フットサルのポジションは、チームの戦い方や個人のプレースタイルを大きく左右する重要な要素です。
サッカーと似ているようでまったく異なるフットサルでは、わずか5人で攻守をこなすため、全員がポジションの役割を理解して連携することが欠かせません。
この記事では、フットサルの基本4ポジション(ゴレイロ・フィクソ・アラ・ピヴォ)の特徴や役割、初心者が意識すべき動き方、自分に合ったポジションを見つけるコツをわかりやすく解説します。
チームでの動き方に迷っている方や、自分の強みを活かせるポジションを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
フットサルのポジションとは?基本構成と特徴

フットサルの試合は、ゴールキーパーを含めた5人で構成されます。
このうち、フィールドプレーヤー4人はそれぞれ役割が明確に分かれており、連携とポジショニングが勝敗を左右します。
フットサルの基本ポジションは「ゴレイロ」「フィクソ」「アラ」「ピヴォ」の4つです。
それぞれに異なる特徴があり、攻撃・守備の両面で求められる動きや判断も変わります。
フットサル4ポジションの概要
| ポジション | 英語表記 | 主な役割・特徴 |
|---|---|---|
| ゴレイロ | Goleiro | ゴールを守る守護神。守備だけでなく攻撃の起点にもなる。 |
| フィクソ | Fixo | 最終ラインを支える守備の要。冷静な判断とカバー力が求められる。 |
| アラ | Ala | サイドを広く使う攻守のバランス役。走力と連携がカギ。 |
| ピヴォ | Pivo | 前線で得点を狙うストライカー。ポストプレーとターンが武器。 |
この4ポジションがチームの骨格を作り、選手同士の連携によって攻守が展開されます。
フットサルのポジションはサッカーよりも流動的で、全員が攻守に関わる点が特徴です。
サッカーのようにポジションが固定されず、攻撃時と守備時で役割が素早く入れ替わります。
ポジションの基本を理解することは、フットサルの戦術理解の第一歩です。
フットサルでは、各ポジションの役割を理解することでチームプレーが格段に向上します。
4つのポジションはそれぞれが独立しているようで、実際には互いに補い合う関係にあります。
次の章では、それぞれのポジションの特徴と動き方を詳しく見ていきましょう。
ゴレイロ(Goleiro)|ゴールキーパーの役割とポイント

ゴレイロは、フットサルにおける守備の最後の砦であり、攻撃の起点にもなる重要なポジションです。コートが狭く展開が速いフットサルでは、瞬間的な判断力と反応速度が勝敗を左右します。
守備の中心として相手のシュートを止めるのはもちろん、試合の流れを読む洞察力も欠かせません。ゴレイロが冷静に構えることで、チーム全体が安定します。
主な役割
ゴレイロの仕事は「守る」だけではありません。攻撃の起点を作り、味方を動かす司令塔でもあります。
- 相手のシュートを防ぐセービング
- 味方への正確なスローで攻撃を展開
- 守備ラインへのコーチング(声掛け)
- 状況に応じた前進(フライングゴレイロ)
特に、フライングゴレイロは数的優位を作り出す戦術であり、守備的な選手が一瞬で攻撃に変わる場面は、フットサルの醍醐味の一つです。
必要なスキル
ゴレイロに求められるのは、反射神経だけではありません。プレー全体を俯瞰して判断できる冷静さと精度も重要です。
| スキル | 内容・ポイント |
|---|---|
| 反応速度 | 至近距離のシュートに瞬時に反応し、体勢を崩さず対応する |
| 判断力 | 飛び出すか留まるかを一瞬で決断し、最適なポジションを取る |
| スローの精度 | 速攻のチャンスを生み出す、正確でスピードのあるパスを出す |
| コーチング力 | 味方に的確な指示を出し、守備ライン全体を統率する |
これらを高いレベルでこなせるゴレイロは、守備を安定させるだけでなく、チームの攻撃テンポまでコントロールできます。
初心者が意識したいポイント
最初のうちは、ボールを怖がらず体の正面で受け止めることを意識しましょう。スローを出す前に味方の位置を確認し、声を出して指示を伝えるだけでも守備が整います。
また、攻撃時は中央への展開を意識すると、カウンターのチャンスが広がります。ゴレイロがリズムを作ることで、チーム全体の動きが滑らかになります。
つまり、フットサルのゴレイロは単なる守備専門ではなく、試合の流れを操る存在です。安定したセービングと正確なスローができる選手こそ、真に信頼されるゴレイロと言えるでしょう。
フィクソ(Fixo)|最終ラインを支える守備の要

フィクソは、最終ラインからチームを支える守備の中心です。ゴレイロの前で相手の攻撃を受け止め、味方を動かしながら全体のバランスを保ちます。
守備の印象が強いポジションですが、ボールを奪った後の一手──そのパスや判断が攻撃のスイッチになります。つまり、フィクソは「守備の要」でありながら「攻撃の起点」でもある存在です。
主な役割
フィクソは、最後尾から試合を安定させる役割を担います。相手ピヴォ(ストライカー)との駆け引きや、味方のカバーリングが中心です。
- 相手ピヴォへのマークと1対1の対応
- 味方の守備フォローとカバーリング
- 守備ラインの統率と声掛け
- ボール奪取後のビルドアップ
特にピヴォとのマッチアップは、経験や読みの差が出やすいポイント。ゴレイロとの連携でブロックを形成し、相手に自由を与えないことが求められます。
攻撃への関わり方
守備的な印象のフィクソですが、攻撃にも深く関わります。落ち着いた判断で攻撃の起点を作り、チームを前進させます。
- 正確なパス出しでテンポを作る
- プレッシャーを受けても冷静にボールをさばく
- スペースを見てサイドチェンジを行う
- タイミングを見て前線に上がりフィニッシュに絡む
後方からの一つの判断が、チャンスを生むかピンチを招くかを左右します。だからこそ、フィクソには冷静さと展開力の両方が求められます。
求められるスキルと特徴
フィクソに必要な能力は、守備技術だけにとどまりません。試合全体を読む力や、味方を動かす統率力も不可欠です。
| スキル | 内容・ポイント |
|---|---|
| 守備力 | 1対1の粘りと、ボールを奪うタイミングの正確さ。 |
| 視野の広さ | 全体の動きを見て、守備バランスを整える。 |
| パス精度 | 攻撃の起点となる正確なビルドアップを行う。 |
| リーダーシップ | 声を出して味方を動かし、守備組織を統率する。 |
フィクソはチームの“安定装置”のような存在です。攻守の切り替え時にもポジションを崩さず、味方を支え続ける冷静さが光ります。
初心者が意識したいポイント
焦ってボールに食いつくよりも、相手を待って守る“間合い”を覚えることが大切です。状況によってはクリアよりも、味方へパスをつなぐ判断が有効です。
- 常にゴレイロとの距離感を意識する
- 味方が抜かれた時は素早くカバーに入る
- ボールを持っていない時間こそポジションを修正する
冷静さと安定感が評価されるポジションだからこそ、派手さよりも確実さを大切に。試合の流れを落ち着かせるのが、理想のフィクソです。
次は、攻守のバランスを取る「アラ(Ala)」の役割を見ていきましょう。
アラ(Ala)|攻守をつなぐチームの心臓

アラは、フットサルにおける“チームの潤滑油”のような存在です。コートの左右を広く使い、攻撃と守備の両方に関わります。
味方のサポートに回ったかと思えば、一瞬のスプリントで相手ゴールに迫る──。その切り替えの速さと判断力が、アラの最大の武器です。
主な役割
アラはチームの中で最も運動量が多く、常に動きながら全体のバランスを取ります。攻守にわたる幅広い役割を担います。
- 攻撃時にサイドから突破・チャンスメイク
- 守備時には素早く戻ってプレスやカバー
- 中盤でのボール循環とサポート
- 味方ピヴォへのパス供給・連携
アラが効果的に動けるチームは、自然と攻守のリズムが良くなります。逆に、アラの動きが止まると、試合全体の流れが鈍るほど重要なポジションです。
攻撃での役割
アラは攻撃のテンポを作るキープレイヤーです。ドリブルだけでなく、味方との連携やタイミングも鍵になります。
- ドリブル突破で相手を引きつける
- ピヴォとのワンツーやコンビネーションプレー
- スペースへの動き出しで相手守備を広げる
- サイドからのカットインでフィニッシュを狙う
アラがサイドでボールを持つと、チーム全体が動き出します。そこからどんな選択をするかが、得点の可能性を左右します。
求められるスキルと特徴
アラに必要なのは「走力」「判断力」「技術力」の三拍子です。チームの歯車として常に動きながら、攻守のバランスを整えます。
| スキル | 内容・ポイント |
|---|---|
| スピードと持久力 | 試合を通して高い運動量を維持し、サイドを往復できる。 |
| 連携力 | ピヴォやフィクソとのタイミングを合わせ、パスコースを作る。 |
| ドリブル技術 | 相手を抜くだけでなく、味方を生かすためのボール運びを意識する。 |
| 状況判断 | 攻守の切り替えで瞬時に自分の位置と役割を変える。 |
アラは「チームを動かすプレイヤー」です。常に顔を上げて味方の動きを把握し、攻守のリズムを調整します。
初心者が意識したいポイント
アラを始めたばかりのうちは、とにかくボールの近くでプレーしたくなります。しかし、あえて離れる勇気も大切です。スペースを使うことで、より効果的なサポートができます。
- サイドライン際だけでなく中央にも関与する
- 味方がピンチの時は素早く戻る
- 走り続けるスタミナを意識して練習する
- 視野を広く持ち、全体の流れを読む
アラは、攻守どちらか一方に偏ると真価を発揮できません。攻撃にも守備にも“つなぎ役”として関わることが、理想的なアラのプレーです。
次は、チームの最前線で勝負する「ピヴォ(Pivo)」の役割を見ていきましょう。
ピヴォ(Pivo)|ゴール前で勝負するストライカー

ピヴォは、チームの最前線でプレーするストライカーです。相手ディフェンスを背負いながらボールを受け、シュートやパスでチャンスを作ります。
狭いスペースでの攻防が多いフットサルにおいて、ピヴォの存在は攻撃の軸。ゴール前でのキープ力と決定力が、試合の勝敗を左右します。
主な役割
ピヴォの最大の特徴は、相手ゴールに最も近い位置でプレーすること。相手ディフェンスを引きつけることで、味方のスペースを生み出します。
- 背後からのパスを受けて攻撃を展開
- 相手を背負ってボールをキープ
- 味方の上がりを待ってパスを供給
- シュートで得点を狙うフィニッシャー
ピヴォがしっかりボールを収められると、チームの攻撃は安定します。逆に、簡単にボールを失うとカウンターの危険が高まります。
攻撃での役割
ピヴォはチームのフィニッシュワークを担うだけでなく、攻撃全体のリズムを作ります。味方との連携や、相手を引き出す動きも重要です。
- ポストプレーで味方のチャンスを作る
- タイミングを見て裏へ抜け出す
- ディフェンダーを引きつけて味方のシュートスペースを作る
- リバウンドに素早く反応して得点を狙う
ピヴォがボールを受ける位置や体の向きで、味方の動きが変わります。単なるフィニッシャーではなく、チーム全体を生かす「起点」としての意識が求められます。
求められるスキルと特徴
ピヴォに必要なのは、得点感覚だけではありません。相手を背負う強さと、狭いエリアでの技術が不可欠です。
| スキル | 内容・ポイント |
|---|---|
| キープ力 | 相手に体を寄せられてもボールを失わない安定感。 |
| ターン技術 | 背中を向けた状態から一瞬で前を向く動きでチャンスを作る。 |
| フィニッシュ力 | 狭いスペースでも確実に枠を捉えるシュート精度。 |
| 連携力 | アラやフィクソとの呼吸を合わせ、崩しの起点になる。 |
フィジカルが強いだけでは不十分で、味方との距離感やタイミングを理解する「駆け引きの上手さ」も必要です。
初心者が意識したいポイント
ピヴォは常に相手ディフェンスと接しているため、焦らずボールをキープする落ち着きが大切です。チャンスを待つ時間が長い分、集中力を切らさないようにしましょう。
- ボールを受ける前に周囲を確認する
- 強く構え、相手に体をぶつけてキープする
- シュートよりもまずパスの選択肢を持つ
- ミスを恐れず、果敢にゴールを狙う
ピヴォは、チームが苦しい時ほど頼られる存在です。一瞬の判断と強いメンタルが、勝負を決める鍵となります。
次は、これまで紹介したポジションをどう連携させるか──「ポジションの関係性と連動の仕組み」について解説します。
ポジション別の適性・向いているタイプ

フットサルでは、プレースタイルや性格によって適したポジションが異なります。スピードを武器にする人もいれば、冷静に守りを支えるタイプもいます。
大切なのは、自分の特徴を知り、それをチームの中でどう活かすか。得意分野とポジションの相性を理解することが、上達への最短ルートです。
ポジション別比較表
それぞれのポジションには、求められる資質と役割があります。まずは下の表で、自分に合いそうなタイプを探してみましょう。
| ポジション | 向いているタイプ | 主な役割 |
|---|---|---|
| ゴレイロ | 反射神経がよく、冷静な判断ができる人 | ゴールを守り、攻撃の起点を作る |
| フィクソ | 守備意識が高く、落ち着いてプレーできる人 | 最終ラインの統率とビルドアップ |
| アラ | スピードとスタミナがあり、連携を得意とする人 | 攻守のバランスを保ちながらチャンスを演出 |
| ピヴォ | 体の強さと得点感覚がある人 | 前線でボールをキープし、得点を狙う |
ポジション選びのポイント
どのポジションを選ぶか迷ったときは、「自分の得意」を軸に考えてみましょう。
- 守備型か攻撃型か、自分のプレースタイルを意識する
- チームのフォーメーションとの相性を確認する
- 走る・止める・パスするなど、得意な動きを活かせるポジションを選ぶ
- 複数ポジションを経験し、プレーの幅を広げる
試合中は、固定された役割だけでなく、状況に応じて動く柔軟性も求められます。「得意ポジション」よりも「どこでも貢献できる選手」が、チームにとって欠かせない存在です。
初心者におすすめのポジション
最初のうちは、ボールに関わる機会が多く、全体の動きを学びやすいポジションから始めるのがおすすめです。
| ポジション | おすすめ理由 |
|---|---|
| アラ | 攻守どちらも経験でき、試合感を掴みやすい |
| フィクソ | 守備の基本を学びながら、展開力も身につく |
| ゴレイロ | コート全体を見渡し、チームの動きを理解できる |
一方で、ピヴォは難易度がやや高め。体の使い方や駆け引きが多いポジションですが、得点を狙いたいプレイヤーにはやりがいがあります。
自分の性格や得意なプレーを知ることが、最適なポジション選びの第一歩です。「得意を伸ばす」か「苦手を補う」か──その選択次第でプレースタイルが大きく変わります。
まとめ|ポジション理解がフットサル上達の第一歩

フットサルは、わずか5人の中で全員が攻守に関わるスポーツです。だからこそ、一人ひとりのポジション理解と役割意識が、チーム全体の質を決めます。
ゴレイロが安定していれば守備が落ち着き、フィクソが軸を作り、アラがつなぎ、ピヴォが仕留める──。それぞれの役割がかみ合ったとき、フットサルは最も面白くなります。
大切なのは「どこが得意か」よりも、「チームの中で何ができるか」。ポジションを理解して動ける選手は、どんなフォーメーションでも活躍できます。
今日紹介した内容を意識してプレーすれば、フットサルの見え方が変わるはずです。まずは自分の強みを知り、チームの一員として動くところから始めてみましょう。





