レクリエーション保険は、地域のスポーツ大会や運動会、大人数の友人たちとのレジャーや社内行事など、まとまった団体でイベント・行事を行う際のケガのリスクに備える保険です。
しかし、イベントや行事に参加する方の中には、すでに自分で傷害保険に加入しているためわざわざレクリエーション保険に入る必要はないと思っている方もしるかもしれません。
今回は、傷害保険に入っていればレクリエーション保険に加入する必要はないのか、一般的な傷害保険との補償内容との差を解説します。
傷害保険に加入していればレクリエーション保険は必要ない?
レクリエーション保険は傷害保険の一種で、一回のイベント・行事ごとに加入する保険です。
スポーツ大会やハイキング、運動会などの行事で、参加者がケガをした際にその治療費などに対して保険金が支払われます。主催者が参加者全員をまとめて加入し、一回のイベントに合わせて加入するため、保険料も非常に割安な金額で済む点が魅力です。
しかし、参加者の中にすでに自分で一般の傷害保険に加入している方がいる場合、わざわざ改めてレクリエーション保険に加入する必要はないのでは、と思う方もいるでしょう。
一般的な傷害保険は、1年間や5年間などの保険期間を定め、ケガによる死亡・後遺障害、治療のための入院・通院などに対して保険金が支払われます。
イベントや行事に参加している最中に負ったケガももちろん補償の対象となるため、傷害保険に加えてレクリエーション保険に加入すると補償が重複してしまう部分も多いはずです。
しかし、レクリエーション保険と一般の傷害保険では、補償の対象となるケースに多少異なる場合があり、状況によってはレクリエーション保険に加入しておいた方がよいケースもあります。
そのケースを具体的に挙げながら見ていきましょう。
一般の傷害保険では熱中症や食中毒が補償対象外のことも
一般の傷害保険では、補償の対象となるのは「急激かつ偶然な外来の事故によるケガ」です。たとえば、転倒や事故などによるケガが該当します。
しかし傷害保険の保険商品によっては熱中症や食中毒による症状は補償の対象外となってしまうことがある点に注意が必要です。
どういったケガ・症状が補償の対象になるかは傷害保険のパンフレットに記載されていますが、意外と多くの傷害保険で「細菌性食中毒、ウイルス性食中毒は含まない」「熱射病、熱中症は含まない」などと注意書きがされています。
そのため、夏場に行われる屋外のイベントやキャンプなど、熱中症や食中毒のリスクが考えられる行事では、一般の傷害保険ではリスク対策として不十分な可能性があるのです。
特約で補償範囲を広くできる場合もありますが、行事一回のためにわざわざ保険内容を変更して特約を不可させるのも手間でしょう。
一方、レクリエーション保険では、食中毒・熱中症ともに補償の対象としている保険商品があります。そのため、夏場の行事や飲食を含む行事にはぴったりです。
こういったことを考えると、傷害保険に加入していれば十分とも言い切れないことがわかるでしょう。
そもそもレクリエーション保険は参加者全員が対象となる
そもそもレクリエーション保険は、行事・イベントに参加する全員を対象として主催者がまとめて加入する保険です。
レクリエーション保険契約の際にはイベント参加者の人数を把握しておく必要があり、契約時に申告した参加者全員に対して補償が適用されることになります。
よって、基本的に「参加者のうち、この人だけは補償の対象から除く」というのはできません。
レクリエーション保険の1人当たりの保険料は最も安い場合で数十円、高くても数百円程度で済むため、金銭的に大きな負担となるわけではありません。
そのため、個人で加入している傷害保険の如何に関わらず、参加者全員に対して補償を適用し1人あたりの保険料を負担してもらうのが良いでしょう。
一回の行事・イベントで加入する場合の保険料は?
先程、レクリエーション保険の保険料は安い場合で数十円、高くても数百円程度と説明しました。
実際のところ、レクリエーション保険の保険料は「開催するイベントの種類」「開催する日数」「補償内容(死亡保険金の金額等)」「参加人数」によって左右されるため、正確な金額は見積もりを取らなければわかりません。
しかし、一般的なモデルケースとして保険会社のパンフレットに記載されている保険料例では、多くの場合30円~300円程度の保険料におさまっています。
1つの例として、損保ジャパンで扱っているレクリエーション保険「レクリエーション補償プラン」の保険料をご紹介します。
区分
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レクリエーションの種類
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保険料
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保険金額
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A | 日帰り遠足、料理教室、海水浴、花火大会、盆踊りなど | 30円 | 死亡・後遺障害保険金:455万円 入院保険金日額:4,000円 通院保険金日額:2,000円 |
B | 運動会、日帰りキャンプ、軟式・準硬式野球、マラソンなど | 150円 | 死亡・後遺障害保険金:460万円 入院保険金日額:4,000円 通院保険金日額:2,000円 |
C | 硬式野球、サッカー、サッカー、空手など | 300円 | 死亡・後遺障害保険金:457万円 入院保険金日額:4,000円 通院保険金日額:2,000円 |
※熱中症、ウイルス性食中毒・細菌性食中毒も補償の対象に含まれる。
補償内容を更に手厚くすれば保険料もその分高額になりますが、最低限の補償内容であれば1人当たりの負担は小さく抑えることが可能です。
レクリエーション保険の加入・申し込み方法
ここでは、実際にレクリエーション保険に加入する際の方法について解説します。
レクリエーション保険に申し込む際は、レクリエーション保険を扱う保険代理店と面談、郵送などで契約手続きを行うのが一般的です。
レクリエーション保険契約の際には、下記の情報が必要です。
- 開催するイベントの種類・内容
- 開催するイベントの日程
- 参加者の人数(※)
契約時に人数・氏名をまとめた名簿を提出する必要はありません。しかし、保険金が支払われることが起こった際に名簿の提示が必要となるため、あらかじめ名簿の形で用意しておくと良いです。
これらの情報と補償プランを元に、保険代理店が保険料の見積もりを出してくれるので、保険料を支払って契約完了です。
なお、行事・イベントが悪天候によって順延した場合などは、契約当初の開催日から1か月以内であれば保険期間を自動的に順延日に変更可能など、柔軟に対応してもらうことができます。
まとめ:傷害保険の補償内容を確認して不足分はきちんとカバーするべき
今回は、レクリエーション保険と一般の傷害保険の違いや、レクリエーション保険の加入方法などを解説しました。
一般の傷害保険は、日常生活や運動中などで起こるケガに備えることが可能で、もちろんイベント・行事中のケガも補償の対象です。しかし、熱中症や食中毒に対応していない場合があるため、一般の傷害保険だけでは夏場のイベントやキャンプ行事などを十分にカバーできるとは言い切れません。
そういった場合には、やはりレクリエーション保険に加入して足りない部分を補うことを検討してみてはいかがでしょうか。
監修者のコメント
各自が契約をしている傷害保険等は自助努力であるのに対して、レクリエーション保険の加入目的は多くの場合「イベント主催者から行事参加者へのお見舞金」になります。レクリエーション保険を契約するか悩んでいる場合は「イベント主催者としてお見舞金の手配は必要か?」を手配の要否の検討基準にしてみてはいかがでしょうか。
当記事の監修者:遠山直孝
- 保険コンプライアンス・オフィサー2級
- ファイナンシャルプランナー(AFP)
- 損保大学(法律・税務)※
国立大学卒業後、大手保険会社に27年勤務し、現在は損害保険代理店に所属。営業、企画部門での多彩な経験から、法律・税務を踏まえた実用的な保険の活用に精通しており、日々情報を発信しています。
※損保大学とは、損害保険の募集に関する知識・業務を向上させるために日本損害保険協会が立ち上げた制度。当監修者は「法律・税務」などの知識を深める専門コースを修めています。