行事中に生じた参加者の事故やケガを補償するための仕組みとして、イベント保険という商品があります。
この記事では、イベント保険の概要と加入メリット、主な補償内容等を解説します。
その他の行事用保険との比較や使い分けもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
イベント保険とは?
まずは、イベント保険の概要と対象となる行事の内容、また加入するメリットについて詳しく見ていきましょう。
イベント保険の概要・対象行事
イベント保険とは、主催イベントの開催中に生じた参加者のケガや、機材設備の破損にかかった賠償金等を補償するための商品のことです。
補償対象となる主な行事・レクリエーションの内容は以下の通りです。
お祭り | お神輿・山車、花火大会、盆踊り、会社の記念パレード、桜まつり、ひな祭り、正月行事 など |
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文化的行事 | 演劇、ピアノ発表会・コンサート・学園祭・体育大会 など |
式典行事 | 成人式、町おこしイベント、自治体の防災訓練 など |
催事 | 物産展、展示会、振興会、会社のプロモーションイベント、フードマーケット、骨董市 など |
スポーツイベント | 野球、サッカー、陸上競技、バレーボール、テニス など |
その他 | 海水浴、キャンプ、ボーイスカウト活動 など |
一部の危険度の高いアクティビティ(例:スキューバダイビング)を除いて、ほぼ全ての行事で加入することができます。
主催者・責任者が加入しておくメリット
イベント保険に加入するメリットとして、以下のような点が挙げられます。
- 行事・レクリエーション中に参加者や出演者がケガをした場合や、損害に対する費用負担を軽減できる
- 特約を追加することで幅広い内容の補償を受けられる
- 1日単位で加入でき、費用も1人あたり数十円~数百円と安い
また近年ではインターネットから契約申し込みを行えるケースも増えており、窓口等へ足を運ばなくても簡単に加入できるといった点もメリットの1つと言えるでしょう。
イベント保険の主な補償内容をチェック
イベント保険を構成する主な補償の内容は以下の通りです。
- 傷害保険
- 興行中止保険
- 施設賠償責任保険
- 動産総合保険
上記の保険が複数組み合わさっている場合もあれば、単一の商品をイベント保険としている場合もあり、その内容は販売会社によって様々です。
加入する際は、必要な補償内容がしっかり含まれていることを事前に確認するようにしましょう。
以下で、それぞれの補償内容の詳細を解説していきます。
傷害保険
行事中に生じた参加者の事故やケガに対して支払う金額を補償する商品で、主な補償内容は以下の通りです。
死亡保険金 | 補償期間中の事故によるケガで死亡した場合に支払われるもの |
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後遺障害保険金 | 補償期間中の事故によるケガで所定の後遺障害が発生した場合に支払われるもの |
入院保険金 | 補償期間中の事故によるケガで入院した場合に支払われるもの |
手術保険金 | 補償期間中の事故によるケガで手術を受けた場合に支払われるもの |
通院保険金 | 補償期間中の事故によるケガで通院した場合に支払われるもの |
興行中止保険
出演者の体調不良や天候等の事情によりイベントそのものが中止となった場合に生じた損害を補償する商品で、主な補償内容は以下の通りです。
中止費用 | イベントの準備にかかった費用 |
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追加費用 | イベントの延期または中止に伴い、追加で生じた費用 |
施設賠償責任保険
設営したテントの倒壊等が原因で参加者への傷害や機材への損害を与えてしまった場合に、その参加者や機材の所有者に対して支払う金額を補償します。
施設賠償責任保険の主な補償内容は以下の通りです。
損害賠償金 | 民事上の損害賠償責任に基づき、損害賠償請求権者に対して支払うべき治療費や慰謝料、修理費用などを補償する |
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争訟費用 | 当該の損害賠償事案に関連する訴訟費用や弁護士報酬等の費用を補償する |
損害防止費用 | 事故が発生した際に、損害の発生および拡大防止のために生じた費用を補償する |
協力費用 | 事故の解決に向けた引受保険会社への協力に必要となる費用を補償する |
動産総合保険
イベントで使用する展示品や機材が紛失・破損してしまった場合に、その損害金額を補償するための保険で、主な補償内容は以下の通りです。
損害保険金 | 損害賠償請求権者に対して支払うべき修理費用などをまかなうための保険金 |
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損害防止費用 | 損害の拡大防止や被害軽減のために生じた費用を補償する |
権利保全行使費用 | 発生した事故に関する賠償責任を第三者に請求できる場合、その権利の保全もしくは行使のために必要となる費用を補償する |
臨時費用保険金 | 損害賠償に伴う諸費用(移動費など)が生じた場合に、損害保険金とは別に支払われる保険金 |
残存物取片付け費用保険金 | 破損した展示品や機材の片付け・処分にかかった費用をまかなうための保険金 |
合わせて加入できる特約
上記の補償内容の他、保険会社によっては以下のような特約を付加できる場合があります。
- 熱中症危険特約
- 細菌性食中毒およびウイルス性食中毒補償特約
- 天災危険補償特約 等
夏に開催される野外イベント等においては熱中症や食中毒、悪天候によるイベント中止といったリスクが予測されるため、これらの特約を付けられるイベント商品を選ぶようにすると安心です。
行事内容・規模に合わせた保険の選び方
行事中に生じた事故やケガの費用負担を補償内容とする商品はイベント保険以外にも存在します。
ここからは、行事開催・参加に備えて加入できる主な商品の内容とそれぞれの使い分けについて見ていきましょう。
レクリエーション保険
主催イベントの開催中に生じた参加者のケガを補償できる商品のことです。
イベント保険に含まれる傷害保険と同様の補償内容となっており、ケガの補償のみ行いたい場合に役立ちます。
なおレクリエーション保険の場合、加入条件として以下のような項目が設けられているケースが多いため注意しましょう。
- 日帰りの行事・レクリエーションであること(宿泊を伴うものは不可)
- 1日あたりの参加者が20名以上いること
- 参加者の名簿を事前に提出できること
国内旅行傷害保険
国内旅行中に生じた事故・ケガに対する費用補償を受けられる商品のことです。
補償期間は1日~1ヶ月の間で任意に設定でき、傷害・賠償責任・携行品損害・救援者費用等を一定額補償します。
国内旅行傷害保険は本来旅行用の商品ですが、レジャーや行事・レクリエーションの際にも利用できます。
人数の制限等もないため、個人や家族単位でケガに備えたいという場合におすすめです。
レジャー保険
個人単位で加入できる傷害保険で、行事中の事故やケガに対する費用補償を受けられます。
最近ではコンビニの機械から加入手続きを行える「1DAYレジャー保険」等のミニ保険も販売されています。
対象となるイベントの内容が限られる場合もありますが、手軽で費用も安いため、参加者が自主的に加入する場合はこちらを利用するのもおすすめです。
それぞれの保険の違いと使い分け
ここまで紹介した各保険のメリット・デメリットをまとめると以下のような内容になります。
メリット | デメリット | |
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イベント保険 | 対象となるイベントの種類が多い・小規模~大規模まで幅広く対応 | 当日の加入は原則不可 |
レクリエーション保険 | 傷害保険を安く利用できる | 当日の加入は原則不可・20名以下の行事では適用できない |
国内旅行傷害保険 | 当日加入できる商品もある・個人利用可能 | 日帰りイベントの場合は保険料がやや割高 |
レジャー保険 | 当日加入できる商品もある・個人利用可能 | 対象となるイベントが限られる |
行事用の保険を利用する際は、上記のメリット・デメリットを踏まえ、以下のように使い分けると良いでしょう。
- コンサートやお祭り等、不特定多数の参加者が集まる大規模な内容のイベントを主催する……イベント保険(主催者が加入)
- 町内のスポーツ大会等、参加者が明確な中規模イベントを主催する……レクリエーション保険(主催者が加入)
- 宿泊を伴う内容のイベントを主催する……国内旅行傷害保険(参加者側へ加入を依頼)
- 参加者が20人に満たない小規模イベントを主催する……レジャー保険(参加者側へ加入を依頼)
まとめ
- イベント保険は行事中の事故やケガを補償するための商品
- 傷害保険の他、イベントの中止や機材の破損・盗難等に対する補償内容が含まれる
- イベントの規模が小さい場合は、レクリエーション保険やレジャー保険の活用もおすすめ
イベント保険は補償内容が充実しており、費用も1日1人あたり数十円〜数百円程度と安いため、主催者・責任者の方はぜひ加入しておきたい保険だと言えるでしょう。
またイベントやレクリエーション行事の内容、規模によっては、レクリエーション保険や国内旅行傷害保険、レジャー保険などイベント保険以外への加入が最適な場合があります。
シチュエーションに合わせて、加入する保険を検討してみてください。