レクリエーション保険とは、会社や地域などの団体で行事・イベントを開催する際にあらかじめ加入しておくことで、参加者の損害などを補償できる保険です。
傷害保険の一種で、万が一行事・イベントが起因する事故で参加者がケガなどを負った場合は次のような補償が適用されます。
- 死亡保険金
- 後遺障害保険金
- 入院保険金
- 手術保険金
- 通院保険金
これらの保障を得るためには「事前に」保険会社と契約を結ぶ必要がありますが、大勢で行事・イベントを開催する場合は特に、予定していた日程が変更になることもあるでしょう。
スケジュールが変更される可能性が高い行事・イベントだと、「果たしてレクリエーション保険に加入してもよいのだろうか」と不安を感じてしまう方もめずらしくありません。
そこで本記事では、行事・イベントの開催が延期となってしまった場合の対応について解説します。
あらかじめ申告していた日程から延期しても問題ないのか、問題ないとすればどこまでの補償が得られるのかなどを確認していきましょう。
結論:レクリエーション保険は事前に連絡・手続きすれば延期できる
結論から言うと、保険会社へ申告した行事・イベントの日程が変更となった場合でも、あらかじめ連絡して必要な手続きをしておけば保険契約上も延期が可能です。
契約したレクリエーション保険の内容にもよりますが、基本的には下記の条件を満たした場合にのみ延期が許可されます。
- 延期後も、当初契約したレクリエーション保険と開催日数が同日の行事・イベントを開催する
- 当初の開催予定日から1か月以内の日程に行事・イベントの開催を延期する
なお、保険会社によっては、行事・イベントを延期したことを証明する書類の提出を求められる場合があります。
できるだけ早く手続きに必要な書類を用意して、保険会社もしくは保険代理店に提出するようにしてください。
イベントを中止する場合は解約返戻金をもらえる可能性がある
行事・イベントの内容や参加人数などの状況によっては延期が難しく、中止せざる得ない場合もあるでしょう。
行事・イベントを中止する際は、保険会社もしくは保険代理店への連絡が必要です。
レクリエーション保険を解約する旨を伝えると、保険料の一部である解約返戻金が返ってくる可能性があります。
戻ってくる金額は契約したレクリエーション保険の内容、支払った保険料の金額・支払方法、解約を申し出たタイミングなどによって異なるので、詳しくは保険会社もしくは保険代理店の担当者に確認するようにしてください。
なお、本来予定していた行事・イベントの開催日が過ぎてから、保険会社や保険代理店に中止の連絡をしても支払った保険料が戻ってこない場合があるため注意が必要です。
レクリエーション保険の補償対象としている行事・イベントの中止が決まったら、できるだけ早く保険会社や保険代理店の担当者に相談するようにしましょう。
注意:延期・中止による損害はレクリエーション保険の補償対象外
行事・イベントを延期したり、中止したりすること自体は可能ですが、スケジュールを変更したことで生じる損害はレクリエーション保険で補償することはできません。
例えば、当日利用する予定だった会場や備品のキャンセル代、スタッフのキャンセル手数料などが該当します。
行事・イベントの延期がギリギリで決まるほど、これらの費用は高額になりがちなので注意が必要です。
レクリエーション保険で補償されるのはあくまでも傷害保険の範囲(死亡保険金、後遺障害保険金、入院保険金、通院保険金、手術保険金)となることを念頭に置いておきましょう。
賠償責任保険の範囲に対応するレクリエーション保険もある
レクリエーション保険の基本補償は前述のとおり傷害保険の範囲ですが、なかには賠償責任保険の範囲もカバーする商品が存在します。
賠償責任保険に加入すれば行事・イベントの参加者だけでなく、見学者や近隣住民を含む第三者の損害、開催場所の損害も補償されるため安心です。
ただし、賠償責任保険の範囲をカバーしているレクリエーション保険であっても、行事・イベントの延期や中止による損害は補償対象外であるため注意してください。
中止による損害に備える方法:興行中止保険への加入
行事・イベントの開催中に発生する事故による傷害・損害に備えたいならレクリエーション保険への加入をおすすめしますが、延期・中止で発生しうる損害に備えたいのであれば「工業中止保険」(イベント中止保険)への加入を検討してみてはどうでしょうか。
ここでは、興行中止保険(イベント中止保険)の主な補償内容や補償対象、保険料について紹介します。
主な補償内容
興行中止保険(イベント中止保険)に加入すれば、前もって契約していた行事・イベントが悪天候や交通機関などの事故によって中止・延期せざるえない状況になった場合に発生する費用が補償されます。
対象となる費用は加入する興行中止保険(イベント中止保険)によって異なりますが、一般的には下記のとおりです。
- 施設の使用料
- 出演者の将来費用
- スタッフの人件費
- スタッフの交通費
- 広告宣伝費
- 警備費用
- チケットの発行費用 など
詳しくは各保険会社の公式サイトやパンフレット、約款などで確認するようにしてください。
契約対象
興行中止保険(イベント中止保険)の契約対象は、「非日常性を伴うもの」です。例えば、運動会や花火大会などのお祭り、博覧会、コンサートなどがこの条件に該当するでしょう。
レクリエーション保険の対象となる行事・イベントもおよそこれに該当しますが、なかにはレクリエーション保険では補償が
適用される場合でも興行中止保険(イベント中止保険)では対象外となるケースも考えられるため契約前に確認しておくと安心です。
保険料
興行中止保険(イベント中止保険)は、オーダーメイドで設計されることがほとんどであるため個別に保険料の見積もりが行われます。
このため、保険料は保険会社もしくは保険代理店に相談してからでないと分かりません。
補償が適用される損害や傷害、保険金の支払限度額、イベントの開催場所などの条件をもとに保険料が決まるのでまずは相談してみましょう。
あくまでも傾向ではありますが、開催する行事・イベントの規模が大きいとその分保険料も高くなります。
まとめ
レクリエーション保険の加入後に行事・イベントの開催日を延期する場合、事前に保険会社や保険代理店に連絡し、変更手続きを完了させます。
延期ではなく、中止する場合も保険会社もしくは保険代理店へ連絡する必要があるので注意してください。
レクリエーション保険の補償対象となる行事・イベントを中止する場合は、保険料の一部が解約返戻金として払い戻されることがあります。
ただし、レクリエーション保険では行事・イベントを延期・中止したことで発生するキャンセル代などの費用は補償されません。
延期・中止で発生する費用に備えたい場合はレクリエーション保険だけでなく、興行中止保険(イベント中止保険)への加入もあわせて検討するといいでしょう。