週末のサッカーや平日夜のバドミントン、休日のテニスなど、大人になっても様々なスポーツを楽しむ方は多いでしょう。
しかし、スポーツには楽しさと同時にケガや事故のリスクも伴います。
特に大人のスポーツ活動では、仕事や家庭への影響も懸念されるため、万が一の備えとして「スポーツ保険」の加入を検討する価値は大いにあるのではないでしょうか。
本記事では、大人の団体スポーツ活動に最適な保険の種類や選び方、おすすめの保険3選をご紹介します。
サークルやクラブ活動の幹事や代表者の方は、ぜひ参考にしてください。
大人もスポーツ保険は加入すべき?その必要性とは
「子どものスポーツなら保険が必要なのは分かるけど、大人が加入する必要があるの?」とお考えの方もいるかもしれません。
しかし、大人こそスポーツ保険への加入を検討すべき理由がいくつかあります。
ケガの治療期間と経済的負担
大人のケガは子どもに比べて回復に時間がかかる傾向があります。
そのため、大ケガともなれば治療期間が長引くため、その分医療費の負担も大きくなります。
仕事への影響
スポーツでのケガによる通院や入院は、仕事を休む必要が生じる場合があります。
もし、大ケガをしてしまった場合は、長期休業につながるケースも少なくありません。
特に接触の多いスポーツやケガリスクの高いアウトドアを行う場合、骨折や靭帯損傷など、入院せざるを得ない可能性も大いに考えられるでしょう。
収入減少や職場への負担といった二次的な影響も発生します。
熱中症リスク
環境省の熱中症予防情報サイトによると、成人の熱中症発生率は高く、特に40代以降では体の水分量減少や発汗機能の低下により、リスクがさらに高まります。
2024年の熱中症による救急搬送者のうち、約33.8%が成人であったというデータもあります。
年齢 | 割合 | 人数 |
---|---|---|
新生児(生後28日未満) | 0.0% | 5 |
乳幼児(生後28日以上満7歳未満) | 0.9% | 796 |
少年(満7歳以上満18歳未満) | 10.5% | 9,583 |
成人(満18歳以上65歳未満) | 33.8% | 30,910 |
高齢者(満65歳以上) | 54.9% | 50,173 |
令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況 | 総務省
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r5/heatstroke_nenpou_r5.pdf
賠償責任リスクの増大
大人のスポーツ活動では、体格や筋力が発達していることから、他人にケガをさせた場合や物を破損した場合の被害が大きくなる可能性があります。
特に体育館で行う屋内スポーツは、ケガなどの事故はもちろんのこと、物や設備を破損してしまう事例は多いため、子どものスポーツ活動に比べて賠償責任のリスクは高くなります。
スポーツ保険の種類
スポーツ保険は大きく分けて「個人向け」と「団体向け」の2種類があります。
それぞれの特徴や違いを理解して、自分の活動スタイルに合った保険を選びましょう。
個人向けスポーツ保険
個人向けスポーツ保険は、個人や少人数でスポーツを安全に楽しみたい人に適した保険です。
たとえば、ランニング、ジムでのトレーニング、登山などで、チームに所属せず活動する大人が利用するのに向いています。
特徴は、月額数百円からの低コストで加入ができることや、オンラインでの簡単な手続き、日常生活のケガもカバーするプランがある点です。
一方で団体向け保険に比べ、賠償責任補償の限度額が低かったり、サークル活動のようなチームでのリスクには対応しきれない場合があります。
個人向けスポーツ保険の商品例
- 楽天超かんたん保険 スポーツプラン
- PayPayほけん スポーツプラン
- Pontaかんたん保険
- ミズノスポーツ保険
団体向けスポーツ保険
団体向けスポーツ保険は、アマチュア団体(サークル、クラブ、チーム)向けに設計されており、サークル活動などを行っている大人の方に最もおすすめです。
特徴は、チーム全員を一括でカバーする効率性、団体割引による低コスト、賠償責任補償が充実している点です。
定期的なサークル活動や大人数のイベントで、ケガや賠償責任のリスクを広くカバーします。
団体向けスポーツ保険の商品例
- スポーツ安全保険
- レクリエーション保険
- レジャー保険
大人・成人団体が加入すべき補償内容
大人や成人団体がスポーツ保険を選ぶ際、どのような補償内容が必要でしょうか。
具体的な補償内容について見てきましょう。
通院・入院補償は要チェック
通院・入院補償は、スポーツ中の急性外傷(捻挫、肉離れ、骨折など)による治療費をカバーする中心的な補償です。
大人のケガは比較的回復に時間がかかる場合が多く、通院回数が増える傾向にあるため、スポーツ保険ではこの補償は必須だといえます。
通院・入院補償でチェックすべきポイントは以下のようなものがあります。
日額給付金の金額
通院・入院の日額給付金は、スポーツ保険の中核となる部分です。
一般的な相場は以下の通りです。
通院保険金 | 1,500円~5,000円/日 |
---|---|
入院保険金 | 3,000円~10,000円/日 |
厚生労働省の「医科診療所の主たる診療科別の医療費等の状況」(令和4年)によると、整形外科の1日当たり医療費は4,663円となっています。
これを目安に、加入を検討しているスポーツ保険が十分な補償額かどうか判断しましょう。
令和4年度医科診療所の主たる診療科別の医療費等の状況 | 厚生労働省保険局調査課
https://www.mhlw.go.jp/content/001046511.pdf
支払限度日数
多くのスポーツ保険では、通院・入院の補償が受けられる日数に上限が決められています。
通院補償の場合は30日~90日、入院補償は180日が上限となっていることが多いです。
相手へのケガや事故に備えるなら賠償責任保険を
団体スポーツでは、他の参加者にケガを負わせたり、施設や備品を破損させたりするリスクがあります。
賠償責任保険では、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。
そのような場合に備えて、賠償責任保険の内容も確認しておきましょう。
具体的には以下のような事例が挙げられます。
- 野球の試合中に打ったボールが観客に当たりケガをさせた場合
- サッカーのプレー中に相手選手に激突し、重傷を負わせた場合
- テニスのラケットが手から滑り、近くにいた人にケガをさせた場合
- 施設の備品や窓ガラスを破損させてしまった場合
スポーツ中の事故では、通常のプレーの範囲内であれば賠償責任が問われないケースも多いですが、ルール違反や危険なプレーによる事故は賠償責任が発生する可能性があります。
賠償責任保険の補償限度額は、万が一の死亡事故などに備えて、できるだけ高い限度額が定められている保険に加入することをおすすめします。
熱中症に備える補償もおすすめ
近年の気候変動の影響で、夏季のスポーツ活動中の熱中症リスクが高まっています。
上述した通り、大人の場合は加齢につれてそのリスクは高まる傾向にあるため、気づかないうちに熱中症になるケースも少なくありません。
そのため、熱中症も補償の対象に含まれる保険を選ぶことが重要です。
一般的な傷害保険では、熱中症は「急激かつ偶然な外来の事故」には該当せず、補償対象外となることがありますが、スポーツ専用の保険では熱中症を特約等でカバーしているものが多いです。
おすすめの団体スポーツ保険3選
ここからは、大人の団体活動におすすめのスポーツ保険を3つ紹介します。
スポーツ安全保険(スポーツ安全協会)
スポーツ安全保険は、公益財団法人スポーツ安全協会が提供する団体向けスポーツ保険です。
4名以上のアマチュアの団体・グループであれば加入可能です。
また、スポーツ活動だけでなく、文化活動、ボランティア活動、地域活動、レクリエーション活動などの団体活動も対象としています。
補償内容(大人・C区分の場合)
スポーツ活動を行う64歳以下の大人がスポーツ安全保険に加入した場合、以下の補償が適用されます。
死亡事故 | 3,000万円 |
---|---|
後遺障害 | 最大4,500万円 |
通院日額 | 1,500円(最大30日) |
入院日額 | 4,000円(最大180日) |
賠償責任 | 最大5億円(対人賠償は1人1億円)) |
突然死葬祭 | 180万円 |
年間掛金は1,850円とリーズナブルな費用に対して、補償内容は手厚い点が最大のメリットです。
賠償責任保険も付帯しており、その金額は1事故につき最大5億円が支払われる点も、責任が伴う大人の団体活動にとって安心材料であると言えるでしょう。
もちろん、熱中症にも対応しています。
レクリエーション保険(あいおいニッセイ同和損保)
レクリエーション保険は、あいおいニッセイ同和損保が提供する1日単位の団体向け保険で、20名以上のサークル活動やイベントに適しています。
補償内容(C料率・スタンダープラン)
例えば、大人向けのサッカー大会を開催する際にレクリエーション保険に加入すると、以下の補償が適用されます。
また、1名あたりの掛金は約350円になります。
死亡・後遺障害 | 500万円 |
---|---|
通院日額 | 3,000円 |
入院日額 | 5,000円 |
手術保険金 | 入院保険金日額の10倍(入院中)または5倍(入院中以外) |
スポーツ安全保険と比較すると死亡事故に対する補償は低いですが、通院・入院日額は非常に手厚い点が大きな特徴です。
また、熱中症や食中毒による通院・入院もカバーする幅広さもメリットだと言えます。
イベント開催の前日でもネットから簡単に加入できるため、忙しい大人の方にもおすすめのスポーツ保険だと言えます。
レクリェーション災害補償プラン(東京海上日動)
東京海上日動のレクリェーション災害補償プランは、あいおいニッセイ同和損保のレクリエーション保険と1日単位で加入できる団体向け保険です。
サークル主催のイベントや運動会などに適しています。
補償内容(C料率)
例えば、大人向けの市民スキー大会を開催する際にレクリェーション災害補償プランへ加入すると、以下の補償内容が適用されます。
また、1名あたりの掛金は約240円になります。
死亡・後遺障害 | 500万円 |
---|---|
通院日額 | 1,000円 |
入院日額 | 2,000円 |
手術保険金 | 入院保険金日額の10倍(入院中)または5倍(入院中以外) |
レクリェーション災害補償プランに加入する最大のメリットは安価な賭金で加入できる点にあります。
そのため、ケガをする可能性が低いスポーツやレクリエーションで万が一の事故に備える場合に加入する保険としてはおすすめだと言えます。
ただし、保険料が安い分支払われる通院・入院日額が低い点はデメリットであると言えるでしょう。
さらに45名以上でないと加入ができないため、少人数での活動では加入できないので注意が必要です。
記事のまとめ
大人の団体スポーツ活動において、スポーツ保険への加入は安心してスポーツを楽しむために重要な選択肢です。
予期せぬケガや事故、さらには他者へのケガや物損に対する賠償責任にも備えることができます。
スポーツ保険を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 通院・入院補償
ケガをした際の医療費をカバーする保険金額を確認する - 賠償責任保険
他者にケガをさせたり物を壊したりした場合の補償があるか確認する - 熱中症補償
特に夏場の活動では必須となる熱中症への補償があるか確認する
特に、40代以上の大人はケガのリスクが高く、治療費や責任の負担が大きいため、団体向けスポーツ保険の加入を強くおすすめします。
2025年現在、オンライン手続きや特約の多様化が進み、加入しやすいスポーツ保険は増えています。
サークル活動を安心して楽しむためにも、保険代理店や窓口に相談し、最適なプランを探してみてくださいね。