゲーム
- 囲碁・将棋
- 間違い探し
- なぞなぞ
- 計算 など
頭を使うレクリエーションは、ネタを用意しておくだけで気軽にできます。
子供から大人まで、年齢を問わずに楽しめる脳トレ系レクリエーション。障害者と地域の方との交流にもおすすめです。
日頃からネタを準備しておくと良いかもしれませんね。
創作系レクリエーション
手先を使う創作系のレクリエーションは、認知症の予防やリハビリ効果が期待できます。
また、新しい趣味となれば、生活にも張り合いが出るでしょう。
手先を使う創作系レクリエーション例
- 絵手紙
- 折り紙
- 料理
- 塗り絵
- 工作
- 編み物 など
レクリエーションで作ったものを部屋に飾ったり、誰かにプレゼントしたりするのもおすすめです。
地域交流の活動は、社会とのつながりにもなります。地域に向けたバザーなどに出す商品を障害者グループホームのみんなで協力して作るのも良いでしょう。
料理などみんなが楽しめるレクリエーションは障害者グループホームでも人気です。
リフレッシュ系レクリエーション
障害者の方たちは、毎日の生活を不安に感じる方もいるかもしれません。日々の生活や仕事のストレスを解消して、リラックスしてもらいましょう。
心を安定させるリフレッシュ系レクリエーション例
- アロマテラピー
- 音楽
- 合唱
- ハンドマッサージ
- 絵の鑑賞会 など
あまり身体を動かせない重度の障害がある方にもおすすめのレクリエーション。
ただし、リラックスできる環境は、人によっても違います。ハンドマッサージやアロマテラピーは受けたいかどうかはそれぞれ確認が必要です。
歌を歌ったり、花を鑑賞したり、リフレッシュできるいろんなレクリエーションを取り入れましょう。
障害者向けレクリエーションを紹介!おすすめゲーム8選
ここでは、障害者向けのレクリエーションを紹介します。障害者グループホームでレクリエーションを企画する方は参考にしてください。
季節の創作レク「部屋の飾りを作ろう」
「飾りを作る」レクリエーションは、節分や祭り、クリスマスなど、年間を通して企画することができます。
グループホームで行われる、季節のイベントや行事を盛り上げることもできるでしょう。
春には桜をモチーフにしたちぎり絵を飾ったり、折り紙で花を作ったりしてみませんか?また、夏には、風鈴やうちわを制作するのも面白いイベントとなるでしょう。
みんなで分担して、できる作業を行うなら、障害者でも気軽に参加できますよね。
創作系のレクリエーションは作れた達成感も味わえます。作ったものを使う楽しみもできるのでおすすめです。
気軽身体を動かそう「ボール体操」
「ボール体操」は、椅子に座ってできるスポーツ系レクリエーションです。障害者の方でも行うことができます。
柔らかいボールを両手で押しつぶしたり、カラダの周りを回したりしましょう。
重度の身体障害者の方でも、サポートをすれば参加できます。
サポートするときは、同じ力で反対側から押してあげたり、できない部分を代わりに行ったりと、できない部分を補いましょう。
身体を動かすのが苦手でも簡単にできるスポーツ系レクリエーション。日頃動かさない筋力を意識的に動かせるよう工夫をしましょう。
「ボール体操」は、雨の日の運動にも最適。リハビリの効果も期待できるので、毎日のルーティーンに取り入れるのもおすすめです。
料理レクで美味しく楽しく「クッキングレク」
料理系レクリエーションは、美味しいものを食べたい方なら誰でも楽しめます。
地域交流のレクリエーションにもおすすめです。
障害者の度合いによって、料理のできる力量は変わりますよね。介護スタッフは、火傷したり手を切ったりしないようサポートに入りましょう。
自主的にできそうなら見守りながら、みんなを盛り上げる役に徹します。手を出しすぎてしまうと、盛り下がってしまう可能性もあるので注意しましょう。
旬の食材を使った季節感あるクッキングレクを企画したいですね。作った後は、みんなで食事を楽しみましょう。
みんなで楽しめる「風船バレー」
風船バレーも、椅子に座ったままでもできるスポーツ系レクリエーションです。
円になって座り、風船をボールのように相手に向かって叩いて送りあいます。
簡単なゲームなので、「風船に書いてある文字から連想できる言葉を言いながら打つ」などルールを工夫しましょう。人数が多ければ、風船を2〜3個にしても楽しめます。
腕を上げてボールを打つので、体幹の筋力UPにも効果が期待できる風船バレー。車椅子生活をする障害者にもおすすめのスポーツ系レクリエーションです。
周りに危険がないか確認をして行いましょう。
運動会におすすめ「パターゴルフ」
パターゴルフは、パッティングを楽しむスポーツ系レクリエーションです。
公園などでも遊べるよう施設が作られている場所があるなら、外でも楽しめます。ホールなどの道具の準備がないときは、布や段ボールに的を書いて代用しましょう。
パターゴルフなら、椅子に座ったままでも、立ったままでも打つことができます。みんなが楽しめる簡単なスポーツ系レクリエーション。地域交流の運動会などにもおすすめです。
公園でパターゴルフをして、そのままピクニックを楽しむのも良いでしょう。
余暇活動に最適「お花見や花火鑑賞」
余暇活動は、障害者が世間と触れ合う大切なレクリエーションです。生活支援施設であるグループホームでは、共同生活をしています。
お花見や花火鑑賞なら、利用者みんなで出かけるきっかけにもなるでしょう。
車椅子での移動などは、事前に移動できるかどうかなど、安全面を確かめる必要があります。スタッフの人手が必要となるので、しっかりと計画をしましょう。
春にはお花見、夏には花火、秋には音楽会などもおすすめです。季節ごとの活動は日々の生活を楽しませてくれるでしょう。
室内で楽しめる「ボッチャ」
パラリンピックの競技として取り入れられたことのあるボッチャは、障害者スポーツとしても有名です。
障害者でも健常者でも誰でも参加できるレクリエーションなので、地域交流にもおすすめ。
ボッチャは、白いジャックボールに自チームのボールを一番近づけられるかを競うスポーツです。重症心身(肢体の不自由と知的障害を重複していること)や、視覚障害の人でも遊べます。
参加者が一丸となって楽しめるボッチャなら、盛り上がること間違いなし。地域交流や障害者の方の運動に最適なレクリエーションです。
笑いが生まれる「ジェスチャーゲーム」
私は誰でしょうゲームは、障害者も楽しめるレクリエーションゲームです。
主題者がお題を聞いて、ジェスチャーで表現をします。答えを当ててもらった人は成功です。
ボールを投げて出題者を指名するように工夫しても面白いでしょう。重度な身体障害がある方は、サポート役の人と相談してジェスチャーを代わりに行ってもらうのもおすすめです。
2人で協力して、「私が誰なのか」を伝えましょう。
笑いが生まれることも多いレクリエーションゲーム。みんなを盛り上げたいときに取り入れましょう。
障害者グループホームでレクリエーションを行う時の注意するポイント
最後に障害者向けのレクリエーションを行うときの注意点を確認しましょう。
レクの進め方を考えよう
レクリエーションをみんなで楽しむためには、ゲームの進行を考える必要があります。
誰もが遊べるようルールを工夫したり、サポートする人を頼んだりと事前準備を入念に行いましょう。
複雑すぎて参加者が楽しめないとならないよう、いろんな方と相談しながらルールを考えるのがベスト。
参加者が得意なことは何かを把握してあると決めやすいかもしれませんね。
レクリエーションを盛り上げよう
レクリエーションを実施するときは、積極的にサポートや応援をして、会場を盛り上げましょう。
みんなが静かにプレーしていては、楽しくないですよね。元気な声がけや応援があれば、参加者も気持ちよく過ごせます。
安全性を十分に考慮しよう
レクリエーションを行うときは、夢中になりすぎて注意が散漫になる可能性があります。
いつもなら平気なことでも、不注意で怪我につながってしまう可能性もあるでしょう。
レクリエーションを行う際は、周りに怪我しやすい場所がないかしっかりと確認が必要です。
また、現在では多くの保険会社が、レクリエーション時の事故や傷害を補償するレクリエーション保険を展開しています。
安全性を十分に考慮していても、事故が起きる可能性はなかなか0にはなりません。
万が一に備え、介護士・ヘルパーさんや施設を利用する障害者の方のために、是非加入を検討してみてはいかがでしょうか。
記事まとめ
障害者向けのレクリエーションには、子供から大人まで、みんなが参加できるゲームがたくさんあります。
利用者さんも思わず夢中になってしまうレクリエーションもあるでしょう。
安全面の配慮は重要ですが、気にしすぎて、何もできなくなってしまうのは残念です。みんなが楽しめる障害者レクリエーションを企画しましょう。