近年、コンサートやスポーツ大会等のイベントをストリーミング配信で実施するケースが増えています。
この記事では、オンラインイベントの開催で想定される主なリスクと、リスク対策として活用したい「イベント保険」の概要を解説します。
オンラインイベントにおける事故や費用を補償できるおすすめのイベント保険も紹介しているので、ストリーミング配信でのイベント開催を予定している方はぜひ参考にしてみてください。
オンラインイベントの中止や延期はイベント保険で補償できる?
まずは、オンラインイベントの開催時に想定されるリスクと、イベント保険におけるオンラインイベントの取り扱いについて詳しく見ていきましょう。
新型コロナウイルス感染拡大によりオンラインイベント・行事が増加
新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、コンサートやスポーツ大会等のイベントをオンライン開催に移行するケースが増えました。
オンライン開催にすることで新型コロナウイルスの感染リスクを防げる一方、以下のような理由から開催が中止・延期となるリスクも持ち合わせています。
想定されるリスク
- 悪天候や火災等の偶然な事由により会場が使用不能となる
- システムの不具合や未着により配信不能となる 等
また、上記の理由により視聴料の返金や別日程での代替開催が必要となれば、主催者側は大きな損失を被ります。
こうした損失を補償するために役立つのが、次に紹介する「イベント保険」です。
オンラインイベントの中止・延期に伴う損害を補償するには
イベント保険とは、団体行事やイベントの開催に伴う様々なリスクをカバーするための保険商品を指します。
イベント保険の主な種類と補償内容を見てみましょう。
種類 | 概要 | 補償内容 |
---|---|---|
傷害保険 | 観客が将棋倒しになる等、イベント中にケガ・死亡事故が生じた場合の損害を補償するイベント保険 | 死亡保険金・後遺障害保険金・入院保険金・通院保険金・手術保険金 |
施設賠償責任保険 | 設営していたテントが倒れてケガ人が出た場合等、主催者側の不備で参加者が被害を被った・モノを破損させた場合の損害を補償するイベント保険 | 被害者に対する損害賠償金、訴訟費用、損害防止軽減費用、協力費用 |
興行中止保険 | 悪天候や出演者の都合によってイベントそのものが中止となった際の損害を補償するイベント保険 | イベントの準備にかかった費用、中止に伴い生じた追加費用 |
動産総合保険 | 展示品の焼失や運搬中の破損等、イベントに使用する展示品・機器が破損した場合の損害を補償するイベント保険 | 損害保険金、臨時費用保険金、残存物取片付け費用保険金、権利保全費用 |
上記のうち、イベントの開催中止や延期に伴う損害を補償するためのイベント保険が「興行中止保険」です。
ただし、一般的な興行中止保険はオフラインイベントを対象としており、オンラインイベントに関しては補償を行っていないケースがほとんどです。
そのためイベント保険を契約する際は、オンラインイベントが補償範囲に含まれているかどうかを事前に確認する必要があります。
MS&ADインシュアランスグループ【ストリーミングイベント中止保険】
オンラインイベントの中止や延期に伴う損害を補償するためのイベント保険として、MS&ADインシュアランスグループ(三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保)が販売する「ストリーミングイベント中止保険」が挙げられます。
続いて、「ストリーミングイベント中止保険」の概要と、補償対象となるケース・ならないケースの違いについて詳しく見ていきましょう。
ストリーミングイベント中止保険の商品概略
ストリーミングイベント中止保険は、観客の有無に関わらず配信を行うイベントを対象としたイベント保険です。
不慮の事故や悪天候といったリスクに加え、配信トラブル等のオンライン開催ならではのリスクをカバーすることで、オンラインイベントにおける費用損害や利益喪失を補償します。
ストリーミング配信によって実施される劇団の定期公演やコンサート、スポーツイベント、観光ツアー等がイベント保険の対象となります。
保険金の支払い対象となる事故・費用
ストリーミングイベント中止保険で保険金の支払い対象となる事故・費用の種類は以下の通りです。
対象とする事由
- 悪天候(例:豪雨によってスポーツ大会が開催不能となった)
- 会場の使用不能(例:公演予定だった会場が火災で焼失し、利用不能となった)
- 機材の未着(配信に必要な機材が到着せず、開催不能となった)
- サイバー攻撃の結果、火災または破裂・爆発によって生じた損害
- ソフトウェア・電子データの損害、書換え、消失または流出
- コンピューターシステムへのアクセス制限
- コンピューターシステムの機能停止、誤作動、不具合 等
対象とする影響・事故
- 中止:オンラインイベントが期日および予備日に開催されないこと
- 延期:オンラインイベントが期日に中止され、追加費用を要して予備日に延期されること
なおイベント会場に観客を動員するケースで、配信のみが中止となった場合も補償の対象となります。
また予備日をあらかじめ設定しておらず、イベントが中止となった後で代替開催を決定した場合でも補償を受けられます。
対象とする費用
ストリーミングイベント中止保険の補償対象となる費用・喪失利益の主な種類は以下の通りです。
- 会場・用具類の貸借料
- 会場設営費
- 参加者用粗品代
- 宣伝・広告費
- アルバイトの交通費・宿泊費
- 中止の際に払い戻す前売チケット代・配信視聴料
- 中止の際の払戻し手数料 等
なお以下の費用についてはイベント保険でカバーすることができないので注意しましょう。
- 保険契約の保険料や主催者側の人件費
- 再利用価値のあるもの・換金性の高いもの(例:優勝賞品として購入した自転車)
- オンラインイベントに使用する目的で制作した動画の費用 等
保険金を支払いできないケース
イベント保険に加入している場合でも、以下に該当する場合は保険金の支払いを受けることができません。
- イベント関係者の故意、重過失または法令違反
- イベント関係者の解散・破産・資金不足
- 売上不足・顧客不足等
- イベント関係者の犯罪行為・闘争行為・逮捕・出入国拒否、・権力の行使
- 被保険者が常時使用または管理する施設の滅失・損傷または汚損
- 政変・国交断絶・国家的服喪・経済恐慌・物価騰貴・外国為替市場の混乱・通貨不安等
- 戦争・暴動・地震・噴火・津波等
- ストリーミング配信を行うシステムの冗長化(予備システムの準備)を行っていない場合
- 事前にストリーミング配信の接続テストを実施していない場合
また以下の理由によって出演者の登壇が不能となった場合も補償適用の対象外となります。
- 保険契約の締結前にすでに被っていた身体障害による出演不能
- 既住1年以内に治療を受けたことがある身体障害の再発
- 麻薬その他服用が禁止されている薬物や興奮剤の服用
- 飲酒・気まぐれ・自傷・自殺・闘争行為による身体障害
- 妊娠・出産・流産・早産・生理またはこれらの事由に起因する疾病 等
オンラインイベントで利用したい便利なイベント保険まとめ
- オンラインイベントを開催する際は、悪天候・火災等による会場の使用不能や、システムの不具合・未着等による配信不能といったリスクへの備えが必要
- 従来のイベント保険(興行中止保険)では、オンラインイベントを補償対象外としているケースがほとんど
- オンラインイベントの中止・延期に備えるなら「ストリーミングイベント中止保険」がおすすめ
MS&ADインシュアランスグループ(三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保)では、ストリーミングイベント中止保険の他にも様々なイベント保険・プランを取り扱っています。
イベント開催における様々なリスクをカバーできる内容となっているので、イベント主催者・責任者に方はぜひ加入を検討してみてください。