スポーツ保険と子ども医療費助成制度は、どちらも子どものケガや病気に対する補償を目的としていますが、補償内容や対象範囲、利用方法に大きな違いがあります。
では、子どもの万が一に備えた保険へ加入したい場合、スポーツ保険と子ども医療費助成制度、どっちの保険へ加入するべきでしょうか。
本記事では、両者の特徴や違いをわかりやすく解説し、どっちを選ぶべきかのポイントをご紹介します。
スポーツ保険と子ども医療費助成制度の違いとは?
スポーツ保険と子ども医療費助成制度は、どっちも子どもの医療費負担を軽減するための保険ですが、目的や補償内容、補償対象範囲には大きな違いがあります。
ここからは、両者の違いを詳しく解説しどっちを選ぶべきかを紹介します。
違い:学校等の管理下でのケガが補償されるかどうかという点
注目すべきなのは、子ども医療費助成制度は保育園、幼稚園、こども園、学校等の管理下でのケガまたは傷病(治療用装具の作成も含む)で、スポーツ保険の対象となるものは補償に含まれないという点です。
スポーツ保険と子ども医療費助成制度の違いは、学校等の管理下でのケガが補償対象になるかどうかという点にあります。
スポーツ保険(災害共済給付制度)は、授業中や部活動など学校の管理下で起きたケガや事故に対して医療費を補償します。
一方、子ども医療費助成制度は、原則として家庭でのケガや病気など日常生活における医療費を助成する制度であり、学校管理下のケガは対象外となることが多く、併用はできないのが一般的です。
どっちを選ぶか、というよりも、子どもの状況に合わせて加入するかしないかを決める必要があるということです。
スポーツ保険:学校管理下での怪我や疾病を対象
スポーツ保険は、スポーツ活動中の事故による怪我や、他人に怪我をさせてしまった場合などに備える保険で、学生が安心してスポーツに取り組むために主に学校や部活動など、管理下で発生したケガや疾病を対象としています。
傷害保険と賠償責任保険が主な補償内容で、団体で加入する場合が多いですが、個人で加入できるものもあります
賠償責任保険はスポーツ保険とは別料金での対応となることもあるため、加入前には確認をしましょう。
試合や練習中の事故はもちろん、合宿や遠征中のトラブルも補償範囲に含まれますが、学校管理外のプライベートなスポーツ活動や日常生活でのケガは補償対象外となる場合もあります。
子ども医療助成制度:医療機関で受診した際の自己負担分を助成
子ども医療費助成制度は、18歳到達後最初の3月31日までのかたが受給対象者となり、保険診療でかかった医療費の自己負担額を市や区が助成する制度です。
子ども医療費助成金支給事業による助成を受けるには、受給者証交付申請の手続きが必要となります。
保健課に以下を持参して申請しましょう。
- 子どもと保護者の保険証の写し
- 保護者名義の通帳
- 受給者証交付申請書(窓口に用意あり)
病気やケガに関わらず幅広く適用され、自己負担額が軽減されるため家計の負担を大きく減らせるのが特徴です。
しかし、以下の方は子ども医療費助成制度を受けることができません。
- 生活保護の受給者
- 児童福祉法に規定する施設(措置)入所者(母子生活支援施設、保育所・知的障害児・肢体不自由児などの通園施設を除く)
- 里親又は、小規模住居型児童養育事業を行う者に委託されている
助成内容や対象年齢、利用条件は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの地域の制度を確認することが大切です。
子ども医療費助成制度とは | 目黒区
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kosodateshien/kosodatekyouiku/kosodate/toha.html
子どもがスポーツで怪我をしたらどっちの保険が良い?
子どもがスポーツでケガをした場合、スポーツ保険と子ども医療費助成制度のどっちを利用すべきか悩む方も多いでしょう。
スポーツ保険はスポーツ中のケガや事故に特化し、通院・入院・手術費用の補償に加え、他人への賠償責任もカバーする一方で、子ども医療費助成制度は医療費の自己負担を軽減する公的制度で、幅広い病気やケガに対応しています。
ここからは、子どもがスポーツでケガをした場合にはどっちの保険が優先されるかを解説します。
学校の管理下での怪我はスポーツ保険が優先される
学校の管理下で発生したケガについては、まずスポーツ保険が優先して適用されます。
スポーツ保険は、部活動や体育の授業、学校主催の行事中など、学校の責任範囲内で起きた事故やケガに対して手厚く補償し、通院・入院・手術費用はもちろん、他人への賠償責任もカバーする場合が多いです。
一方、子ども医療費助成制度は医療費の自己負担分を軽減する公的制度であり、スポーツ保険と併用可能ですが、学校管理下のケガは補償として適応されません。
学校管理下での事故は、子ども医療費助成制度ではなく、スポーツ保険の利用を検討しましょう。
学校管理下でのケガではない場合には子ども医療助成制度を活用しよう
ケガをした場所が学校の管理下ではない場合は、子ども医療費助成制度を活用するのが効果的です。
子ども医療費助成制度は、医療機関での自己負担分の医療費を自治体が助成するため、少額の医療費負担も軽減できます。
一方、スポーツ保険は学校の管理下でのケガが補償対象で、一定額以上の通院や入院、手術に対する給付が中心となるため少額の医療費には適用されにくい場合があります。
したがって、医療費が少ない場合は子ども医療費助成制度を利用し、より高額な治療費がかかる場合はスポーツ保険と併用することで、無駄なく補償を受けられます。
お住まいの自治体(市区町村)によって補償内容が異なる場合もあるため、ケガの状況によって判断が難しい場合には、お住まいの自治体のホームページから事前に確認するようにしましょう。
スポーツ保険 | 学校の管理下の場合に補償 |
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子ども医療費助成制度 | 主にスポーツ保険で対象外のものを補償 |
スポーツ保険と子ども医療費助成制度は併用不可
スポーツ保険(災害共済給付制度)と子ども医療費助成制度は、原則として併用できず、学校管理下のケガ等はスポーツ保険が優先し、子ども医療費助成は不適用です。
スポーツ保険の給付対象とならない場合には子ども医療費助成が優先されるケースもありますが、治療費の合計が 5,000円未満の場合は、子ども医療費助成制度の対象となる可能性があるため、医療機関訪問時に「助成証」を持っていくようにしましょう。
お住まいの自治体(市区町村)では、学校管理下のケガに対してスポーツ保険あるいは子ども医療費助成のどっちが優先されるのか、公式ページや保健課に確認するようにしましょう。
どっちも必要に応じて使い分けよう
この記事では、スポーツ保険と子ども医療費助成制度どっちが良いのか、違いも解説しました。
スポーツ保険と子ども医療費助成制度は、それぞれ補償内容や対象範囲が異なるため、どっちか一方だけではカバーしきれない部分があります。
スポーツ保険は学校管理下のスポーツ中のケガや賠償責任に強く、高額な治療費にも対応可能です。
一方、子ども医療費助成制度は、学校管理下以外でのケガへの補償に適していて、医療機関での自己負担分の軽減に優れており、少額の医療費負担を抑えるのに適しています。
学校の管理下であるか、ないかで、両方を上手に使い分けることで無駄なく効果的に経済的負担を軽減できます。
子どもの安心と家計の負担軽減のため、適切に制度を活用しましょう。