行事の最中に障害や損害を伴う事故が発生した際に補償を受けられる「イベント保険」。
行事で事故が起きると主催者の責任を問われて多額の賠償金を請求される恐れもあるため、主催者は自分自身を守るためにもイベント保険に加入しておくことが重要です。
しかし、イベント保険は誰が被保険者になるのか、どんなときに被保険者が補償を受けられるのかなど、イベント保険について疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
この記事ではイベント保険の被保険者や補償内容について詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事は、下記のような方におすすめです。
こんな方におすすめ!
- イベント保険は誰が被保険者になるのかわからない方
- 行事の前にイベント保険の補償内容や被保険者を確認したい方
- イベント保険に加入するか悩んでいる方
イベント保険とは
イベント保険とは、行事の最中に傷害や損害を伴う事故が発生した場合に補償を受けられる保険です。
イベントの最中に事故が発生すると、主催者の責任を問われて多額の賠償金を請求される可能性があるため、主催者を守るために用意されています。
基本的に危険度の高いアクティビティ以外は加入でき、イベント保険は式典・スポーツイベント・レジャーなど様々な行事に対応しているのが特徴です。
それぞれの被保険者や補償内容をチェック
イベント保険には、以下の4つの保険があります。
保険の種類
- 施設賠償責任保険
- 傷害保険
- 動産総合保険
- 興行中止保険
上記4つのイベント保険はそれぞれ対応できるケースや補償内容が異なり、開催するイベント内容・想定できるリスク・被保険者に合わせて選んで契約する仕組みです。
ここからは、4つのイベント保険の補償内容や被保険者について詳しく解説していきます。
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険とは、施設の管理不足が原因で事故が発生した際に補償を受けられるイベント保険です。
例えば、運営側が管理できておらず、建てたテントが倒れて参加者が下敷きになってけが人が出た場合に、施設賠償責任保険を契約していると補償を受けられます。
補償内容
イベント保険の施設賠償責任保険の補償内容を、以下の表にまとめました。
施設賠償責任保険の補償 | 補償内容 |
---|---|
損害賠償金 | 施設の管理不足による事故の被害者に支払われる賠償金 |
争訟費用 | 弁護士への報酬など損害賠償についての訴訟を起こす際に必要な費用を補償 |
損害防止費用 | 施設の管理不足による事故の被害拡大を防ぐためにかかった費用を補償 |
協力費用 | 施設の管理不足による事故を解決するために主催者が保険会社に協力するための費用を補償 |
また、イベント保険の施設賠償責任保険には以下のような特約を付帯することで被保険者の補償範囲を広げることも可能です。
特約の種類 | 補償内容 |
---|---|
漏水担保特約 | 給排水等からの蒸気や水の漏れによって他人の財物を損壊させた際に被保険者が法律上の賠償責任を負う場合に支払われる補償 |
管理財物担保特約 | 一時的に使用および管理した他人の財物を破損した際に被保険者が法律上の賠償責任を負う場合に支払われる補償 |
見舞費用担保特約 | 施設の管理不備による事故での被害者に、慣習として支払う弔慰金・見舞金を保険会社の同意の上で行う場合に支払われる補償 |
被保険者
イベント保険の施設賠償責任保険は、参加者・第三者・主催者側のスタッフを問わず施設の管理不足による事故の被害者であれば被保険者となります。
例えば、管理不備によってテントが倒れ下敷きになってけが人が出た場合、参加者だけでなくスタッフも補償を受けることが可能です。
しかし、被保険者の同居の親族に対する賠償責任には対応しておらず、あくまで被害を受けた本人のみ被保険者となるため注意しましょう。
補償対象外となるケース
イベント保険の施設賠償責任保険は、以下のようなケースは被保険者であっても補償対象外となります。
- 建物外部から内部に雨や雪などの侵入による事故
- 施設の新築・修理・改造・取り壊し等による事故
- 給排水管やスプリンクラーからの漏れによる事故
- 主催者や被保険者の故意による事故
施設賠償責任保険は「主催者の管理不足による施設の事故」が補償対象となり、上記のようなケースは当てはまらないため補償対象外となります。
施設の管理不足による事故が心配な場合は、あらかじめ補償対象外となるケースを確認してから契約しましょう。
傷害保険
傷害保険とは、行事の最中に事故が発生した際に補償を受けられるイベント保険です。
例えば、スポーツイベントで参加者が競技中にケガをした場合や、花火大会での混雑で将棋倒しが起きてけが人が出た場合などに、傷害保険を契約していると被保険者は補償を受けられます。
行事では想定できないような事故が発生してけが人が出ることもありますが、傷害保険に加入すると被保険者を守れます。
補償内容
イベント保険の傷害保険の補償内容は、以下の通りです。
傷害保険の補償 | 補償内容 |
---|---|
死亡保険金 | 行事中の事故で被害者が死亡した場合の保険金 |
通院保険金 | 行事中の事故で被害者が通院することになった場合の保険金 |
入院保険金 | 行事中の事故で被害者が入院することになった場合の保険金 |
手術保険金 | 行事中の事故で被害者が手術を受けることになった場合の保険金 |
後遺障害保険金 | 行事中の事故で被害者に後遺症が残った場合の保険金 |
また、以下のような特約を付帯することで被保険者の補償範囲を広げることも可能です。
特約の種類 | 補償内容 |
---|---|
被害者治療費等 補償特約 |
事故の被害者への治療費・葬祭費用・見舞金に充てる費用を補償 |
飲食物危険補償特約 | イベントで提供する飲食物によって身体障害を与えたとき主催者が被る損害賠償責任を負担する場合に支払われる補償 |
特約の内容は保険会社によって異なるため、あらかじめ契約前に確認しましょう。
被保険者
イベント保険の傷害保険は、イベントの参加者だけでなく第三者や主催者側のスタッフも被保険者となります。
例えば、スポーツ大会の競技中に参加者がけがをした場合だけでなく、観戦に来ていた第三者がけがをした場合や、イベント会場での混雑で将棋倒しが起きてスタッフが巻き込まれた場合でも対応可能。
被保険者である参加者・観戦に来ていた第三者・スタッフが補償対象となるイベント保険です。
イベントの主催者は、被保険者である行事の参加者や第三者はもちろん、スタッフを守るためにもイベント保険の傷害保険の契約を検討しましょう。
補償対象外となるケース
イベント保険の傷害保険は、被保険者であってもイベント会場までの道中や帰り道で発生した事故は対象外となります。
傷害保険はあくまでも「イベントの最中での事故」に対応している保険のため、イベント会場までの往復の道中で被保険者が事故にあってけがをしても補償されません。
また、イベント保険は危険度の高いアクティビティは対応しておらず加入できません。
しかし、スキューバダイビングなど危険度の高いアクティビティこそ事故が発生する可能性も高くリスクも大きいため、主催者は被保険者のためにもイベント保険以外の保険への加入を検討しましょう。
動産総合保険
動産総合保険とは、不動産以外の財産(動産)の破損や紛失など損害があった際に補償を受けられるイベント保険です。
イベントで使用する機材を運搬中に破損してしまっても、動産総合保険を契約していると補償を受けられます。
補償内容
イベント保険の動産総合保険の補償内容を、以下の表にまとめました。
動産総合保険の補償 | 補償内容 |
---|---|
損害保険金 | 動産の損害賠償のための保険金 |
臨時費用保険金 | 動産の賠償によって臨時で費用が発生した際に支払われる保険金 |
残存物取片付け費用 保険金 |
動産が破損した際の残存物を片付けるために発生した費用に充てる保険金 |
損害防止費用 | 破損など動産の損害による被害を軽減するために発生した費用を補償 |
権利保全行使費用 | 動産の損害で第三者に損害賠償を請求する場合に請求権の保全や行使に充てる費用を補償 |
さらに以下のような特約を付帯して契約すると、被保険者の補償対象を広げられます。
特約の種類 | 補償内容 |
---|---|
免責金額特約 | 事故1回で発生した損害額が免責金額を超える場合に超過額に対して支払われる補償 |
新価保険特約 | 減価割合が5割以下の場合に、損害発生から2年以内に保険対象と同一用途のものを復旧した場合に支払われる補償 |
特に高額の動産を取り扱う場合は損害賠償金も高額になる可能性が高いため、特約の契約も検討しましょう。
被保険者
イベント保険の動産総合保険の被保険者は、主催者です。
例えば、音響機材を運搬中に落として破損した場合、損害賠償や片付けのための費用、被害を軽減するために発生した費用等が保険会社から支払われます。
補償対象外となるケース
イベント保険の動産総合保険は、被保険者であっても以下のようなケースは補償対象外となるので注意しましょう。
- 自動車・船舶・航空機の損害
- 組み立て中の機械や設備の損害
上記のような損害は動産であっても補償対象外となるため、自動車保険などそれの対象を専門とする保険に加入することをおすすめします。
興行中止保険
興行中止保険とは、イベントを中止もしくは延期する際に補償を受けられるイベント保険です。
例えば、雨天で花火大会やスポーツイベントをやむを得ず中止することになった場合でも、興行中止保険を契約していると補償を受けられます。
特に天候に振り回されやすい屋外でのイベントは、興行中止保険に加入しておくと安心です。
補償内容
イベント保険の興行中止保険の補償内容は、以下の通りです。
興行中止保険の補償 | 補償内容 |
---|---|
中止費用 | イベントを中止にした際に開催に向けて準備のために発生した費用を補償 |
追加費用 | イベントを中止もしくは延期にする際に追加で発生した費用を補償 |
被保険者
イベント保険の興行保険は、主催者が被保険者となります。
例えば、雨天によって花火大会をやむを得ず中止することになった際、会場使用料・会場設営費・広告宣伝費・スタッフ交通費・アルバイト雇用費などが主催者に支払われます。
チケットをすでに販売していたイベントの場合は、チケット払い戻し手数料も補償対象となるイベント保険です。
補償対象外となるケース
イベント保険の興行中止保険は、被保険者であっても以下のようなケースは補償対象外となります。
- イベント関係者の故意・重過失・法令違反による中止や延期
- イベント関係者の解散・破産・資金不足による中止や延期
- チケットの売り上げ不足やスポンサー不足による中止や延期
- 地震・噴火・津波などによる中止や延期
イベント関係者都合の中止や延期だけでなく、地震や津波など自然災害による中止や延期も補償対象外となるので要注意。
なお、保険会社によっては地震発生による中止や延期を補償する特約も用意されているため、不安な場合は契約することをおすすめします。
記事まとめ
今回は、イベント保険の被保険者や補償内容について詳しく解説しました。
基本的にイベント保険は参加者・第三者・主催者が被保険者となりますが、被保険者であっても補償対象外になるケースもあるので要注意。
イベント保険に契約する前には、補償内容・被保険者・被保険者でも補償対象外になるケースを必ず確認することをおすすめします。
主催者が自分自身を守るのはもちろん、被保険者となる参加者を守るためにも、この記事を参考にイベント保険への加入を検討しましょう。