中学生になると、部活動やクラブチームでの活動が本格化してスポーツをする時間が増えます。
成長期の身体はケガをしやすく、打撲やねんざ、骨折などのリスクも高まるため、万が一のケガに備えることが大切です。
そこで注目されるのが、中学生向けのスポーツ保険です。
学校や地域でのスポーツ活動中に発生したケガに対する補償だけでなく、通院や入院、場合によっては賠償責任までカバーする保険もあります。
この記事では、なぜ中学生にスポーツ保険が必要なのか、学校の保険ではカバーできない保健なども解説します。
安心してスポーツに打ち込むための参考にしてください。
なぜ中学生にスポーツ保険が必要なのか?
中学生は、部活動や習い事などで体を動かす機会が増える時期です。
スポーツに取り組む一方で、ケガのリスクも高まるため中学生の子どもを持つ保護者としては「もしものときにはどう備えるべき?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
ここからは、なぜ中学生にスポーツ保険が必要なのかを解説します。
中学生は既に「災害共済給付制度」に加入しているが、補償が不十分な場合がある
中学生は、既に学校側が日本スポーツ振興センターが運営する「災害共済給付制度」に加入しています。
災害共済給付制度は、学校管理下での事故により負傷・疾病・障害・死亡した場合に、医療費の一部を給付してくれる公的制度です。
ただし、補償の対象となるのは学校管理下での事故に限られるため、習い事や部活以外のスポーツ活動には別途スポーツ保険への加入が必要な場合もあります。
こうした補償の限界を補うために、民間のスポーツ保険に別途加入する家庭もあります。
特に、学校外で活発にスポーツをしている場合や、手厚い補償を求める場合は別途でスポーツ保険を検討しましょう。
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/kyufu_1/pdf/04_R7_seikyugaido_hogosya.pdf
災害共済給付請求ガイドブック【保護者用】
加害事故に備えられる(個人賠償責任補償)
中学生がスポーツ中に他人にケガをさせた、物を壊したなどの加害者になるリスクもあります。
- サッカーの試合中に相手選手にケガをさせてしまった
- 練習中に近くの車や窓ガラスを割ってしまった
このような場合、個人賠償責任保険付きのスポーツ保険に加入していれば、賠償金を補償してくれるため安心です。
スポーツ保険の多くは、年間1,000円〜2,000円程度の掛け金で加入可能です。
ケガのリスクや費用負担を考えると、コストパフォーマンスの高い備えと言えるでしょう。
成長期はケガが多くて治療が長引くこともある
中学生は成長期真っ只中であり、身体も急速に成長するため筋肉や骨、関節がまだ安定していません。
このため、スポーツ中のケガが起こりやすく、一度ケガをすると治療や回復に時間がかかることが多いのが特徴です。
実際に、中学生のスポーツ中のケガは軽い打撲から骨折、捻挫までさまざまで、中には相手への賠償責任が発生する場合もあります。
そんな予測できないトラブルに対応するために、スポーツ保険は大きな安心材料となります。
成長期の中学生はケガの予防だけでなく、スポーツ保険によって万が一の治療費や長期の通院・入院に備えておくことが非常に重要です。
災害共済給付制度の対象外となるものとは?
日本スポーツ振興センターの「災害共済給付制度」は、中学生をはじめ学校でのスポーツ活動中に起こるケガの補償に役立つ公的制度です。
しかし、この制度がすべてのケガをカバーしているわけではありません。
ここからは、災害共済給付制度の対象外となるものを紹介します。
学校の管理下ではない事故
学校の管理下ではない事故とは、学校の授業や部活動、学校行事など、学校が中学生を責任を持って管理・監督している時間や場所外で発生したケガや事故を指します。
例えば、中学生が通学途中に起こした事故や、自宅でのケガ、学校外での習い事や友達との遊び中に起きたトラブルなどが該当します。
こうした事故は、日本スポーツ振興センターの「災害共済給付制度」の補償対象外となるため、別途スポーツ保険でカバーしておくことが必要です。
故意または重大な過失による事故
故意または重大な過失による事故とは、わざと人にケガをさせたり、明らかに危険な行為をして事故を引き起こした場合を指します。
たとえば、悪質な暴力行為や、注意を無視して危険な遊びを繰り返した結果のケガなどが該当します。
このような事故は、災害共済給付制度では補償の対象外となっており、保険金の支払いが認められません。
つまり、意図的な行為や重大な過失がある場合は、補償を受けられない可能性が高いため、普段から安全な行動を心がけることが重要です。
熱中症は特約が必要な場合もある
注意したいのが、熱中症は災害共済給付制度や通常のスポーツ保険の基本補償に含まれない場合があります。
そのため、食中毒や熱中症をカバーするためには、スポーツ保険の特約として追加加入が必要になるケースが多いです。
特約を付けることで、熱中症になった場合の医療費や入院費用の補償が受けられ、安心してスポーツに取り組むことができます。
スポーツ保険加入時には、中学生が起こしやすいリスクも含めて補償内容をよく確認し、必要に応じて特約の検討をおすすめします。
加入するときの注意点
中学生で災害共済給付制度に既に加入していて、スポーツ保険など他の保険を検討する場合には、対象や補償内容が被らないようにすることが重要です。
重複して受け取ることは認められない
中学生が災害共済給付制度と民間のスポーツ保険に同時に加入している場合でも、同一の事故やケガについて、それぞれの制度から重複して給付を受け取ることは原則として認められていません。
たとえば、医療費に対して災害共済給付制度から給付があった場合、同じ治療費を対象としてスポーツ保険など他の保険からも二重に補償を受けることはできないということです。
これは、「医療費の実費補償」という制度の性質上、実際に発生した費用を超えて給付を受けることがないようにするためのものです。
ただし、災害共済給付制度は医療費の一部補償、スポーツ保険は入院見舞金や通院日額補償など、補償内容が異なる場合には、それぞれの制度から給付を受けられることがあります。
医療費の総額が5,000円以上である必要がある
災害共済給付制度において、中学生が医療費の給付を受けるためには、診療報酬点数に基づく医療費の総額が5,000円以上であることが申請の条件となっています。
ここでいう「医療費の総額」とは、保護者の自己負担額(窓口で支払った金額)ではなく、健康保険適用前の医療機関による請求額(診療報酬点数換算)を指します。
たとえば、実際の支払いが1,500円であっても、医療費の総額が5,000円未満の場合は、災害共済給付の申請対象にはなりません。
同一のケガや疾病で複数回通院し、合計で5,000円以上になった場合は、申請が可能になることがあります。
その場合でも、すべての診療記録や領収書の提出が必要となるので保管しておくようにしましょう。
このように、実際の支払い金額と申請の対象となる医療費には違いがあるので、通院後は必ず学校や保険会社へ相談しましょう。
請求は起算して2年以内に行う
災害共済給付制度では、中学生が医療費の給付を受けるための請求手続きには時効が設けられており、事故やけがの発生日、または最初に診療を受けた日から2年以内に申請を行う必要があります。
この「2年以内」という期間を過ぎてしまうと、たとえ給付の対象となるケガや治療であっても、制度上給付を受けることができなくなりますので、なるべく早めに手続きを行うようにしましょう。
- 請求の起算日は、ケガの発生日や初診日が基準となります。
- 通院が長期にわたる場合でも、最初の診療日が起算日です。
- 学校を通じて申請書類の提出が必要になりますので、なるべく早めに担任または保険会社へご相談ください。
手厚い補償を受けたいならスポーツ保険の利用を検討しよう
この記事では、なぜ中学生にスポーツ保険が必要なのか、学校の保険ではカバーできない保健などについて解説しました。
スポーツは、中学生にとっては欠かせないもので、ケガや事故のリスクは常に伴います。
中学生が加入している公的な「災害共済給付制度」では、一定の補償が受けられますが、補償対象や範囲には限りがあります。
より手厚い補償を求めるなら、スポーツ保険への利用を検討しましょう。
通院・入院はもちろん、賠償責任や熱中症・食中毒などの特約を含むプランもあり、幅広いリスクに対応可能です。
中学生が安心して活動できるよう、最適な保険を選ぶことが大切です。