サイクリングなどの自転車関係の行事を開催する際は、万が一の事故が気になりますよね。
この場合はイベントの主催者として、あらかじめイベント保険やレクリエーション保険に加入しておくと安心です。
しかし、保険を利用したことがないとどちらの保険に申込めばいいのかわからずに困ってしまうケースもめずらしくありません。
そこで本記事では、自転車関係の行事で役立つイベント保険とレクリエーション保険の違いを解説します。それぞれ実際に販売されているおすすめの保険を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
イベント保険とは
イベント保険は、行事・イベント中に発生する損害や賠償費用を補償する保険です。自転車を使って楽しむサイクリングの他、展示会やお祭りなどの行事・イベントを対象にしています。
保険の種類ごとに補償内容が異なるので、この章で確認しましょう。合わせてイベント保険の一般的な加入条件もチェックしていきます。
イベント保険の種類と主な補償内容
イベント保険の基本の補償内容は、傷害保険の範囲です。その他にも、損害賠償責任保険、興行中止保険、動産総合保険などもカバーしていることがあります。
ここで、イベント保険の種類とその補償内容を確認しておきましょう。
傷害保険の補償内容
行事・イベントの参加者や観客が事故によってケガを負った際に補償が適用されます。
具体的には次のような補償が得られます。
- 死亡保険金
- 後遺障害保険金
- 入院保険金
- 手術保険金
- 通院保険金
各保険金額は契約プランによって異なり、それによって保険料も変わってくるので万が一何かあった場合に必要な補償金額を考えたうえで、適切な傷害保険に加入することが大切です。
施設賠償責任保険の補償内容
施設賠償責任保険は自転車など用いた行事中に、施設が原因となって傷害・損害が発生した場合に補償が適用される保険です。
例えば、サイクリングの休憩地点に設置されたテントが倒れてしまい、周囲の人がケガしたり、自転車が壊れたりした場合に施設賠償責任保険が役立ちます。
施設賠償責任保険の補償が適用される損害費用としては、次のようなものがあります。
- 訴訟費用
- 損害防止軽減費用
- 協力費用
- 対被害者の損害賠償金
興行中止保険の補償内容
興行中止保険とは、自転車に関連するスポーツ大会などが悪天候のため中止を余儀なくされたり、ライブに出演する予定だったアーティストが感染病になりイベントをキャンセルすることになったりした場合に補償が適用される保険です。
こうした行事が中止になった場合、開催元が受ける損害は大きいケースもめずらしくありません。
しかし、興行中止保険にあらかじめ加入しておくことで行事の中止で発生する損害を補償してもらえるので安心です。
興行中止保険で補償される主な損害費用は以下のとおりです。
- 中止費用
- 追加費用
動産総合保険の補償内容
動産総合保険は、イベント用の展示品や器材などが破損・紛失した場合に補償が適用されます。
自転車のニューモデルを展示するイベントなどを開催する場合は、動産総合保険に加入しておくといいかもしれません。
自転車関連の行事で役立つ動産総合保険の補償内容としては、次のようなものがあります。
- 損害保険金
- 残存物取片付け費用保険金
- 臨時費用保険金
- 損害拡大防止費用
- 権利保全費用
イベント保険の加入条件・対象
イベント保険の加入条件は、保険会社によって異なります。
このため、具体的な内容まで知りたい場合は、各保険会社のホームページや加入を検討しているイベント保険の資料などを確認する必要があります。
ここでは、実際に販売されているイベント保険の加入条件を例として紹介ます。
グッド保険サービス「イベント賠償責任保険・興行中止保険」
グッド保険サービスのイベント賠償責任保険を利用するためには、自転車関係のイベントを開催する7日前までに問い合わせが必要です。
7日を過ぎると手続きが間に合わず、補償が適用されない可能性があるので注意してください。
また興行中止保険は開催日の1カ月前までに問い合わせないければいけません。早めに契約手続きを進めていく必要があるため、スケジュールに余裕を持って加入を検討するようにしましょう。
出典:イベント賠償責任保険(レクリエーション賠償保険)のご案内
JA共済「イベント共済」
JA共済ではイベント保険の補償範囲に対応したイベント共済が販売されています。
イベント共済はイベント傷害共済とイベント賠償責任共済の2つに分かれていて、セットもしくは単独で契約可能です。
ただし保険ではなく共済であるため、正組合員か准組合員になるか、員外利用をする必要があります。
准組合員になるにはJAの共同組合運動に賛同し、出資金を支払わなければいけません。
員外利用であれば出資金はいりませんが、利用高が組合員の2割までに制限されるため注意してください。
出典:イベント共済, JA共済の特長やご加入条件に関する質問「Q2. JA共済には誰でも加入できますか?」
行事の規模が小さい場合や、傷害への補償のみが必要な場合はレクリエーション保険がおすすめ
レクリエーション保険とは団体で行事・イベントなどの活動を行う場合に加入することで、保険期間中に発生する事故による傷害や損害を補償する保険です。
傷害への補償が基本となっており、イベント保険と比較してレクリエーション保険の方が小さな規模の行事を対象としていることがポイントです。
例えば町内会のクラブや会社の仲間などで開催する自転車のイベントは、レクリエーション保険に加入して万が一の補償を得ます。これに対して、自転車の展示会など参加者が不特定多数になる場合はイベント保険に加入しなければいけません。
イベント保険とレクリエーション保険のどちらに加入すべきか悩んでいるなら、開催予定の行事の規模感を考えてみましょう。
参加者の名前などを把握できる状態ならレクリエーション保険、参加者の個人情報を把握することが難しい状態ならイベント保険への申込みを検討するといいかもしれません。
判断に迷う場合は、保険会社に問い合わせて確認すると安心です。
レクリエーション保険(傷害保険・賠償責任保険)の補償内容
レクリエーション保険は傷害保険であるため、基本の補償内容は以下のとおりです。
- 死亡保険金
- 後遺障害保険金
- 入院保険金
- 通院保険金
- 手術保険金
また、レクリエーション保険のなかには傷害保険だけでなく、賠償責任保険を付帯できるものも存在します。この場合の補償内容は以下のとおりです。
- 損害賠償金
- 緊急措置費用
- 争訟費用
- 損害防止軽減費用
- 協力費用
自転車関係のイベントに第三者となる観客が来たり、万が一事故が発生した場合に相手から高額な争訟費用の支払いが必要であることが予想されたりする場合は、賠償責任保険への申込みもあわせて検討するようにしましょう。
高額な支払いを請求された場合でもしっかりサポートしてもらえます。
レクリエーション保険の加入条件・対象
レクリエーション保険は、行事に参加する人数の下限が設定されていることが多いです。
一般的には1日あたりの参加者が20名以上いる場合に加入できます。
ただし、参加者数のルールは保険会社によって異なります。
参加者が20名以下でも問題なく申込める場合もあれば、40名以上いなければ加入できないレクリエーション保険もあるため、あらかじめ保険会社の公式サイトや資料などで確認しておくことがポイントです。
自転車を使った行事開催時に利用したいおすすめの保険商品
自転車関係の行事を開催するときにおすすめのイベント保険、レクリエーション保険を紹介します。補償内容などをしっかり比較して加入する保険を決める際の参考にしてください。
おすすめのイベント保険の補償内容を紹介
おすすめのイベント保険1:三井住友海上「レジャー・サービス施設費用保険」
三井住友海上では「レジャー・サービス施設費用保険」という保険を販売しています。
レジャー・サービス施設費用保険に加入した場合に支払われる保険金の種類は以下のとおりです。
- 被災者対応費用:支払限度額=契約時に定める支払限度基礎額(50万円以上500万円以下)×被災者数
- 被災者傷害見舞金:死亡見舞費用(50万円)、後遺障害見舞費用(2万円~50万円)など
- 災害広告費用:加入者が負担した費用の額(支払限度額:100万円以上3,000万円以下)
上記は基本の補償内容で、必要に応じて特約をオプションとして付帯することができます。詳しくは公式サイトをご確認ください。
おすすめのイベント保険2:東京海上日動「興行中止保険」
東京海上日動が販売する「興行中止保険」はオーダーメイドの保険で、自転車を使ったスポーツ大会やコンサートなどさまざまなイベントを対象としています。
補償対象となる費用の例は以下のとおりです。
- 寄付金などの贈与にかかる費用
- 金利などの資金調達にかかる費用
- 身体障害を負った人に対する治療費用、慰謝料など
- 財物の損傷などを回復するための修理費用、再調達費用
東京海上日動の興行中止保険はこの他にもさまざまな費用を補償しているので、詳しくは公式サイトをご確認ください。
なお、東京海上日動では興行中止保険の他にも、傷害保険や施設賠償責任保険の引受けも行っています。
出典:興行中止保険
おすすめのレクリエーション保険の補償内容を紹介
おすすめのレクリエーション保険1:あいおいニッセイ同和損保「レクリエーション傷害保険」
あいおいニッセイ同和損保が販売する「レクリエーション傷害保険」は、1日あたりの平均参加者数が20名以上である場合に加入できます。
保険会社所定の支払事由を満たした場合、次のような保険金が支払われるので確認しておきましょう。
- 死亡保険金
- 後遺障害保険金
- 入院保険金
- 手術保険金
- 通院保険金
また、熱中症危険補償特約や食中毒補償特約の付帯も可能です。
保険料の支払いも口座振替だけでなく、クレジットカードでも大丈夫なので参加者が現金を集める手間を省けます。
この他、あいおいニッセイ同和損保では契約手続きをインターネットで完結できる「ネットで簡単!レクリエーション傷害保険」も販売しています。
24時間365日、ネットから契約申し込みが可能です。レクリエーション保険の契約のためにあまり時間が取れない場合は、ぜひこちらもチェックしてみてください。
出典:レクリェーション傷害保険
おすすめのレクリエーション保険2:損保ジャパン日本興亜「レクリエーション補償プラン」
損保ジャパン日本興亜が販売するレクリエーション保険「レクリエーション補償プラン」でも、サイクリングなどのレクリエーションを対象に補償が適用されます。
基本的な補償内容は以下のとおりです。
- 死亡保険金
- 後遺障害保険金
- 入院保険金
- 手術保険金
- 通院保険金
また上記の他、熱中症危険補償特約を付帯して補償の幅を広げることも可能です。
自転車の行事開催時はイベント保険やレクリエーション保険を活用しよう
自転車関係の行事を開催する際は、イベント保険やレクリエーション保険に加入しておくと万が一のことがあってもしっかり対応できます。
不特定多数の参加を見込んでいる比較的大きなイベントの場合はイベント保険、参加者の名簿が提出できる範囲の規模の小さなイベントを開催する場合はレクリエーション保険というように使い分けるようにしましょう。