高齢者の多いデイサービスや老人ホームなどの介護施設では、QOL(生活の質)の向上を目的にレクリエーションを取り入れています。
介護施設の利用者は、歩ける方や車椅子を使っている方などさまざまです。介護施設でレクリエーションを実施するときは、いろんな方が参加できるよう考える必要があります。
今回は、車椅子・片麻痺の方も楽しめるレクリエーションを紹介します。
介護施設のスタッフや介護士でレクリエーションを企画する方は参考にしてください。
車椅子・片麻痺でもレクリエーションを行うメリット
介護施設では、片麻痺の症状があり、車椅子を利用されている方もいらっしゃいます。
片麻痺とは、脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などにより、身体が片方だけ麻痺してしまっている状態のことです。
片麻痺でも、できる運動をしなければ、身体はさらに動かなくなってしまう可能性があります。そのため、介護施設では、遊びやゲームを工夫したレクリエーションが取り入れているのです。
認知予防やリハビリ効果などさまざまな効果が期待できるレクリエーションゲーム。
まずは、車椅子・片麻痺の方がレクリエーションを行うメリットについて見ていきましょう。
片麻痺の方にはリハビリ効果も
車椅子に乗っていても楽しめるレクリエーションゲームには、片手でもできる遊びやゲームがたくさんあります。
動かせる身体の部分を動かすだけでも運動になります。もちろん、動かし辛い腕や手先を使えば、リハビリ効果も期待できますよね。
運動をすれば、身体の巡りもよくなり、スッキリ感も得られるでしょう。片麻痺の症状がある方にも、レクリエーションゲームは効果的な運動です。
認知症の予防・改善
運動や脳トレ、手先を使ったレクリエーションゲームは、高齢者の認知症予防に効果的です。会話や交流、音楽、食事など、日々の生活で得られる刺激も脳への刺激となるでしょう。
車椅子での生活は、日頃の動きや行動範囲が制限されます。人とのコミュニケーションも減り、ぼーっとしている時間が増えてしまうかもしれませんよね。
レクリエーションは認知症の予防に効果が期待されています。片麻痺でもできるレクリエーションはたくさんあるので、利用者さんに楽しんでもらいましょう。
ストレス発散効果
レクリエーションは、ストレス発散にも効果的です。
片麻痺などで、車椅子を利用しているなら、身体を動かさなくなることも多いことでしょう。身体がうまく動かないとストレスにもなりますよね。
身体を動かしてスッキリとした経験を思い出してもらえれば、運動にも意欲的になるかもしれません。
レクリエーションで身体を動かしてリフレッシュ感を味わってもらいましょう。
コミュニケーションを促進
レクリエーションは、個々のコミュニケーションを促進したいときにも効果的です。
単純な遊びやゲームを通して、共通の時間を過ごせば、話をするきっかけにもなります。また、音楽や新しい趣味を見つけることもできるでしょう。
レクリエーションは、新しい仲間との交流を通して、毎日の生活に今までとは違う刺激を与えてくれます。
片麻痺で車椅子生活を始めたばかりという方にもおすすめです。
QOL(生活の質)を高める
ストレス発散やコミュニケーションの促進、運動不足の解消などは、生活の質を高めるきっかけになりますよね。
知り合いとの約束や新しいことへの挑戦は何歳になっても面白いものです。
車椅子の生活は不便だと、高齢者になると何もしなくなってしまう可能性もあります。日常の楽しみがなくては、楽しく過ごすことはできません。
レクリエーションは運動や交流のきっかけを作ってくれるでしょう。
介護施設でレクを企画するときの注意点とコツ
ここでは、車椅子・片麻痺の方でも楽しめるレクリエーションを企画するときの気をつけるポイントとコツを紹介します。
事前準備をしっかりとすること
車椅子・片麻痺の方でも楽しめるレクリエーションを企画するには、事前の準備がとても大切です。
ポイント
- 片手でも簡単にできる工夫ができているか
- みんなで楽しめるか
- 車椅子で通る導線に問題はないか
- 周りに危険なものがないか
上記のようなことを確認しましょう。
転んで棚やテーブルにぶつかっては大変です。また、車椅子が通るスペースは意外と広さがいりますよね。何かにぶつかって倒れてしまわないよう配慮しましょう。
高齢者の過ごす介護施設でのレクリエーションは、しっかりと事前準備を行うことをおすすめします。
レクリエーションの目的や内容を説明すること
レクリエーションの目的や内容を先に説明することはとても大切なポイントです。
なぜなら、車椅子・片麻痺の方でも楽しめるレクリエーションは、子供向けの簡単な遊びだと捉えられる場合があるから。
やる気なく楽しくもなければ、レクリエーションの効果も半減してしまいます。事前に目的をしっかりと伝えて、レクリエーションを行いましょう。
片麻痺・車椅子の方へのサポートが十分か確認しよう
片麻痺・車椅子の方へのサポートが十分に行えるかシュミレーションをしましょう。
体幹が弱ると、片麻痺の方はボールを投げる動作も難しくなっている可能性があります。レクリエーションでさえも楽しめなくなったと感じさせては、ますます意欲がなくなってしまいますよね。
また、片麻痺側の足や手先は痛いことがわからないので、ぶつかると危険です。さらに、皮膚が弱っている場合もあるので、注意が必要です。
サポートが十分かみんなで話し合いましょう。
車椅子・片麻痺でも一緒に楽しめるレクリエーションゲーム5選
ここでは、車椅子・片麻痺でも楽しめるレクリエーションを紹介します。介護施設などでレクリエーションゲームを企画する方は、参考にしてください。
介護施設で人気「リズム体操」
リズム体操は、音楽に合わせて身体を動かすレクリエーションです。片麻痺で車椅子に座ったままでもできます。
リズム体操は、身体機能の維持や気分のリフレッシュに効果的。
参加者に合わせて難易度を変えられるので、元気な方から車椅子の利用者までいろんな方が楽しめます。
昔馴染みの音楽を使った手遊び歌などもおすすめです。
デイサービスにおすすめ「お手玉投げゲーム」
お手玉投げゲームは、お手玉を的に向かって投げるゲームです。身体機能の維持や改善に最適。
中心に近い人ほど得点を高く設定したり、マス目に得点を書いたりして、投げたお手玉の合計点数を競いましょう。
投げる動作は、体幹を使うので片麻痺で車椅子の方にもおすすめです。
体幹を鍛えることで身体を支える筋力を維持してほしいですね。
車椅子でも楽しめる「風船バレー」
風船バレーはいろんな方が楽しめるレクリエーションです。片麻痺で車椅子を利用している方でも輪になって座って楽しむことができます。
歩ける方でも転ぶ危険があるので、みんなで座って楽しみましょう。
腕を上にあげたり下で風船を打ち上げたりする動作は、体幹を使うので、片麻痺の方にも効果的。
みんなで楽しみながら運動をすれば、気分もリフレッシュされるでしょう。
安全に楽しめる「車いすダンス」
車椅子ダンスは、車椅子を押して歩いたり、乗って前後に動かしたりするレクリエーションです。
片麻痺の度合いによって立って行うか座って行うかを選んでもらうのもおすすめです。歩くのが難しい方はサポートをして車椅子を押してあげましょう。
みんなで円になって音楽に合わせて、車椅子を操作してダンスを楽しんでみてください。
高齢者に最適「クイズ大会」
クイズ大会はホワイトボードやネタを用意すれば気軽にできるレクリエーション。老人ホームやデイサービスなどの介護施設でも人気のゲームです。
漢字や歌、都道府県、なぞなぞなど、いろんなクイズのネタを用意しておけば、いつでも楽しめます。片麻痺の方には、答えを書くことにも挑戦してもらうのも良いでしょう。
クイズ大会はみんなが参加できるレクリエーションです。
記事まとめ
片麻痺で車椅子を利用している方におすすめのレクリエーションを紹介しました。
介護施設でも、毎日の生活の中で楽しい時間を作ることは大切です。
片麻痺で車椅子を利用している方は気分も沈みがち。レクリエーションを通して笑顔になって欲しいですね。