スポーツ中の思わぬケガやトラブルに備える「スポーツ保険」。
学校や団体、個人で加入することも多く、安心のために複数の保険に入っているという方も少なくありません。
しかし、実はスポーツ保険の複数加入によって補償内容が重複し、無駄な保険料を支払ってしまっているケースがあるのをご存じでしょうか?
この記事では、「スポーツ保険の補償が重複した場合どうなるのか?」「保険金は両方から出るのか?」「損をしないための対策」について、わかりやすく解説します。
スポーツ保険は重複した補償でも両方から受け取れる?
では、スポーツ保険は重複した補償でも両方から受け取ることはできるのでしょうか。
【結論】受け取れるが、片方は差額のみなど条件付が多い
結論としては、重複していても実際の損害額までしか支払われません。
たとえば、スポーツ中に他人にケガをさせて治療費として10万円の賠償義務が発生した場合、複数の保険に加入していても、支払われるのは最大10万円まで、ということです。
この場合、どの保険が支払うかは保険会社の間で調整されます。
スポーツ保険で補償内容が被ってしまうケースとは?
スポーツ保険に限らず、保険に複数加入していると、同じような補償内容が重複してしまうことがあります。
とくにスポーツ保険は、学校やクラブ、団体などで自動的に加入しているケースも多いため、本人が気がつかないまま重複していることも珍しくありません。
学校・団体・個人契約など
スポーツ保険は、加入の経路がさまざまです。
とくに学校・団体・個人契約のようなケースでは、意図せず補償内容が重複してしまうことがあります。
こうした状況が重なると、「本人が知らないうちに、同じような補償内容の保険に3つも入っていた」ということも起こり得ます。
重複加入は必ずしも悪いわけではありませんが、補償の仕組みを理解しておかないと、無駄な保険料を払い続けてしまうリスクがあります。
学校で自動的に加入するスポーツ保険
小中高校では、部活動や体育の授業に備えて「災害共済給付制度」などに加入しているケースが多くあります。
保護者が個別に申し込まなくても、学校側でまとめて契約していることが一般的です。
スポーツ団体・クラブ経由の保険
地域のスポーツクラブや少年団、社会人のサークル活動では、スポーツ安全保険などをはじめとする団体保険に加入している場合があります。
これも、参加費に保険料が含まれているため、自覚なく加入していることもあります。
個人で契約している保険
万一に備えて、自分でスポーツ保険や傷害保険に加入している方も少なくありません。
とくにお子さんがいる家庭では、「学校だけでは不十分かも」と考えて、民間の保険に追加で加入しているケースが多いです。
特に傷害保険や賠償責任保険は重複する場合が多い
スポーツ保険に含まれる補償の中でも、傷害保険と賠償責任保険は、複数の保険に入っていることで補償が重複しやすいです。
特に、ケガのリスクが高いスポーツをしている方は、複数の保険を組み合わせることで補償が手厚くなります。
傷害保険(本人のケガへの補償)
スポーツ中に転倒してケガをした、ボールが当たって骨折したなど、本人のケガに対して補償するのが傷害保険です。
傷害保険とは、事故やケガによって入院・通院・手術・後遺障害・死亡などが発生した場合に、保険金が支払われる保険です。
多くの場合、かかった医療費の実費ではなく、発生したこと(例:入院日数、手術の有無など)に応じて、あらかじめ決まった金額が支払われます。
これは学校の保険にも、個人の傷害保険にもよく含まれているため、重複する可能性が高くなります。
賠償責任保険(他人にケガをさせた場合などの補償)
スポーツ中に誤って他人をケガさせた、ボールで物を壊してしまったなど、第三者に損害を与えた場合の補償が賠償責任保険です。
この補償も、クラブチームや団体経由の保険、個人で契約している保険の両方に含まれていることがあり、知らないうちに重複してしまうことがあります。
保険内容を詳しく確認せずに加入を重ねてしまうと、「補償が必要以上にかぶっていた」「保険料が無駄になっていた」ということになりかねません。
とくにこれら2つの補償については、内容の重なりに注意して見直すことが大切です。
重複加入が有利に働くケースとは?
保険の重複加入というと「無駄」「損」といったイメージがあるため、「1つ入れば十分」と思われがちですが、場合によっては複数の保険に加入する重複加入が大きなメリットになることもあります。
ここでは、重複加入が特に有利に働くケースを紹介します。
重傷リスクの高い競技をする場合
ラグビー、柔道、サッカー、スキー、スケートボードなど、接触や転倒が多く、ケガのリスクが高いスポーツを行う場合は、保険の重複加入が安心材料になるケースがあります。
ただし、すべての保険が重複して給付されるわけではありません。
保険の種類や契約条件によっては、補償が調整されることもあり、保険料もその分かさむため費用対効果をよく見極めることが大切です。
なぜ重複加入が有利なのか?
重傷を負うと、入院・手術・通院などが長期化する可能性があり、医療費や通院交通費、家族の付き添い負担など、想定以上の出費がかかります。
このとき、複数の傷害保険に加入していれば、手厚い部分の保険から上限までの保険金を受け取れるため、金銭的な負担を大きく軽減できます。
重傷リスクが高い競技者にとっては、以下のような理由から重複加入が有利に働きます。
- 治療費や入院費の実費以外にも生活費の補填が必要になる
- 収入減少のリスクをカバーできる
- 遠征費用や家族の付き添い費用など、保険でカバーできない間接的な出費が多い
- 復帰までに長期間を要するケースも多く、より多くの給付金が心強い
上限が低い補償内容のリスク分散に
スポーツ保険の中には、1回の事故に対する補償金額の上限が比較的低めに設定されているものもあります。
たとえば、団体契約のスポーツ安全保険や学校の保険などは、最低限の補償にとどまるケースが多いのが現実です。
このようなとき、個人で加入している別の保険で補償上限を補うことで、リスク分散をすることができます。
記事のまとめ
この記事では、「スポーツ保険の補償が重複した場合どうなるのか?」「保険金は両方から出るのか?」「損をしないための対策」について、わかりやすく解説しました。
スポーツ保険は、学校や団体、個人契約などさまざまな形で加入することが多く、その結果、補償内容が重複するケースがよく見られます。
とくに「傷害保険」と「賠償責任保険」は重複しやすく、傷害保険は複数契約していると保険金が上乗せされる場合が多いのに対し、賠償責任保険は実際の損害額までの補償となり、重複しても支払いは増えない仕組みです。
また、重傷リスクの高いスポーツをする場合や、補償の上限が低い保険に加入している場合には、重複加入がリスク分散や補償の手厚さにつながるメリットもあります。
一方で、重複内容をしっかり把握しないと、無駄な保険料を払い続けるリスクもあるため、補償内容をよく確認して、必要な部分だけ重複を活かすことが重要です。
スポーツを安心して楽しむために、自分の加入している保険の内容と補償範囲を定期的に見直しましょう。