「イベントの施設賠償責任保険の保険料って、どのくらいかかるんだろう?」
こんな疑問はありませんか?
イベント開催時の施設賠償責任保険は、万が一のときに主催者を守ってくれる大切な保険です。
しかし、保険料については情報が少なく、相場を知ることは簡単ではありません。
そこでこの記事では、施設賠償責任保険について以下の内容をご紹介します。
- 施設賠償責任保険の基本的な概要
- 施設賠償責任保険の保険料相場の具体例
- 保険の支払い対象となる事例
この記事を読むと、イベントの来場者数や開催期間によって保険料相場がどのように変わるのか目安を知ることができます。
この記事を、施設賠償責任保険の保険料について知る、きっかけにしていただければ幸いです。
施設賠償責任保険とは?基本概要をおさらい
そもそも施設賠償責任保険とはどのような保険なのでしょうか?
ここでは、施設賠償責任保険の目的、補償内容、加入対象となる業種・施設について解説します。
施設賠償責任保険の目的と補償内容
施設賠償責任保険は、施設や仕事中の事故で他人にケガをさせたり、物を壊したりした時の賠償金を補償する保険です。
イベント開催時の事故も補償の対象となります。
補償の対象は、施設の管理上の不備による事故と、業務遂行中の事故です。たとえば、屋内外のイベントスペースで行われる催し物や、その準備・撤去作業中の事故も含まれます。
ただし、台風などの自然災害による事故については、状況によって補償されない場合があります。災害の大きさや、事前に防ぐことができたかどうかによって判断されます。
どのような業種・施設が加入対象?
施設賠償責任保険には、以下のように多くの業種・施設が加入できます。
- 製造業(工場や作業場など)
- 飲食店(レストランやカフェなど)
- イベント運営者(展示会やコンサートなど)
- ビル・建物オーナー(オフィスビルや商業施設など)
- 小売店(スーパーや専門店など)
建物や施設を活用するさまざまな立場の方が対象となります。
施設賠償責任保険の保険期間は通常1年間です。
そのため、年間を通して定期的にイベント開催する場合に、活用しやすい保険といえます。
施設賠償責任保険パンフレット | 東京海上日動
https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/content/contents/001416742.pdf
施設賠償責任保険の保険料相場の具体例
施設賠償責任保険に加入する際、気になるのは保険料がどのくらいかかるかという点です。
保険料は、施設の大きさや種類、規模、業務内容や行事の内容などによって異なります。
そのため、一概に相場を示すのは難しいのですが、ここではいくつかの例を挙げて保険料の例を見ていきたいと思います。
これらの例が、今後イベントを開催する際の保険料を考える上で、少しでも参考になれば幸いです。
年間見込売上高5,000万円の「飲食店」の場合
飲食店の場合、通常の施設賠償責任保険の補償だけでは十分とは言えません。
熱い料理や飲み物によるやけどや、食中毒のリスクがあるため、特約に加入し補償内容を充実させる必要があります。
そのため、年間保険料は14,100円となり、売上規模から見ると比較的高めの設定になります。
具体的な補償内容は以下のとおりです。
補償内容 | 支払限度額 | 免責金額(自己負担額) |
---|---|---|
身体障害(1名につき) | 1億円 | 1,000円 |
身体障害(1事故につき) | 2億円 | 1,000円 |
財物損壊(1事故につき) | 1,000万円 | 1,000円 |
このように、飲食店特有のリスクに対応した補償内容となっており、事故発生時の高額な賠償請求にも対応できるようになっています。
年間見込売上高3億円の「小売店」の場合
今回は年間見込売上が3億円の小売店の例です。
先ほどの飲食店と比べて売上規模は6倍ですが、施設賠償責任保険の年間保険料は年間約10,600円と比較的低めです。
小売店では飲食店と比べて、熱い飲食物の提供がなく、食中毒のリスクがないことなどが理由として挙げられます。
具体的な補償内容は以下のとおりです。
補償内容 | 支払限度額 | 免責金額(自己負担額) |
---|---|---|
人のケガ(1名につき) | 5,000万円 | 5,000円 |
人のケガ(1事故につき) | 3億円 | 5,000円 |
物の損害(1事故につき) | 3,000万円 | 5,000円 |
このように、飲食店とは違い必要な特約が少なく済むため、保険料相場は控えめになっています。
保険料相場は1万円~1万5千円程度
これらのケースから考えるに、施設賠償責任保険の保険料相場は、一般的に1万円~1万5千円程度になると考えられます。
もちろん、これらはあくまで目安に過ぎず、実際の保険料相場は状況によって大きく変わる可能性があります。
実際の保険料は、業態や規模、補償金額の上限、契約期間、追加する特約の種類などから総合的に決まるからです。
実際の保険料を知るためには、施設賠償責任保険を取り扱う保険会社に見積もりを依頼し、確認するとよいでしょう。
参照 施設所有(管理)者賠償責任保険・昇降機賠償責任保険 | 三井住友海上
https://www.ms-ins.com/pdf/business/indemnity/shisetsu.pdf
保険料が支払い対象となる事例
施設賠償責任保険に加入すると、以下の2点が補償対象になります。
- 施設や設備の不備が原因の事故
- 仕事中のミスによる事故
それぞれについて、詳しく確認してきましょう。
施設の管理不備による賠償責任事故
施設賠償責任保険は、建物や設備の安全管理が不十分だったために、起きた事故による損害賠償を補償します。
具体的な事例は以下のとおりです。
- 非常口の表示灯が故障し、火災時に利用者が避難できずケガをした。
- 店舗看板の点検を怠った結果、看板が落下して通行人がケガをした。
- 工場設備の不具合が原因で爆発が起こり、近隣に被害が及んだ。
これらはすべて施設の管理責任が不十分だったために起こった事故なので、賠償責任が問われます。
そのため、施設賠償責任保険による補償対象となります。
業務中の過失による賠償責任事故
施設賠償責任保険では、従業員が仕事中に起こした事故の賠償も対象になります。
業務中によく起こる事例には以下のようなものがあります。
- 商品配達中の自転車で歩行者と接触し、ケガをさせてしまったケース
- 展示会場での利用者の誘導ミスによって、利用者が転んでけがをしたケース
- 商品説明中に商品を落として、利用者の足を傷つけたケース
- 商品陳列作業中に棚が倒れて利用者にぶつかったケース
このように、従業員の業務中の過失によって利用者に損害を与えた場合も、施設賠償責任保険の補償対象です。
参照 施設所有(管理)者賠償責任保険・昇降機賠償責任保険 | 三井住友海上
https://www.ms-ins.com/pdf/business/indemnity/shisetsu.pdf
保険料が支払い対象とならない事例
施設賠償責任保険では場合によっては、事故で利用者がケガをしたり持ち物が壊れたりしても、保険金が支払われないことがあります。
どのような状況だと支払い対象から外れるのでしょうか?
ここでは施設賠償責任保険の支払い対象にならない事例を見ていきましょう。
故意または重大な過失による損害
施設の運営者が意図的に起こした事故は、施設賠償責任保険の補償対象外となります。
例えば、来店客の持ち物をわざと壊した場合などが当たります。
また、重大な過失によって起きた事故も補償されません。
何か月も安全点検を実施しないなど、安全配慮義務を怠ったことによる事故が当てはまります。
施設賠償責任保険に加入しているからといって、施設の安全確認を怠ると、万が一事故が起きた際に大きな負担を負う可能性があります。
自然災害や戦争などの不可抗力による損害
地震や台風、大雨による洪水などの自然災害は、保険金支払いの対象外です。
被害が広範囲に及ぶため、一般的な賠償責任保険では対応できません。
また、戦争やテロ行為、暴動などによる損害も同様の理由で補償されません。
保険の対象外となる特定の状況や行為に起因する損害
施設で預かった荷物の破損や、施設内で働くアルバイトスタッフの業務中のケガは補償されません。
また、医療行為やマッサージなどの専門的なサービスによる事故も、通常の施設賠償保険では対応できません。
このような事故やケガに備えるためには、それぞれの状況に応じた専用の保険や特約への加入が必要です。
参照 施設所有(管理)者賠償責任保険・昇降機賠償責任保険 | 三井住友海上
https://www.ms-ins.com/pdf/business/indemnity/shisetsu.p
イベント主催者なら「レクリエーション保険」の特約で加入もOK
イベント主催者が施設賠償責任保険に加入する場合、レクリエーション保険の特約として加入する方法があります。
レクリエーション保険の特約として加入すれば、傷害保険と賠償責任保険の両方をカバーでき、手軽にイベントでの事故や病気に対応しやすくなります。
また、施設賠償責任保険は通常年間契約のため、保険料が割高になる傾向があり、単発のイベントには適していません。
一方、レクリエーション保険の特約であれば1日から加入できるため、保険料が割安で済み、単発イベントにも活用しやすいです。
ただし、どのレクリエーション保険でも施設賠償責任保険を付帯できるわけではありません。
そのため、必要な場合は、賠償責任保険を付帯できるレクリエーション保険を選んで加入すると良いでしょう。
レクリエーション災害補償パンフ | 東京海上日動
https://tcon.tokiomarine-nichido.co.jp/iportal/CatalogDetail.tcon?method=initial_screen&volumeID=TKN12001&categoryID=1&catalogID=1321340000&type=mc&position=282&sortKey=CatalogMain70000&sortOrder=ASC
記事のまとめ
この記事では、施設賠償責任保険の基本的な仕組みと保険料相場について詳しく解説してきました。
施設賠償責任保険は、イベント開催時の事故や施設の管理不備による賠償責任に備えるための保険です。
年間保険料の相場は、施設の種類や規模によって異なります。中規模程度の飲食店や小売店などの場合、保険料の相場は年間1万円から1万5千円程度です。
店舗や施設を活用したイベントを開催する場合、これらの保険料を参考にすると保険料の目安を予想しやすくなるでしょう。
また、イベントを主催する方は、レクリエーション保険の特約として施設賠償責任保険に加入することも可能です。
年間契約が基本の施設賠償責任保険とは違い、レクリエーション保険は1日から加入できるので費用を抑えた加入が可能です。
イベントの内容や規模によっては、レクリエーション保険に加入し、特約として施設賠償責任保険を検討するのも良いでしょう。
この記事を参考に、イベントの規模や開催期間にあわせて、適切な保険を選び活用していただければ幸いです。